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=GRIT=  実は、「根性論」は欧米人にも通用するのです

「オラ~、何やってんだ~!根性が足りないんだ~!」
「もっと、気合をいれろ~」

ひと昔前の高校野球でもあるまいし、いまどき社内でこんな罵声を浴びることなど無いと信じたいです。

とはいえ、日本ではこれに近い「根性論」が世間に根強く残っているのではないでしょうか。

そしてこの「根性論」は、日本独特の精神論であって、海外では通用しないと思っていませんか?

そうでもないのですよ。

実は海外でも成功者の必須条件として、「GRIT(やり抜く力)」が注目を集めています。

アメリカの心理学者 アンジェラ・リー・ダックワース氏が提唱した 「GRIT」理論が教育界や産業界で議論を呼んでいるのです。

つまり、
「人生で成功するには、IQの高さや天賦の才能よりもGRITのほうが重要であることが科学的にも裏付けられている」というのです。

GRITとは、以下の4つの単語の頭文字をとった造語です。

G = Guts (度胸):逆境にめげない
R = Resilience (復元力):挫折から立ち直る
I  = Initiative (自発性):率先して事に当たる
T = Tenacity (執念):何があっても目的に向かってやり抜く

いわゆる「根性論」と重なる部分が多いと思いませんか?
とくに、Tenacity (執念)は、根性に近いものを感じませんか。

天才が成功する確率はわずか2%と言われています。
もしあなたがGRITを高いレベルで持ち合わせている、あるいはそうなるように努力しているならば、あなたより10倍アタマがいい人よりも、あなたのほうが成功しやすいのです。

天才は、才能のせいで努力を怠るようになり、大人になって何かしら壁にぶちあたるとお手上げ状態になる傾向があるのです。

このGRITが日本の「根性論」と異なる点は、「GRIT」を育てていくための手法が示されていることです。
単に、「気合い入れろ~」とか「根性だせ~」などと威勢の良い言葉を投げて発破(はっぱ)をかけるのとは違います。

もしあなたが、海外の会社でマネジャーとして欧米人の部下を持つことになったら、「根性論」なんて絶対受け入れられないなどと思い込むのではなく、ぜひ彼らのGRITを育てることを意識しましょう。
それがあなたの部門や会社の飛躍につながるのですから。

では、具体的にどのように彼らのGRITを育てていくのでしょうか。
アンジェラ・リー・ダックワース氏は次のような観点で導いていくことを提唱しています。

1.今よりも少し難しいことに挑戦させてみる
2.成功体験を積み上げさせる
3.GRITの高い人と行動を共にさせる
4.GRITを発揮したときに、上司が褒める、称える
5.長期目標を持たせる

これらは「発破をかける」ような単に感性に刺激を与えるのとは異なり、具体的な行動を促す手法となっているのがわかると思います。
まさに部下に寄り添って成長をサポートするマネジャーの大きな役割です。
一人一人に見合った手法により、GRITを高めていくことが大事なんだろうと思います。

私は、海外4か国(イタリア、カナダ、中国、ドイツ)に駐在して、22年間日系自動車会社の海外現地法人で各国のスタッフを部下に持ち、彼らとともに働いてきました。
赴任する前は、欧米人は常に冷静に論理的に思考し、自分にできることとできないことを区別し、できないことには手を出さないという先入観を持っていました。
ところが毎日一緒に働いてみると、意外な一面が見えてきたのです。
それは「未知の世界にチャレンジしようという心意気」であったり、「なんとかして壁を乗り越えてみたいという執念」であったり。

日本でいう「根性論」と共通するものを感じて、言葉の違い、肌の色の違い、価値観の違いを超えた親近感を覚えたものです。

異文化圏で働きながら、価値観や習慣の違いに常に気を配りながらも、このような親近感を感じた瞬間は自分にとって貴重な体験だったと思います。




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