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陶磁器の魅力とは? オススメブランドもご紹介!

今回は、日本の陶磁器を楽しむためのベーシック情報をお届け。
個人的にイケてるなと思うブランドもPickしたので、
ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです!

そもそも陶磁器とは?

日本人なら誰しも、「陶磁器」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
ただ、具体的にどのようなものかを語れる人は少ないかもしれません。
陶磁器は、「陶器」と「磁器」(あと「せっ器」)の総称で、
私たちの日常生活において"かなり"身近な存在です。


【陶器 / pottery】

ろくろ整形

主に粘土を原料とし、比較的低温(約1,000~1,200℃)で焼かれるものです。陶器は多孔質で、水を通す性質があります。
そのため、器自体が温かみを持ち、手作り感を感じさせるアイテムが多いです。
代表的な日本の陶器には、瀬戸焼や備前焼があります。

【磁器 / porcelain】

ティーセット

陶器よりも高温(約1,200~1,400℃)で焼かれ、主成分は陶石(磁石)を粉砕した石粉です。磁器は非多孔質で、硬く、薄く仕上げることができ、光を透かすほどの透明感があります。そのため、繊細で上品なデザインが特徴です。
日本では有田焼や九谷焼が有名です。

【せっ器(せっき) / stoneware】

磁器と似ており、見た目で区別するのは難しい

こちらは陶器と磁器の中間に位置するもので、焼成温度は約1,200℃程度です。主にアルカリや鉄分が多めの粘土を使用しますが、陶器よりも硬く、磁器ほどの透明感はありませんが、比較的水を通しにくいのが特徴です。せっ器は、頑丈で耐久性があり、素朴で実用的なデザインが多く見られます。
日本では信楽焼などが代表例ですが、最近は産地に関わらず、せっ器を好んで制作されている窯元が増えているみたいです。

【歴史的背景 / クイックチェック】
陶磁器は長い歴史を持ち、世界中で広く利用されてきました。その起源は古代(紀元前)にさかのぼり、中国やメソポタミアなどで最初に発展しました。特に中国の青磁や白磁は、世界中の王侯貴族に愛され、輸出品としても重要な役割を果たしました。

日本における陶磁器もまた、古代から発展を遂げました。最初は中国から技術が伝わり、やがて日本独自のスタイルが確立されました。
安土桃山時代には、茶の湯文化の影響で高級な陶磁器が多く生産されるようになり、これが現在の陶磁器文化の礎となっています。

陶磁器はどのように作られる?

作家や窯元(陶磁器をつくる事業者)、企業により異なりますが、多くの職人、事業者は以下の流れで制作しています。

  • 原料の選別と処理

    • 粘土の選別: 陶器の主な材料である粘土を購入し、不要な成分を取り除いて適切な状態にします。

    • 粘土の調整: 水分を加えたり、撹拌したりして粘土を均質化し、成形しやすい状態にします。

  • 成形

    • ろくろ成形: 回転するろくろの上でスリップを成形する方法。特に薄く、精巧な形状を作るのに適しています。

    • 鋳込み成形: 石膏型にスリップを注ぎ込んで形を作る方法。複雑な形状や大量生産に向いています。

    • 手びねり: 手で粘土を成形する方法。自由な形状が可能で、手作り感が強い作品が作れます。

    • たたら成形: 粘土を板状に伸ばし、型に貼り付ける方法。平たい器や角皿などに適しています。 などなど…

  • 乾燥

    • 自然乾燥または加熱乾燥: 成形後の磁器を十分に乾燥させます。水分が残っていると、焼成時に破損の原因になります。

  • 素焼き

    • 中温焼成: 約800~1,000℃で焼成し、形状を固定します。磁器の場合、素焼き後も透光性を保つことができます。

  • 施釉

    • 釉薬の施釉: 磁器の表面に釉薬を施し、光沢や色をつけます。釉薬が均一に広がるように注意が必要です。

  • 本焼き

    • 高温焼成: 約1,000~1,400℃で焼成し、磁器特有の硬さと透明感を得ます。非常に高温で焼かれるため、薄くても丈夫な仕上がりになります。

  • 仕上げ

    • 仕上げ作業: 磁器の縁を研磨したり、絵付けを行ったりして、完成品としての最終調整を行います。

この工程の他に絵付け(陶器に色を付けたり、絵や線を描いたりする色付けの作業)があります。絵付けもどの工程で行うかで名称が異なりマニアックなので(書き出すと止まらないので)、今回は割愛します笑


これらの製法を職人一人で行うこともあれば、波佐見焼のように分業で行うこともあります。
陶器はろくろ成形が多く、職人の「技」が重要なので一人や少人数で対応。
磁器は鋳込み成形が多く、分業体制を組んでいる印象がありますね。

日本の陶磁器ってどんなもの?

九州に産地が多いのは、豊臣秀吉が朝鮮出兵で朝鮮の職人を多く連れ帰ったからと言われている

日本の陶磁器は、古代から現代に至るまで、豊かな伝統と多様性を誇ります。
和食文化と共に発展した日本の陶磁器は、料理との相性だけではなく、四季を表現するための道具としても利用されてきました。
そのため、色彩が豊かなだけではなく、多様な形状あるのも特徴です。

歴史を深掘ると沼りそうなので、
ココでは代表的な産地と陶磁器の特徴をお伝えしますね。

日本六古窯とは?

