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「報・連・相」できないヤツはダメ社員?

上司は、自分の席に座って、パソコンで仕事しているフリして「報・連・相」を待っている?


日本の伝統的な会社で働いている方、こんな光景を社内のあちこちで見かけせんか?
そして、役員や上層部から「報・連・相は大事だ!」みたいな掛け声がかけられていませんか?

欧米では、「報・連・相」なんて言葉はないし、上司とマメにコミュニケーション取ろうとしたりもしないのです。

そう、日本人独特の「一体感」、「連帯感」みたいなものが「報・連・相」の根底にあるのです。

そもそも、「報・連・相」という慣行は、日本の勤務評定制度につながっているのです。
みなさんも半年または1年に一度、上司から勤務評定を受けますよね。
会社の勤務評定はどのような評定基準を使っていますか?

目標に対する達成度(※)」はもちろんあるでしょうが、
それ以外に「勤務態度」みたいな評定基準があったりしませんか?
具体的な項目でいうと、「協調性」「責任感」「積極性」などです。
欧米の会社には、「勤務態度」なんて評定基準はありません。

(※)「目標に対する達成度」は、「目標管理:MBO(Management by Objectives)」と呼ばれます。 

日本では、上司やチームの仲間と、仲良く協力して仕事を進められることが重要視されます。
なので、勤務態度の評定基準が存在するのです。
そこで、「報・連・相」が、部下の勤務態度を見極める助けになるのです。

さらに、日本の「報・連・相」には、それ以外にも大事な意味合いがあるのです。「上司への忠誠心」、「上司に寄り添う姿勢」ということです。
こういう姿勢を示す部下が上司にとって、愛い(うい)ヤツなのです。そして愛いヤツは昇給昇格のチャンスを手にするわけです。

つまり、「報・連・相」は、上司に好かれるための必須の行動なのです。

こういう環境が嫌いな人は、日本を飛び出しましょう!

欧米の会社では、「報・連・相」はまったく重視されません。

日本と違うところ、その1
欧米では、与えられた仕事の進捗状況を、部下から上司に積極的に途中報告などしません。その仕事が完了してから、提出あるいは報告します。
進捗状況を知りたい上司は、部下の席に行って質問します。
あるいは、足の長い仕事であれば、あらかじめ「マイルストーン」などと称して、月に一度の進捗報告会を定例化しておきます。
部下は不定期に、あるいは頻繁に上司の席に行く必要がありません。

日本と違うところ、その2
自分に与えられた仕事を遂行するにあたって、上司に相談せず自分でやりきることが、能力ある人間とみなされます。したがって、可能な限り自分でやり切ろうとします。なぜならそれが高い評価につながるからです。

日本と違うところ、その3
部下に仕事を指示するとき、上司は、与件、制約、期限などを整理して部下に伝えるので、部下は仕事を進めている途中で上司に相談する必要が少ないのです。日本では上司の指示が曖昧であることが多いように感じます。

日本と違うところ、その4
勤務評定の基準は、MBO(目標管理)のみです。責任感やら協調性やらは評定基準にはありません。なので、部下は一匹狼的に自分の仕事に集中します。

日本と違うところ、その5
上司は、自分の席に座って部下が来るのを待つのではなく、必要があれば部下の席に行って話しかけます。常に部下が主役で上司はサポート役です。
上司の役割は目指す方向を部下に指し示し、そしてそのあとは部下へのサポート役に徹します。

上司と部下の関係がとても明瞭で健全です。日本のように「報・連・相」のウラに潜むいやらしさはありません。

日本では、「報・連・相」ができないやつはダメ社員とみなされがちですが、欧米ではそんなもん必要ないのです。なぜなら上司からアプローチしてきますから。

日本でも欧米のように、サバサバとした上司・部下の関係の下で仕事をしたいものです。しかし、根底に流れているのは、個人主義の社会と集団主義の社会の違いです。これは一朝一夕には変わることはないでしょう。

とはいえ、日本も少しずつですが若い世代は個人主義へと移りつつあるように感じます。
昔は、ファッションの流行に左右される人が多かったですが、現代は流行に流されることなく、個人個人が好むファッションを主張し楽しんでいますよね。
昔は、大企業志向の若者が多かったですが、最近は自分で企業を立ち上げる「アントレプレナー」志向が増えているように感じます。これも集団主義からの脱却のひとつではないでしょうか。

将来、「報・連・相」という言葉も、評定基準の「勤務態度」という言葉も姿を消す日が来るかもしれませんね。


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