【R-ACE】《沼地のドロゴン》懐疑派による「ラドン型」考察Vol.1(基本編①)【遊戯王】
はじめに……そして注意書き
おはようございます。私はディナーベルと呼ばれている者です。
普段は『マジック:ザ・ギャザリング』を遊んでいますが、カードゲームの原体験は『遊戯王OCG』で、小学生の頃からカジュアルともガチともつかない距離感でかれこれ15年程続けております。
現在は最寄りのカードショップが10km以上先という山奥で、Discordのリモート対戦で身内の【烙印】や【ピュアリィ】などとプロレスして過ごしている、特に実績は残していない一般決闘者です。
ここ最近の再録ラッシュで全体的にカードの相場が落ちたことを受けて、これまで価格を理由に購入を躊躇っていた汎用カードを揃えた際に、「せっかくなら環境にいるデッキを1つくらい組んでみたいな」と考え、イラストの格好良さに惹かれて【R-ACE】を構築しました。
【R-ACE】自体の魅力や強みは他の使用者の方々が動画や記事などで解説してくださっているので、この記事では割愛させていただきます。
最近巷では《プロキシー・F・マジシャン》と《沼地のドロゴン》によって《R-ACEタービュランス》への《無限泡影》をケアする展開が一般化しており、私もその利用者でした。
しかしそれを利用していくうちに、「他にもっといいギミックはないのかな?」という逆張り精神……もとい邪念が芽生え、この記事の執筆に繋がる試行錯誤が始まりました。
ここでは私が体感した【R-ACE】の弱点、そしてそれを克服すべくドロゴンを投げ捨てて「バリラドン」という悪魔に魂を捧げた一般決闘者の私見を述べていきます。
自分以外誰も使っていないであろうデッキ(記事投稿当時)の解説ということで結構な情報量となってしまいましたが、是非お付き合いください。
……あ、当然ながら全文無料です。
第1章 バリラドン型【R-ACE】とは何か?
百聞は一見に如かず。
まず最初に、自分が2023年4月期に使用していた構築を載せます。
【R-ACE】有識者の方々はもうこの時点で頭痛を起こしているのではないでしょうか。私も「どうしてこんなふざけた構築になってしまったんだ……」と思っています。
上の構築と、一般的に環境で結果を残していた【R-ACE】の構築との差異は以下の通りでしょうか。
差異が生じている理由は、この記事を読み進めていけば分かります。
それでは行ってみましょう。
Ⅰ.「バリラドン」ギミックの概要
令和以降の現代遊戯王を嗜んでいる決闘者の方々で、「バリラドン」ギミックを知らない方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、一応概要をご説明します。
ギミックの根幹をなすのはこの2枚。
要は縛りの緩い機械族リンク2モンスターである《警衛バリケイドベルグ》と適当な機械族モンスターを素材に《幻獣機アウローラドン》をリンク召喚し、その効果で好き勝手しよう、というものです。
《幻獣機アウローラドン》の召喚後(正確には①の効果発動後)には「このターンは追加でリンク召喚できないよ」という制約が付きますが、その制約をもらってなお余りある可能性がこのギミックにはある訳ですね。
【R-ACE】は戦士族と機械族が中心のテーマであるため、「バリラドン」ギミックを搭載することが可能です。
しかし大いなるギミックには大いなるリスクが伴うもの。
「ラドンで持ってくるモンスターを素引きすると扱いに困る!」
「メインデッキを圧迫するため手札誘発が入れにくくなる!」
「EXデッキを圧迫するため対応力が落ちる!」
「そもそもあらゆる手札誘発に弱い!」
などデメリットは枚挙に暇がなく、所謂「展開系」に分類されるデッキでもない限り、環境で目にすることは稀です。
Ⅱ.「バリラドン」ギミックの採用理由
しかし私はそれでも【R-ACE】に「バリラドン」を採用することを選びました。一体何故か?
