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中国・武漢での生活は、オドロキの連続!

新型コロナウィルスで、一躍世界にその名を知らしめた中国・武漢
私はその武漢に、丸6年、駐在していた
2007年から2013年。
武漢は人口1000万人の大都市で、内陸部の交通の要所。
大通り沿いには高層ビルが立ち並んでいるが、一歩裏の路地に入ると
間口の狭い商店や簡易食堂が立ち並び、崩れ落ちそうなアパートが肩を寄せ合っていた。
おそらく数十年前から変わらぬ景色なのだろう。

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店の軒先に、食肉が針金でつるされていたり、数羽のニワトリがカゴの中で息苦しそうに鳴いていたりする。
そして中国独特の香辛料や油のニオイが路地全体を包んでいる。

武漢は、中国四大竈(かまど)と呼ばれる都市のひとつとされ
夏暑く冬寒い。
特に夏の蒸し暑さは東京の比ではなく、ときに40度を上回る
外を歩いていると、クラクラしてきて意識朦朧となるほど。
夜になっても蒸し暑さが収まらない。
地元のおっちゃんたちは、家の中の暑苦しさに我慢できず、
夕方になると、上半身はだか、ステテコ一枚で通りへ繰り出す。
路地に、折り畳みビーチチェアが所狭しと並び、
おっちゃんたちは背もたれを倒して、朝までそこで寝るらしい。
おばちゃんたちも薄いパジャマにハンドバック抱えて外へ出て、
散歩しながら夕涼み。

中国はごく一部を除いて、治安には問題がない。
武漢でも、夜、安心して出歩くことができる。
ただ、おっちゃんたちのビーチチェアをよけながら歩く必要はある。

中国人たちは、あまり自炊しない。というか、あまり料理が得意ではない。料理は専門家に任せる。
分業が進んでいるといえるかもしれない。
朝食は、通りに並んだ屋台で作っている炒め物やおかゆなどを
テイクアウトして歩きながら食べる。
ランチや夕食も、簡易食堂で済ませる。
そもそも共働きがあたりまえで、女性が食事を作るという常識も存在しない。

中国では、男性の人口が女性よりも3000万人も多い。
女性が結婚相手として男性に求める重要な条件は、料理ができるかどうかだ。料理の出来る男性はモテる。
いくら外食文化とはいえ、時間のある時には家で家族で食卓を囲みたいと思っているからだ。
そしてさらにいうと、家とクルマを持っているとさらに結婚の対象として有利になる。
とにかく結婚は、女性にとって買い手市場なのである。

ご存知の通り、中国には「乾杯(干杯:カンペイ)」という文化がある。
仕事上の宴席のみならず、あらゆる仲間との飲み会においても、乾杯せずに杯に口をつけるのはマナー違反である。
つまり、お酒を一口飲む前にはかならず誰かと乾杯する。
乾杯する目的は、相手に対して敬意を表すためだ。
なので、敬意を表すべき人が同席していない場合は、乾杯をしない。
というか、そういう場合にはお酒を飲まない。
実際、家族で食事するときにはお酒を飲まない。
つまり、お酒は食事をより楽しむためではなく、誰かに敬意を示すために存在する。

私は経理財務が主担当業務だったため、中国の銀行からときどき会食に招待された。相手の銀行側は偉い役職者数名のほかに、必ず一人、若くて美人の女性が同席する。
彼女の役割は、相手側の主賓(つまりわたし)に酒を飲ませることだけである。徹底的に私をマークして、乾杯を要求するのである。
相次ぐ乾杯要求にひるんでいると、「私の注いだお酒が飲めないのですか?」と迫ってくる。
彼女は、顧客との宴席での乾杯要員として、銀行に採用されている「酒豪」なのである。採用面接時に酒を飲んでみせて、その「酒豪」ぶりをアピールするのだろうか。

中国でよく飲まれるのは、「白酒(バイチュウ)」というコーリャンやイモなどが原料の蒸留酒で、38度から45度という高アルコール度数。
この白酒で乾杯を続けていると、知らぬ間に意識を失う。これによって、彼ら(銀行側)は十分に接待したことになる。
そして翌日の午前中、私は会社の保健室で点滴を打ちながら半日寝て過ごすことになる。

日本で親しまれている「紹興酒」は、産地である紹興の周辺では一般的に飲まれているが、他の地方ではあまり飲まれず、レストランでも置いていない店が多い。どちらかというと、マイナーなお酒。
また、中国では冷たい食べ物、飲み物はおなかを壊すといわれていて、レストランでもビールは冷やさずに出てくる。(いまもそうなのだろうか。)

とにかく、文化、価値観、習慣の違いに、6年間、毎日がサプライズ。

これから数回にわたって、中国でのサプライズ経験をもとに、文化・価値観の違いをお話ししていきたいと思います。

お楽しみに!


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