"伝統"工芸といえば日本六古窯(にほんろっこよう)。
日本の陶磁器の伝統的な産地を代表する6つの窯元を指し、
全て日本遺産に認定されています。
これらの窯元は、古代から続く伝統技術と独自のスタイルを持ち、日本の陶磁器文化の基礎を築きました。

1. 瀬戸焼 / 愛知県

瀬戸焼は、日本六古窯の中で唯一、磁器の生産も行われている産地です。
13世紀に創始され、現在も国内で最も多くの陶磁器が生産されています。
瀬戸の地は、陶土が豊富で、釉薬の研究も進んでおり、様々な色や質感の作品が生まれています。
1000年もの間、常に焼き物をリードしてきたので、良質な器は「せともの」と呼ばれています。

2. 越前焼 / 福井県 

越前焼は、平安時代末期から続く歴史ある窯元です。
頑丈で実用的な器が多く、焼き締め技法による素朴な風合いが特徴です。
特に、大型の甕や壺が有名で、日常生活に根付いた器が多く生産されています。

3. 信楽焼 / 滋賀県

信楽焼は、たぬきの置物で有名ですね。
素朴で力強いデザインが特徴で、特に耐久性に優れた大物や建築用のタイルなども作られています。
信楽焼の土は、粒子が大きく、焼成後にざらついた質感を持つのが特徴。

4. 常滑焼 / 愛知県

常滑焼は、平安時代から続く歴史があります。
赤褐色の土が特徴で、特に急須や徳利など、茶器や酒器としての評価が高いです。また、焼き締めによる堅牢な作りも魅力です。

5. 丹波焼 / 兵庫県 

丹波焼は、平安時代から続く伝統的な窯元で、焼き締め技法による渋い色合いと質感が特徴です。
特に、酒器や茶器として使われることが多く、自然釉による独特の表情が人気です。
(ちなみに、私の故郷である兵庫県三田市の隣町が産地です。実家にも、たくさんの丹波焼がありますが、現在は色彩豊かでモダンなデザインが多いですよ)

6. 備前焼 / 岡山県

備前焼は、釉薬を一切使わず、高温で長時間焼成することで生まれる自然な焼き肌が特徴です。
特に、茶道具や花器として愛用され、素朴で力強いデザインが日本の美意識「侘び寂び」を象徴しています。

その他の産地

日本の陶磁器=伝統工芸と思われる方が多いですが、実は他にもたくさんの産地があります。
なんなら産地にとらわれず独自の表現をされる職人も多くいらっしゃいます。
ただ、デザインを理解するには産地を知っておいた方が何かと便利なので、もう少しお伝えしますね。

九谷焼 / 石川県

このデザイン、よく知ってる方も多いのではないでしょうか?
九谷焼は、17世紀に創始され、豪華で色鮮やかな上絵付が特徴の磁器です。特に、「九谷五彩」と呼ばれる赤、緑、黄、紫、青の五彩が用いられた作品は、九谷焼の代名詞とされています。

萩焼 / 山口県

萩焼は、柔らかな質感と独特の色合いが特徴で、茶道具として広く愛されています。
釉薬の変化や使い込むことで表れる「貫入(かんにゅう)」と呼ばれるひび割れ模様が、萩焼の魅力の一つです。
陶器らしい温かみと、シンプルなデザインが評価されています。


波佐見焼 / 長崎県

波佐見焼(はさみやき)は、長崎県波佐見町を中心に作られる陶磁器で、約400年の歴史を持つ伝統的な焼き物です。
江戸時代に普段使いの食器として広く普及し、特に「くらわんか碗(わん)」と呼ばれる、庶民向けの食器で知られています。

波佐見焼の特徴は、その実用性と手頃な価格、そして現代的なデザインです。
元々は家庭用の食器として作られていたことから、日常使いに適した丈夫な作りが魅力です。

最近では、若手の作家やデザイナーが新しい感覚を取り入れた波佐見焼の作品が増えており、伝統を守りつつも現代的な要素を取り入れることで、再び注目を集めています。

個人的にオススメなブランド

「伝統工芸」のお話をしたので、「堅苦しいな」「古臭いな」というイメージを持たれたい方もいるかもしれません。
ただ、陶磁器は進化し続けており、現代のライフスタイルに合うモダンな日本ブランドも多く登場しています。

素敵なブランドは日本にごまんとあるのですが、
特に私が好きなブランド(の一部)をご紹介しますね。

1. yumiko iihoshi porcelain


yumiko iihoshi porcelainは、飯干 友美子(いいほし ゆみこ)さんが手掛ける日本のモダンな陶磁器ブランドです。伝統的な工芸とは異なりますが、そのシンプルで機能的なデザインは、現代の生活に溶け込むように作られています。

統一された企画で量産している一方で、釉薬をつける工程は手作業で行うなど、「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」をコンセプトにしています。
(量産と手作りのバランスが素晴らしい…)

またBlue Bottle Coffeeをはじめとした小洒落た飲食店とタイアップしているため、ブランドに箔が付きますね。
私もいくつか使っていますが、和洋折衷に合うお洒落なデザインながら、電子レンジOKで使いやすさ抜群です。

2. ノリタケ

ノリタケは、1904年に創業された日本の老舗陶磁器ブランドで、長い歴史を持つ企業です。
高品質な磁器を生産することで知られ、特に食器やテーブルウェアの分野で広く愛用されています。

100年以上の歴史を持ち、その技術と品質には絶対の信頼が置かれています。皆さんの食器棚にもいくつか忍んでいるのではないでしょうか?