……遡ること数週間前。【R-ACE】のメインパーツを揃え、主要な手札誘発を詰め込んでデッキを完成させた私は、ウキウキで知人に対戦を持ちかけました。意気揚々と臨んだ初陣の結果は以下。
と、まあこんな感じでほとんどメインギミックを通してもらえずボロ負け。
自分のプレイングの浅さ(そして相手の引きの良さ)もありましたが、この1マッチだけでも、【R-ACE】が内包する弱点を体感するには十分すぎました。
このデッキの弱点、それは以下の3点です。
《R-ACEタービュランス》の4枚セット効果に力点が集中しすぎているため、そこに妨害を挟まれるとプランのほとんどが瓦解してしまう
テーマ内のカードでは魔法と罠の除去や無効化ができない
テーマ内モンスターの妨害効果が《R-ACEプリベンター》のみで、相手ターンに展開はできるが前面の妨害の質はやや貧弱
《沼地のドロゴン》を用いた展開は、1つ目の弱点を補強するものでした。
しかし2つ目と3つ目の弱点を克服するとなると、《沼地のドロゴン》展開のみでは不十分です。
【R-ACE】には「タービュランスの効果を安全に通す」ことを前提として、「相手の返し札から伏せカードを守ることができる」「妨害効果を持つモンスター」を召喚するギミックが必要でした。
――そこで目を付けたのが「バリラドン」ギミックです。
第2章 【R-ACE】におけるバリラドンの活用方法
それでは、具体的にどのようにして【R-ACE】において「バリラドン」を活用していくのか? について解説していきます。
『デュエリスト・ネクサス』における《R-ACEプリベンター》と《EMERGENCY!》の登場以後、これまで《R-ACEファイア・エンジン》などに頼るしかなかった【R-ACE】の展開力は飛躍的に強化されました。
具体的に言うと、
《R-ACEハイドラント》1枚のみからは《R-ACEプリベンター》を利用することによってリンク3までが確定
《R-ACEエアホイスター》1枚のみからは《R-ACEタービュランス》を頼ることにはなるもののリンク4までが確定
という展開力となっています。
当然、《R-ACEファイア・アタッカー》《R-ACEファイア・エンジン》が手札にあればその分だけリンク数は伸びますし、エアホイスター初動で手札に他のR-ACEがいれば、サーチした《EMERGENCY!》でそのR-ACEをリリースすることによって展開リソースを稼げます。
何度も言及した《沼地のドロゴン》ギミックはこの展開力に裏打ちされたものであり、《I:Pマスカレーナ》や《デコード・トーカー・ヒートソウル》などを利用した戦略はもはや【R-ACE】の基本です。
しかし、《沼地のドロゴン》も《I:Pマスカレーナ》も《デコード・トーカー・ヒートソウル》も自分の伏せカードを守ることはできません。
そのため、せっかくバリラドンを利用するなら、「何らかの無効・妨害効果を持ったモンスター」を出すことが望ましいです。
こういうときにはやはり……
《ヴァレルロード・S・ドラゴン》を出す
こいつの出番です。
というか「バリラドン」ギミックってこいつを出すためにあるようなものでしょうしね。(語弊)
従来の【R-ACE】の展開は、対戦相手に「《ハーピィの羽根帚》か《拮抗勝負》をドローすれば返せる!」という希望を持たせてしまっていましたが、こいつはそのような希望を粉砕します。
実際こいつを出すようになってから、相手の爆速サレンダー率(?)は有意に上がりました。「バリラドン展開が通ってしまった」ことが対戦相手に与える衝撃というのはそれほど大きいものなのです。
また、後の展開例の項目でも述べますが、「バリラドン」ギミックは《R-ACEハイドラント》1枚初動で成立する都合上、こいつは従来の《沼地のドロゴン》と同じくタービュランスへの《無限泡影》ケアになります。最高ですね。
【R-ACE】の弱点克服という目的はこのドラゴンでほぼ達成できる訳ですが、「バリラドン」展開では中継地点に何らかのシンクロチューナーが利用されることは珍しくありません。【竜星】におけるボウテンコウとかね。
【R-ACE】に合うようなシンクロチューナーっているのかな……とぼんやり考えながら検索したところ、いました。絶好のヤツが。
《焔聖騎士導ーローラン》を出す
《焔聖騎士導ーローラン》さんです。
テキストを要約すると、「シンクロ召喚に成功したターンのエンドフェイズに《R-ACEインパルス》か《R-ACEエアホイスター》を手札に加える。」と書いてあります……なんだこいつオリカか!?
