中国、奥深い「食」のお話 ~その2~
今回も中国・武漢在住時に各地で経験した「食」についての話題をお送りしましょう。
前回は、武漢の食から、重慶→成都と話が移ってしまいました。
武漢に戻りましょう。
武漢人の朝食には欠かせない「熱干面」
武漢の庶民にお決まりの食は、なんといっても「熱干面(ルゥーグァンミェン)」でしょう。
つゆ無し麺で、芝麻醤ベースのどろどろタレがかかって提供され、麺とよく混ぜ合わせていただきます。
アーモンドのような香りに包まれて、とても美味。日本人好みだと思います。
武漢人は、朝食に熱干面を屋台で買って、歩きながら、あるいは通勤のバスの中で食べたりします。食べ終わると空のカップは道路に投げ捨てます。
道路にゴミが落ちていないと、役所の清掃員の仕事が無くなっちゃいますからね(笑)。
真夏の夜はガーデンテラスで「ザリガニ」パーティー
夏になると、店の前の空いたスペースに大きなシートが屋根代わりに張られ、プラスチックの椅子とテーブルが並べられ、「屋外ザリガニレストラン」が登場します。
ザリガニは先進国でも食べるので珍しくはないですが、バケツなどに山のように盛られて提供されます。それをテーブルを囲んだ仲間たちと、薄い使い捨て手袋をした手を使ってむしゃぶりつきます。殻をむくと、食べるところはとても少ないので、腹に溜まるまで食べたころには、殻が山盛りになります。殻入れの皿も用意されますが、テーブルの上や地面は殻の破片でぐちゃぐちゃになります。全員の口のまわりや手のひらは真っ赤に染まります。
まあ、まずくはないですが、特別美味しいものでもないかな。ピリ辛です。
忘れられない 武漢「四季美」の小籠包
そして私が足繁く通った店は、小籠包の「四季美」という店です。
江漢路沿いの雑居ビルに入っていて、庶民が好む小籠包専門店でした。
「でした」というのは、あれだけ繁盛していたのに、なぜか突然閉店してしまったのです。どこかほかの場所に移って開業しているのでしょうか。現在武漢在住の方で、どなたかご存じなら教えてほしいです。
小籠包といえば、台湾の「鼎泰豊」が有名ですが、個人的には「四季美」のほうがおいしかった印象です。しかも、超安かった! 四季美の写真がないのが残念です。
若い女性に大人気? 「鶏の足」
中国人が愛してやまないのが、「鶏の足」です。
鶏の足を茹でて、酢漬けにして味付けしたものです。
鶏の足なんて、皮と骨しかないように思うのですが、これを一生懸命にしゃぶります。そして皮とほんの少しの肉を、歯と舌で上手にはぎとります。
スーパーとかでスナックとして、真空パックでも売っています。
バッグに放り込んで持ち歩き、電車のなか、バスのなか、飛行機のなかでポリポリ、むしゃむしゃ。
音を立てないと食べている実感がわかないのでしょうか。
私も1、2度食べました。たとえるなら「塩昆布」をしゃぶるような感覚です。
気のせいかもしれませんが、若い女性がよくしゃぶっている印象です。「コラーゲンたっぷり」とか宣伝されているのかもしれません。
本場、蘭州「馬子禄」の牛肉面
最近、日本でよく見かける「蘭州ラーメン」。
発祥は、中国の西部、甘粛省蘭州にある「馬子禄」という老舗の牛肉面です。
一度だけ出張で蘭州へ行ったときに、馬子禄の本店で牛肉面食べました。
たしか、2010年ころだったと思います。
幸い、ブログに写真をアップされている方がいましたので、拝借しました。
はっきり言って、ただのラーメン食堂です。
ラーメンはこんな感じで、ただのラーメンでした。
日本人にとっては、スープや牛肉の味が奥深いわけでもなく、特別美味しいとは思いませんでした。
まさか日本に上陸して、これだけ蘭州ラーメンがメジャーになるとは思ってもみませんでした。だれか仕掛け人が日本人好みにアレンジして、「蘭州」という異国チックな名前も使いながら、市場を開拓したんでしょうね。大したもんです。
昆明では、昆虫と米線とキノコを食す
ベトナムにほど近い、中国の南西に位置する雲南省昆明。
少数民族が多く暮らすこの町は、独特の食文化を持っています。
ひとつは昆虫食。
私は、約50年間イナゴの佃煮を食べたことがなかったのですが、
幸運にも(?)昆明での会食の場でいただくハメとなりました。
佃煮ではなく、素揚げでした。
サクサクとした触感で、スナック菓子を食べているよう。
世界の人口増により、食料危機が訪れるかもしれないので、貴重なたんぱく源としての昆虫食が、日本でも研究され始めているようです。
当たり前のように食卓に登場する日が来るかもしれないですね。
そして、雲南省ではコメ栽培がさかんで、麺はコメ麺が主流。これを米線と呼んでいます。さっぱりした味付けでいくらでも食べられます。
キノコもよく食べます。
さまざまなキノコの入った鍋は定番です。すっきりした薄味でカラダに浸みいるスープです。
ここでは書ききれませんでしたが、東北地方の水餃子、内モンゴルの羊料理、北京の朝廷料理や北京ダック、上海の上海ガニ、揚州のチャーハンや
まんじゅうなど、まだまだ印象に残る料理に出会いました。
元来、中国人は、中国料理の右に出るものはないと自負していて、他国料理にあまり興味を示しません。
「中国人は、机以外の四つ足はなんでも食べる」と言われることもありますが、地方ごとに素晴らしい食文化を持っていて、現代の人たちも守り続けているように感じます。
中国4千年の歴史が育んだ「食」は、奥深いです。
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