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イタリアで習得した「1日で高速道路1,000kmを楽に走る」コツ

世の中、コロナ禍で人との接触を減らす取り組みが求められていて、やむなく出張や帰省される方は、クルマでの移動を選択される方が多いのではないでしょうか。

いまから20年以上も前の話ですが、30代のときに、会社からの転勤命令により、5年間イタリアで生活しておりました。

仕事の都合上、イタリア国内をクルマで移動することがとても多かったです。

電車ではムダな待ち時間が多かったことと、イタリアでは高速道路が発達していて渋滞も少なく効率よく移動できるからです。結果として、到着時間もだいたい事前に予測できていました。

働いていたのが自動車会社だったので、駐在員にはクルマが貸与されるというメリットもありました。

駐在地は南イタリアのアドリア海沿い(東海岸沿い)の小さな町でしたが、主な出張先は、
250km離れたローマ
400km離れたボローニャ
580km離れたヴェローナ
620km離れたミラノ
などでした。

ほぼ毎週、これらのどこかへ出張しているような生活でした。

おかげで、1年間の走行キロは約6万キロでした。
それを5年間続けたので、合計30万キロ走った計算になります。

地球の赤道一周は4万キロ。
なので毎年、地球を一周半走っていたことになります。

これだけ走るなかで、長距離運転のコツを発見しました。

イタリアの高速道路の制限速度は130km/hです。
わたしはだいたい160km/hでクルーズコントロールをセットしていました。
少しでも移動時間を短縮したいため、早く走る必要があったからです。
30km/hの速度オーバーとなるわけですが、30km/h超ならば速度違反で捕まっても、免停や取り消しにはならず、罰金で済みます
また、日本ほどオービスなどの設置は(当時は)少なかったので、160km/hと決めていました。

私の経験上、160km/hが速さと疲労のベストバランスだったのです。
日本では考えられないバランスですが、一日に1,000キロを走るような経験を積んでいった結果、たどり着いたバランスでした。

160km/hを超える速度で走っていると、加速度的に疲労が高まっていくように感じました。

1,000キロを一日で走るという体験は、日本ではなかなか難しいかもしれませんね。
東京から1,000キロというと、西に走ると九州に入る手前の下関あたりです。北に走ると札幌あたりとなります。下関や札幌まで一日で走る方はあまりいないと思います。
なにしろ、制限速度が100km/hで、しかもアチコチで渋滞アリ。
さらに、追い越し車線を遅い車がチンタラ走っていることも多いですからね。

しかし、ヨーロッパでは1,000キロは決して無理な距離ではないのです。とはいえ、ちょっとしたコツは必要です。
わたしが実体験から習得したコツを伝授しましょう。

私の一日での最長走行距離は、ミラノ日帰り出張の1,240キロでした。出張というぐらいですから当然ミラノで仕事(4時間ほど)もしました。
朝6時に家を出て、帰宅は夜の10時でした。

ヨーロッパでは、80km/hのようにゆっくり走るクルマ(たとえばフィアット・チンクエチェント)もいますが、追い越し車線をトロトロ走って速いクルマの邪魔している光景はまず見かけません。

モンキーパンチ

チンクエチェント


速いクルマとの速度差が大きすぎるので、追突の危険が高いのです。そのことを遅いクルマを運転するドライバーがちゃんと認識しているからです。

なので、速いクルマ(ベンツ、アウディ、BMWなどです)は追い越し車線をスムーズに自分のスピードで走れるのです。

長距離を走るときにはまず、目的地までの距離から必要時間を見積もります。
160km/hで走るつもりでも、100キロ走るには1時間かかると見積もります。休憩時間、カーブや上り坂での減速、料金所での一旦停止などを考慮すると160km/hで走り続けているつもりでも1時間にせいぜい100キロ程度しか進めていないものなのです。

したがって、1,000キロ走るためには休憩などを含めて10時間かかる計算になります。
朝8時に出発して到着は10時間後の夕方6時です。

そして、10時間で走りきるためには、休憩時間や昼食時間はなるべく短くします。そして休憩の回数をなるべく少なくします

ガソリンを満タンにして走り出したとしたら、その満タンのガソリンがほぼエンプティーになるまで走り続けます。だいたい400キロです。日本でいうと、東京から名古屋までノンストップで走り切るイメージです。

400キロ走った後、給油するときに休憩します。この休憩は10~15分程度にとどめます。休憩は意識していないとついつい長くなってしまいます。サービスエリアのスタンドBARで、エスプレッソ・ドッピオ(ダブルエスプレッソ)を立ったまま3口で飲んでおしまい。ほんの3分です。あとはトイレを素早く済ませるだけでクルマへ戻ります。

たった10~15分の休憩で疲労が回復するのでしょうか。
この10~15分休憩を可能にするのが、運転のコツです。

運転は、自分で決めた巡航速度をできる限り守ることが大事です。
160km/hでもいいし、140km/hでもいいのですが、前後にクルマがいなくても、クルーズコントロールの速度を守り続けて、それ以上のスピードを出さない
これが疲れを軽減するコツなのです。つまり、集中力を少し落として走ることです。

逆に、多少のカーブでも減速しない。クルーズコントロールをセットしたまま走り抜ける。この場面では一時的に集中力を高める。
一度減速すると、もとの巡航速度に戻るまでにどうしても時間的ロスが発生します。これが重なるとけっこうなムダにつながります
意識していないと元の巡航速度まで戻さずに、ゆっくりめに走り続けてしまうことすらあるのです。

もうひとつは、上り坂です。
上り坂では平坦なところと同じようにアクセルを踏んでいても、いつの間にかスピードが落ちています。
上り坂でもクルーズコントロールをセットしたまま走り続けます。あるいは、アクセルを強く踏んでスピードが落ちないようにします
こうすると、スピードを上げたような感覚になり、慣れないと少し怖いですが。

要するに、なるべく疲労せずに、一定のスピードをキープし続けることがポイントです。

そして一定のスピードをキープし続けると、燃費も良くなります。
こうすることによって、給油回数も減ることになりますし、ガソリン代も節約できます。

400キロごとに給油する計算ですから、1,000キロ走る間に休憩は2回だけです。そのうちの1回に昼食をとります。

日本で、東京から下関まで走る間に休憩2回というのはちょっとシンドイと思います。なにしろ制限速度100km/hでは時間がかかりますので。

もし、イタリアに限らず欧州へ旅行される機会があれば、一度1,000キロドライブに挑戦してみるのも面白いかもしれませんよ。





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