【R-ACE】有識者の方々ならお分かりいただけるでしょうが、有識者ではない方のために、こいつの①の効果で手札に加わることが多い《R-ACEインパルス》が具体的にどのようなカードなのかをご説明します。
重要なのは②の効果で、相手の行動に反応してデッキから直接R-ACEモンスターを場に出せるこのモンスターは、実質的に《灰流うらら》や《増殖するG》のような手札誘発として機能します。
すなわち《R-ACEインパルス》は、相手ターンを迎えるに際して、文字通り喉から手が出るほど手札に欲しいカードなのです。
それが確定サーチできるのです。
……つまり【R-ACE】における「バリラドン」は、「【R-ACE】の弱点克服」と「インパルスの確定サーチ」を両立できる、とんでもないギミックだったんだよ!
「インパルスの確定サーチ」が画期的な理由は他にもあります。
多くの【R-ACE】には初動確保のために《金満で謙虚な壺》が採用されているためです。最初に提示したデッキリストにも入っていますよね。
このカードは発動するターンにドローができなくなるという制約があり、従来の【R-ACE】の展開の終着点の1つだった《デコード・トーカー・ヒートソウル》の強みを打ち消してしまっていました。(そのためヒートソウルをコストで除外する方も多いです)
しかし《焔聖騎士導ーローラン》の効果によるサーチはドローではないため、制約をすり抜けて手札を増やすことができるのです。
この発見により、邪念から始まった試行錯誤は新たな段階を迎えました。
「ラドンで持ってくるモンスターを素引きすると扱いに困る」?
――オライオンを2枚入れれば何とかなるだろ。
「メインデッキを圧迫するため手札誘発が入れにくくなる」?
――通ればインパルスっていう最強の手札誘発が手に入るんだ。
「EXデッキを圧迫するため対応力が落ちる」?
――《ヴァレルロード・S・ドラゴン》は対応力の極致だ。
「そもそもあらゆる手札誘発に弱い」?
――バリラドンに撃ってくれるなら、タービュランスの効果は通るはずだ。
……こうなってしまってはもうおしまいです。
すっかり私はバリラドン型【R-ACE】に取りつかれてしまいました。
第3章 素引きしたらどうする?