クラシカルなデザインからモダンなものまで、幅広いデザインがあり、国際的にも評価されています。

一重に「これがノリタケだ!」とは言い難いですが、ジブリスタジオとコラボしたトトロの食器は有名です。
家では朝食の時にトーストやサラダを置いていますが、全く子供っぽい感じがせず、繊細なタッチで食卓に賑わしてくれます。

3. マルヒロ

マルヒロは、長崎県波佐見町を拠点とする波佐見焼のブランドで、伝統とモダンを融合させたデザインが特徴です。
機能的でありながら、日常使いに最適な器を提供しています。

400年の歴史を持つ波佐見焼の技術を活かし、シンプルでありながら、ユニークなカラーリングや形状が魅力だと思います。
他のブランドやデザイナーとのコラボレーションにも積極的で、常に新しいスタイルを提案しています。
(個人的にこのスタンス, 伝統の型枠に問われない感じ , が好きで、に習いたいなと思っています!)

4. ハレクタニ

ハレクタニは、石川県の九谷焼を現代的な視点で再解釈したブランドです。伝統的な九谷焼の技法を守りつつ、モダンで斬新なデザインを取り入れています。

典型的な九谷焼の模様を使う代わりに、洋食屋カフェにも合うようなデザインが多い点が特徴です。
インテリアとして置いておくだけでもインスタ映えするのではないでしょうか。
(家にはまだ迎え入れてないですが、コーヒーや紅茶を美味しく飲めそうな↑のマグカップを狙っています。

5. CHOCO ARITA

CHOCO ARITAは、有田焼の新しい可能性を追求するブランドだと認識しています。
伝統的な技法を活かしながら、現代のライフスタイルに合わせた小さくて使いやすい器を、外部のデザイナー・アーティストとコラボしながら提案しています。

形状を「そばちょこ」一本に絞っている点が突き抜けていていいですよね。
多用途ですし、日本らしいカタチだなと思います。
先日銀座のLOFTで見かけましたが、デザイナー・アーティストとコラボされているだけあり、人目を引くイケてるそばちょこでした!

自社はどうしたいか

私たち Teruya / 照屋 も、最初のものづくり・プロデュースに向けて、
プロジェクトの幕を開けました。
まだまだ模索中ですが、こだわりたいポイントは大きく3つあります。

1.現代のライフスタイルに合わせる(モダン化)
伝統を重んじるのは素晴らしいことですが、陶磁器はお飾りではなく「美しい日用品」。
メインターゲット市場であるフランスや欧州の食生活にフィットするものづくりをしていきます。

2.日本らしさを残す(和の要素)
「モダン化」といって欧米のブランドの"モノマネプロデュース"をしたい訳ではなく、日本人の自分たちだからこそ提供できる価値を追求します。
欧米では「Japandi(ジャパンディ)」(Japanese(日本の)とScandinavian(北欧の)をミックスしたインテリアスタイル)が流行っていますので、このトレンドに便乗できる商品を考えてみるのも一手かもしれません。

また、日本には素晴らしい柄や技法がありますので、これらをうまく活かしていきたいですね。
その結果、日本の伝統技術を次世代につなぐ一助になれば嬉しいです。

3.マーケットインに偏重しない (クリエイティビティ)
会社を存続させるために、売れる商品をつくり、売り続ける必要があります。
顧客の声を聴き、顧客の要求や困りごとを突き止め、それらを解決する製品を市場に投入することを、マーケティング用語で「マーケットイン」と言います。
しかし、ユーザーの声ばかりを聞いても、クリエイティブなアイディアは思いつかないよね、というのが個人の見解です。

「自分ならどのようなマグカップを使いたいか」
「大好きなあのお店のクロワッサンにマッチするお皿は、どのようなサイズと色なのか」など、
極めて主観的に「持論ベース」でアイディアを出す時間も必要だと思います。

ただし、アイディアが突き抜けすぎて売れない商品が出来上がってしまう可能性もあるので、
1.主観で考え抜いてから、
2.チームやユーザーにヒアリング&カスタマイズ
にしていきましょうね!

おわりに

いかがでしたでしょうか?
少し堅苦しいお話もありましたが、
少しでも陶磁器の魅力が伝わっていれば幸いです。

また、陶磁器は、ダイニングで食事に使う時が最も輝くので、
気になる商品があれば、ぜひご自宅に迎え入れてあげてください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

よりよいコンテンツ作成のために使わせていただきます(^^♪