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私、これでいいのかな?総合職の正社員なのに、育休復職して待っていたのは庶務や事務だけ…。

女の人生に悩み迷うことをポジティブに捉える、noteマガジン「Destinations」。
女の人生には悩みが多い。同じような悩みを持った他のみんなは、どんな考えを持ってどんな道を選んだのか。ほかの女性の悩みや選択を知るだけでも、自分の勇気に変えられたりするのではないか。そんな想いを持って情報を発信していきます。

さて、今回取り上げるテーマは「子育てとマミートラック」です。子育て期の女性が仕事に復職後にはまるマミートラック、通称マミトラ

せっかく仕事に復帰したのにやりがいのある仕事を与えてもらえなかったり、保育園に預けられないためにフルタイムで働けなかったり…。様々なパターンのマミトラがある中で、どうやって立ち向かっているのかを聞いていく連載です。


ちなさん(仮名)
メーカーの総合職11年目。本社内で様々な部署を経験し、産休育休を取って復帰。現在は経営企画部で9-16時の時短勤務中で小1の壁を意識し始めている。

【case1】大手メーカーで11年。総合職のママ社員のファーストペンギンとして奮闘するちなさんのストーリー


ちなさん:
私は4歳の娘がひとりいる3人家族です。新卒から11年、現職のメーカーで総合職として働いています。もともと古い体質の会社なので結婚後の女性は営業事務にまわされるような社風でした。

総合職だろうと、一般職だろうと、『あの部署の女性枠が空いたから異動』という人事配置が行われる環境だったんです。

復職後は、庶務・事務ばかりやらされているのが悩みです。経営企画部なのでM&Aなど高度な内容になりますが、『時短だから』と、重要性の高い仕事はやらせてもらえません。

時短だから定時に帰るとか、急なお休みに対しては、周りの理解もあるので働きやすいとは思っているんですね。お給料もそれなりにいただいていますし。ですが、どうしても与えられる仕事は雑用が増えてきてしまって…。

よく、子どもを育てるときに『自己肯定感を高めるのが大事』って言いますよね。それなのに子どもを育てている自分の自己肯定感が低くなってしまう点にモヤモヤしています。

Destinations:
意欲があるのにやりがいのある仕事を任せてもらえないのは辛いですね…。ちなみに時短で働くと業務時間内に仕事が終わらないときがあると思いますが、やはり持ち帰り仕事もしているのですか?

ちなさん:
正直ありますね…。家で残りの仕事をしている努力を誰も見てくれていないと思うと、しんどくなりますね。 

Destinations:
ちなさんの周りで、同じ総合職女性としてマミトラを乗り越えた方はいらっしゃるんですか?

ちなさん:
一般職女性で出産後に復職した方は少しだけいますが、総合職の女性で復職したのは私が初めてです。ロールモデルや仲間(結婚して出産し、復職をしている総合職の女性)がいないというのは不安ですね。でも、私の下の世代はもう少し良い環境で働ければいいなと思っています

今の私が環境に恵まれていないと考えて訴えたとしても、私より上の世代の女性たちは「私の時はもっとひどかった。今の女性の方が働きやすいじゃない」と言われるものですよね。
その道の第一人者や、出る杭は打たれるもの。誰かが切り開かなきゃいけないのかな、とは思っています。

Destinations:
自分たちより下の女性社員のために、ファーストペンギンとして声をあげていく姿、すごくかっこいいです。ちなさんは、どんな風に(女性の働き方について)上に掛け合っていますか?

ちなさん:
上司と査定面談のタイミングなどで伝えるようにしています。年次目標を立てるときに、キャリアシートなどを書くのですが、「時短社員ももっと責任のある仕事をさせて欲しい」という想いを、書き方を工夫しながら伝えています。

また、私の娘は小1の壁がせまってるんですね。でも私の会社では、小1から時短制度がなくなります。フルタイムで勤務し続けることは無理かもしれないと、不安を感じています。
子育ての中で気付いたのですが、小学生になれば子育てが落ち着く、なんてことはなくって。むしろ小学校に上がり、新しい環境の中で子どもは情緒不安定になる可能性もあるので、近くで見守ってあげたいのになと思っています。

子どもがもっと小さい時は、はじめての子育てにいっぱいいっぱいだったので、とにかく必死に子育てをして仕事もバタバタとこなす日々で。ですが、子どもが成長し、仕事と子育てのバランスがとれるようになってきたからこそ、「今の雑用ばかりの仕事で本当にいいのか?」と考えるようになりました。

Destinations:
たしかに、赤ちゃんが生まれたばかりのときは、何もかもはじめての子育てでてんやわんやしますもんね。多少子どもが大きくなってきたタイミングで、マミトラにはまっていたことに気付くんですよね。
声をあげるようになって、周りの反応はどうでしたか?

ちなさん:
もっとこうしたいと声をあげるようになったのは最近なのですが、声をあげてみると、意外と同じ意見の方がいることに気付かされました。
たとえば、中途社員の方は「私の前の会社では小1を過ぎてもずっと時短がとれたよ」とか「もっと時短女性にも仕事をやってもらいたい」と言ってくださることもありました。

ですが、どうしてもプロパー社員の方は危機感あまりないんですよね…女性社員で同じ境遇の人がいないので、マミトラの感覚が分からないのではないでしょうか。
私より下の女性社員が、私のような処遇だったらすぐに辞めてしまうと、必死に伝えています。ただ、私が1人で必死に訴えていても、人事部長の奥さんは専業主婦なので響かったりして、歯がゆいですよね。
そんなだから、もちろん転職も視野に入れたこともあります。
でも、せっかく今までずっと勤めてきた会社なので。もう少し頑張ってみたいなと思っています。
ライバル会社はもっと時短女性の働き方が進んでますよとか、様々なアプローチを日々模索しています。

Destinations:
そこまで行動できるのはすごいです…!本当にかっこよくて、尊敬します。

新卒で入った大好きな会社だから、変わってほしい。切なる願いを聞いて。

マミートラックにはまってしまっても、正社員として仕事があるだけありがたい。それも真実です。
しかしながら、給与や環境がいくらよくても、仕事を通して自身を成長させたり、やりがいを感じることができなければ、それは果たしてどうなのでしょうか…?
30代、40代。子育てが一番忙しいタイミングであることは間違いないのですが、仕事だって面白くなってくる時期。もちろん、仕事に何を求めるかは人それぞれですが。

自身の望む環境がなかなか整わない場合、どうするのか。

声を上げ続けるという選択肢をとったちなさんのストーリーをご紹介しました。それは、つらい道のりかもしれない。暖簾に腕押しで、ふがいない思いに悩むこともあるかもしれない。

過渡期である今の時代に特に上の世代の価値観を変えることはそう簡単ではないはず。
でも、自身のためだけでなく、後に続く女性のためにも本当に意義のあることだと思います。
プロパー社員として大好きな会社を変えていきたい、そんなちなさんの強い意志を、同じ時代に生きる女性としてとても頼もしく思いました。

★★★

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