以上の解説を通して、【R-ACE】において、「バリラドン」ギミックを採用するメリットは大きいことをなんだかんだ理解していただけたのではないでしょうか。
……え? 「箇条書きマジック」? そんな言葉もありますよね。
しかし読者の方々には、あの疑問が残ってしまっていることでしょう。
すなわち、「メインデッキに混入しているゴミ(婉曲表現)を素引きしてしまったらどうするのか?」という問題です。
私もその問題を解決するべく、デッキの枚数を増やしたりなんだりなどといった試行錯誤……という名の迷走を繰り返しましたが、その結果として判明したのが、「実のところ何を素引きしてもそんなに困らない」という事実でした。
いったいどういうことなのか、以下に説明を述べます。
Ⅰ.《幻獣機オライオン》の素引き
まずは「バリラドン」ギミックの肝であり、同時に一番のリスクファクターとされるこいつから。
基本的には《幻獣機アウローラドン》の効果で引っ張ってくるのでデッキに埋まっててほしいカードですが、1枚でリンク2になれることから、手札の内訳によりますがきちんと初動として機能してくれます。
先手の場合は《警衛バリケイドベルグ》となり、手札を捨てる効果で《R-ACEプリベンター》の召喚コストをまかなうことができればバリラドン展開が成立します。
後手の場合は《トロイメア・フェニックス》や《空牙団の懐剣 ドナ》となって露払いをしてくれます。
もちろん、他に初動になるカードがあれば雑に手札コストにしていいので、展開の助けになってくれます。
最初は1枚のみの採用でしたが、素引きするとハイドラント1枚初動の出力がガタ落ちするため困ったこと、仮に2枚採用して2枚とも重ね引いてしまっても、以下の手順を踏むことにより《転生炎獣アルミラージ》と《I:Pマスカレーナ》の2体を揃えられるので十分と考え、現在の体制(2枚採用)となりました。
ごく稀に本当に動けない初手(オライオン+R-ACE魔法罠4枚とか)を渡されることがありますが、これはそもそも【R-ACE】がそのような事故の可能性を内包しているデッキであり、仮にオライオンの枠が別のカードであっても大差ないので、割り切りが大切です。
Ⅱ.《焔聖剣-デュランダル》の素引き
次は《焔聖騎士導ーローラン》の効果によって、デッキから墓地へ落とされるこのカードの素引きについて。
……テキストを読めば分かりますよね。何の問題もありません。
このカードは①の効果によって《増援》とほぼ同じ役割を担えるので、展開途中に適当なモンスターに装備して、《R-ACEインパルス》か《R-ACEエアホイスター》と引き換えればお仕事終了です。
ローランの効果は利用できなくなるのでエンドフェイズに手札は増えませんが、「後続を持ってくる」という目的自体は達成しているので問題ありません。
何より大事な点として、このカードには装備先の指定がありません。そのため後手で素引きした場合は、相手モンスターに装備すると初動を確保できます。覚えておきましょう。
メインデッキに混入しているカードたちを素引きした場合の使い道は以上の通りです。
「ゴミ(婉曲表現)」として扱われることが多い彼らですが、このデッキにおいては多様な役割を持つ大切なパーツなのです。
第4章 展開例
それぞれのパーツの解説も済んだところで……お待たせしました。展開例の紹介です。
基本的に展開ルートが長いので、動画にしています。
詳しいルートはそれぞれのツイートのリプライ欄にぶら下げておくので、「な……何が起きてるんだ……!?」という方もご安心ください。
展開の基本は「最小限のリソースで」「最大限の出力」を得ることです。
したがって基本的な1枚初動から記述していきますが、このデッキは《幻獣機オライオン》という爆弾を抱えているため、初手によってはかなりのアドリブが要求されます。
もしこのデッキを参考にする方がいらっしゃいましたら、変な初手が来た際に動揺しないよう、練習は怠らないようにしてくださいね。
Ⅰ.《R-ACEエアホイスター》(1枚初動)
まずは基本の「キ」。エアホイスター1枚からの展開です。
1枚初動でありながら、妨害の量と質が最も優れている展開です。通りさえすればまず負けません。
しかし展開途中にタービュランスを絡ませる都合上、最も相手の妨害で止まりやすい展開でもあります。途中下車も難しいので、ハイリスク・ハイリターンな展開だと言えます。
Ⅱ.《R-ACEハイドラント》(1枚初動)
次は基本の「ホ」。ハイドラント1枚からの展開です。
最低限ながらも、きっちり1妨害と後続を構えられています。
従来の構築では《デコード・トーカー・ヒートソウル》単騎で止まるしかないことを考えると、この展開ができることは素直に利点だと言えますね。
Ⅲ.《R-ACEハイドラント》+《R-ACEプリベンター》or《R-ACEタービュランス》(2枚初動、《無限泡影》ケア)
そして基本の「ン」。《無限泡影》ケア展開です。
《ヴァレルロード・S・ドラゴン》を先出しすることにより、タービュランスへの妨害を無効化する……というのは建前です。
実際のところ、《無限泡影》を持っている相手は《幻獣機アウローラドン》が出たあたりで必ずそれを使ってきます。この展開はそれを利用した囮作戦です。
ハイドラントでタービュランスかプリベンターの足りない方をサーチしてください。
実は《プロキシー・F・マジシャン》で《沼地のドロゴン》を立てる展開と初手の要求条件まで一緒なのですが、出力先は大きく異なっていますね。
注意点としては、この展開ではタービュランスを出す過程で墓地からR-ACEモンスターがいなくなってしまうことでしょうか。
特にプリベンターを除外から復帰させるには《R-ACEヘッドクオーター》を用いるしかないので、結構大変です。
そのため、後のゲーム展開でリソース回復をどのように行うのかはしっかり考えておく必要があります。これはドロゴン展開も同じですけどね……
Ⅳ.《R-ACEエアホイスター》+《R-ACEプリベンター》or《R-ACEタービュランス》(2枚初動、《無限泡影》ケア)
エアホイスター展開の応用です。
個人的に一番お気に入りの展開ルートです。
こちらも《ヴァレルロード・S・ドラゴン》を先出ししているため、囮作戦が成立します。
要は《EMERGENCY!》によってエアホイスターをハイドラントに変身させることによって、Ⅲの展開ルートに合流させている訳ですね。
この展開では墓地にR-ACEモンスターが残るので、《RESCUE!》などで適切に運用してあげましょう。
Ⅴ.《EMERGENCY!》+R-ACEモンスター(2枚初動)
召喚権を使わない展開です。
動画では《R-ACEハイドラント》を戻していますが、採用枚数によっては他のR-ACEを場に戻してもよいでしょう。ハイドラントはインパルスなどでも持ってこられますからね。
この展開ではタービュランスへの《無限泡影》はケアできません。
しかし仮に撃たれたとしても、余った通常召喚権を使用することで、バリラドンを含むリンク3を後出しできます。
「魔法・罠ばかりで召喚できるモンスターがいないよ!」という場合でも、それは「既に最低限の妨害数が手元にある」ということなので問題ありません。不敵な笑みを浮かべつつカードをセットしましょう。(事故ってるなんて言わない)
基本展開はこんなところでしょうか。
【R-ACE】でバリラドンを使う上では、以上の5つの展開を頭に入れておけば何とかなると思います。
Ⅵ.《EMERGENCY!》+《R-ACEファイア・アタッカー》+《幻獣機オライオン》+《幻獣機オライオン》(超・応用編。4枚初動)
私がこのデッキで戦っていた際に実際に来たことがある初手です。
この4枚の組み合わせが初手に来たとき、皆さんはどのようなことを思い浮かべますか?
「オライオン2枚を素引きしてしまってはバリラドン展開にいけない」
「サベージ、ましてやローランを出すなんて無理だ」
と考えているのではないでしょうか。
ちがうんだなそれが……
アドリブの極致です。
一見非常に複雑かつ難解な展開ルートですが、これはこれまでに紹介した展開例をいい感じに組み合わせただけに過ぎません。
条件が限定的すぎるため、この展開ルートそのものを覚える必要はないですが、手札に来たオライオンを上手に処理すれば、バリラドン抜きでも高い出力を発揮できることはぜひ覚えておいてもらいたいです。
EX.《ワン・フォー・ワン》初動について
展開ルートの解説である以上は、このカードについて触れなければなりませんね。
【R-ACE】において、《ワン・フォー・ワン》は召喚権を用いず、墓地にモンスターを送りながら《R-ACEハイドラント》にアクセスできる強力なカードです。
特に「墓地にモンスターを送れる」という点が重要で「プリベンターの召喚コストを捻出する」あるいは「プリベンターの③の効果を無理やり発動させる」などのテクニックがあります。
「主要な手札誘発を踏んでしまう」という欠点こそありますが、《灰流うらら》なら切らせてナンボ(アド損だけど)、《増殖するG》ならハイドラントからエアホイスターを経由して《EMERGENCY!》をサーチ、それをセットしてターンを終えることで1枚ドローに抑えられます。
なんならタービュランス出して2ドローでも4伏せが通れば実質チャラです。
当然、この構築でも初動として《ワン・フォー・ワン》を採用しています。
それを利用した展開も解説したかったのですが……
《R-ACEタービュランス》をコストにした場合
《R-ACEプリベンター》をコストにした場合
その他のR-ACEモンスターをコストにした場合
《幻獣機オライオン》をコストにした場合
その他のモンスターをコストにした場合
……といった具合にあまりにも大量の分岐があるため、もはやこの記事に書ききるのは不可能だと判断しました。すみません!
続編の記事において解説していますが、このカードが絡む展開は基本的にアドリブが要求されるので、是非一人回しや対戦で感触を掴んでいただきたいです。
第5章 バリラドン型【R-ACE】のゲームプラン
展開例の紹介も済んだところで、ここからはバリラドン型【R-ACE】がどのようなゲームプランを構築していくのかについて解説していきます。
バリラドン型【R-ACE】は構築こそヤンチャの極みですが、現代遊戯王はシビアなゲームなので、何も考えずに展開を通そうとしても勝つことはできません。
そのため、私がこのデッキで戦う上でどのようなことを考えているのかをまとめていきます。
Ⅰ.大前提:基本的に展開は通らない
「上の展開例紹介はなんだったの!?」というツッコミが飛んできそうですが、冷静に考えてみてください。
どのデッキにも《灰流うらら》と《増殖するG》がそれぞれ3枚積まれているのは当たり前、場合によっては追加の手札誘発まで投入されている現代遊戯王で、「何の妨害も無く展開が通せる」ことは稀です。
むしろ互いに手札誘発を撃ち合う空中戦が終わってからが本当の勝負、といわんばかりな試合展開が現代遊戯王ではよく見られますし、その泥仕合に強いからこそ【R-ACE】は環境にいる訳です。
そのため、そのようなデッキであえてバリラドンを使うのであれば、「妨害は受けて当然、だが必ず隙を見つけて通してやるぞ」というメンタリティが何より重要になります。
Ⅱ.先手の場合:とりあえず走ってみよう
先手が取れた場合は、まあとにもかくにも動かなければ始まりません。
が、その前に一呼吸おいて、以下の項目をチェックしてみてください。
初動は引けているか?
どのような初動を引いたか?
仮に展開を止められた場合の保険(手札誘発や罠など)はあるか?
貫通札(指名者、リブート、追加の手数)は引けているか?
ここからは、何らかの初動を引いた前提で解説します。
例えば、手札に《R-ACEエアホイスター》を1枚持っているとしましょう。始点が1つしかない場合、そこを妨害されたらおしまいです。ちょっと怖いかもしれません。
ですがここで、他の4枚に目を向けて見ましょう。初動が1枚しか引けなかったということは、何らかの手札誘発か貫通札を合わせて引いている可能性が高いですよね。
特に保険となる手札誘発などが引けていれば安心です。
この場合、仮に1枚初動の展開を妨害されてターンを渡しても、手札誘発、あるいは罠を持ってさえいれば、次の相手の展開を足止めし、そのターンの生存確率および、再び自分のターンで展開を通せる可能性が高まります。
貫通札は引けていればグッドですが、過信は禁物です。
《墓穴の指名者》1枚で《灰流うらら》は無効にできたけど《D.D.クロウ》を喰らって展開が止まっちゃった……という事態は頻発します。
こればっかりは仕方ないので、割り切りが大切です。そうでもないと先手が絶対的に有利、ということになってしまいますからね。
まあ結局のところ、仮にエアホイスター1枚しか初動が無くとも、恐れずに突っ走ってください。
また初手によっては、エアホイスターとハイドラント両方引いちゃってどちらから入るか迷う……という場面もあるかと思います。
展開例の項目でもお話ししたように、エアホイスター1枚初動(展開例のⅠ)は妨害が刺さりやすく途中下車も困難です。そのため初動の安定度は基本的にはハイドラント>エアホイスターとなります。
しかしここでも、他にどんなカードを引いているのかを確認してください。
仮に《R-ACEファイア・エンジン》などを素引きしていれば、ハイドラントの起動効果は比較的安全に通すことができるでしょう。逆に手札誘発や貫通札があるのなら、エアホイスター1枚からでも頑張れるかもしれません。
手札と相談しながら、より少ない枚数でより大きなリターンを目指すのが、先手では大切です。
Ⅲ.後手の場合:「それでも」と言い続けろ
後手を取ってしまった場合は、一旦バリラドンのことは忘れて、いつも通りの【R-ACE】で戦いましょう。この辺の戦い方は他の方の記事や動画の内容を参考にするといいです。
対面のデッキの内容によりますが、基本的に【R-ACE】はインパルスのおかげで、相手ターンであっても盤面リソースは確保できます。
そのため返しに戦闘などで着実に相手のリソースを削いでいけますが、後手ワンキルは流石に難しいかもしれません。
しかし相手が妨害を吐き切ったな、という場面でバリラドンを生成できれば、サベージとインパルスで蓋をして打開が完了します。
これがバリラドン型【R-ACE】の後手におけるメインプランとなります。
Ⅳ.サイド後の先手:捲り札をどう受けるか?
バリラドン展開が通る通らないにかかわらず、このギミックは対戦相手に強烈な印象を与えます。特に《警衛バリケイドベルグ》を見せた瞬間、相手の表情は明確に強張ります。
当然相手は、こちらが「【R-ACE】でバリラドン展開を使ってくる狂人」だと判断して次のゲームに臨んできます。具体的には確実に《原始生命態ニビル》は入ってきます。
これを受けて、こちらはどう対応すべきか。
先手の具体的なサイドチェンジは他の方の記事や動画を参考にしていただくとして、基本的にはやることは変わりません。
ただし、積極的にバリラドンの先出しを狙うようにしてください。
何故なら「バリラドンの真価」はここから発揮されるからです。
どういうことかといいますと、バリラドンの先出しを許すとサベージによってニビルの発動が無効にされてしまうので、相手はそれより前にニビルを使わざるを得ません。しかしそうなると囮作戦が成功したことになり、タービュランスの4伏せは確実に通ることになります。
バリラドンの力点の強さがここでも発揮される訳ですね。
しかし相手が《無限泡影》と《原始生命態ニビル》を両方持っていた場合はどうでしょうか?
最も被害が甚大になる使われ方は、《幻獣機アウローラドン》に《無限泡影》を撃ち、《R-ACEタービュランス》の着地に合わせて《原始生命態ニビル》を投げられることです。
ですがこれは「バリラドン」展開特有の弱点ではなく、「ドロゴン」展開などでもどうにもならないことです。そもそも他の展開は泡影が無くとも二ビル1枚で壊滅することを考えると、泡影と合わせて2枚使わせているだけマシだと捉えるべきでしょうね。
……では、バリラドンが先出しできない初手だったらどうでしょうか?
この場合は、何が何でもニビルをケアしてください。
具体的には、さっさとタービュランスで展開をストップして4伏せに移行していいです。
もちろん《無限泡影》に対してはノーガードですが、【R-ACE】で最も困ることは盤面からR-ACEがいなくなってしまうことです。
「バリラドン」という狂気を振りかざすデッキではありますが、たまには理性的な面も見せて相手を揺さぶりましょう。
特に「エアホイスター+別のR-ACE」という条件ならタービュランスに《無限泡影》を喰らっても盤面にモンスターが3体残っているので、無難に4召喚目にマスカレーナでも出してお茶を濁すも良し、二ビル持ってない読みでバリラドンを後出しするも良しです(ケアは!?)。
あ、バリラドンの成否にかかわらず、もし4伏せが通った場合は《REINFORCE!》を使った《拮抗勝負》ケア(方法は検索すれば出てきます)は忘れないようにしてくださいね。
決闘は最後まで何が起こるか分からないので。
Ⅴ.サイド後の後手:基本に帰れ
さて、サイド後の後手です。マッチ戦に勝利するためには、必ずこの苦境に挑まなければなりません。
このデッキにおけるサイド後の後手での一番の問題は「先攻ヤンチャギミックであるバリラドンをどうするのか?」という点です。
残して通しに行くのか? それとも抜くべきなのか?
お答えしましょう。「対面によります」。
あまりにも抽象的すぎる解答なので、怒られが発生するのは承知の上です。
ですが、各マッチアップごとにサイドチェンジ例を載せるのはもうプロの仕事であり、記事の分量的にもこれ以上の情報量はギリギリなんです。すみません!
しかし、これで終わらせてしまうのは流石に薄情ですよね。
そこで、私が持っている方針をお伝えしておきます。参考になればよいのですが……
誘発で展開を邪魔できる対面には残す
【ティアラメンツ】や【烙印】など、「誘発で展開を邪魔すれば、こちらが展開できる見込みがありそうだぞ」という対面には、バリラドンは残します。ただしオライオンは減らしていいです。
先程述べた通り、このデッキの後手は「一旦バリラドンのことは忘れて」戦います。そのため仮に素引きしてしまっても大丈夫。《灼熱の火霊使いヒータ》等にしてリンク値を伸ばし、形成を逆転させていきましょう。
展開を通してもらえなさそうな対面には残さない
罠型デッキなど「展開が通る見込みがない!」「何が何でも捲り札が必要だ!」という相手に対しては、バリラドンのパーツは全て抜いてしまいます。
この場合は《金満で謙虚な壺》で「バリラドン」ギミックを全てコストにできるので、死ぬ気で対応札を探していきましょう。
EX.もしも「バリラドン」が突破されたら
基本的に「通れば勝つ」バリラドン展開ですが、こちらの不手際や相手のプレイングの上手さで盤面が捲られてしまうことがたま~にあります。
バリラドン展開は一発芸なので、突破されたらもう二度と使えません。
そうなるともう手の打ちようがないのでは……と考えるのは早計です。
「バリラドン」ギミックはEXデッキを非常に圧迫しますが、その分他のカードと一切相互作用せず独立しています。
そのためバリラドンが無くなっても、EXデッキにはまだ《I:Pマスカレーナ》も《トロイメア・ユニコーン》も《デコード・トーカー・ヒートソウル》も《アクセスコード・トーカー》も残っています。
【R-ACE】の展開力、そしてリソース回復力をもってすれば、盤面の再展開は容易いものです。
つまるところ、「何があっても……絶対に諦めるな!」ということです。
おわりに
伝えかったことは概ね伝えきったので、この辺で失礼しようと思います。
特に実績は残していない一般決闘者の戯言ですが、参考になったのであれば幸いです。
この構築は私以外に使用している方を見たことがなく、構築、ゲームプラン共にまだまだ粗削りです。
そのため私は、このデッキに対する質問・アドバイスをいつでも受け付けております。よろしければ、下記ツイートへのリプライやDM等でご意見をください。参考にさせていただきます。
2023/07/07追記:続編記事について
2023/07環境を迎えるに際して、続編となる記事も投稿しました。
新環境の構築内容、《閃刀姫ーカメリア》の評価、ワンフォーワンの展開例(動画付き)など、こちらの記事も情報が目白押しなので、以下のリンクから併せて読んでいただけると幸いです。
【R-ACE】を組もうと思っている方、あるいは既に【R-ACE】を組んでいる方も、一度「バリラドン」という名前の悪魔に魂を捧げてみてはいかがでしょうか?
長くなりましたが、以上で記事を終えようと思います。
それではみなさん、おやすみなさい。ディナーベルでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?