【R-ACE】《沼地のドロゴン》懐疑派による「ラドン型」考察Vol.2(基本編②)【遊戯王】
はじめに……そして注意書き
おはようございます。私はディナーベルと呼ばれている者です。
まずはじめに、この記事は以前投稿した記事の続編です。
ラドン型【R-ACE】の構築理念、展開例(エアホイスター1枚初動、ハイドラント1枚初動など)、ゲームプランといった基本的な情報を分かっている方向けの内容となっておりますので、もし「まだ読んでないよ~」という方がいらっしゃいましたら、以下のリンクからばばっと目を通しておいてください。全文無料で読めます。
《沼地のドロゴン》に対する逆張りという不純極まりない動機で投稿した記事でしたが、これが想像以上の反響を呼んだようで、前環境(2023/04)終盤以後、《幻獣機アウローラドン》を搭載した所謂ラドン型【R-ACE】がちらほらと結果を残すようになりました。
競技プレイヤーの間でも、《沼地のドロゴン》型一辺倒ではなく、先手に特化したラドン型や、後手に特化した超融合型など、様々な【R-ACE】の構築について真剣に議論が交わされるようになったようです。
私は特に実績は残していない一般決闘者ですが、この構築を開発してからというもの、【烙印】や【ティアラメンツ】などを相手にした身内とのDiscordリモート対戦のマッチ連勝数が15を越えて継続中(記事投稿日現在)であり、その強さを身をもって体感していました。
しかし、いざ実際に環境で評価される日が来るとなると、「もうヤンチャな構築だとは言えなくなってしまうのか……」と嬉しさ半分戸惑い半分といったところです。
自分語りはこの辺にして、本題に移りましょう。
本稿では、前回の記事の補足に加えて、新環境を迎えたラドン型【R-ACE】の構築の内容、新たに中継地点として登場した《閃刀姫ーカメリア》の評価、そして前回文字数の都合で省略せざるを得なかった《ワン・フォー・ワン》を用いた展開例などについて解説していきます。
今回もやや多めの情報量となってしまいましたが、是非お付き合いください。
……あ、この記事には有料部分が設定してありますが、上で述べた主要部分(約11000字)は全て無料で読めます。ご安心ください。
有料部分(約7000字)では、ラドン型に代わる新たな【R-ACE】のヤンチャ構築の構想と、近日発売される『エイジ・オブ・オーバーロード』の新規への私見を述べています。前回の記事と合わせて「参考になったので投げ銭したい!」という方、「もっと【R-ACE】でヤンチャしたい!」という方はご購入ください。励みになります。
第1章 オライオンの採用枚数について
それでは早速、新環境のラドン型について解説していきましょう……と言いたいところですが、本筋に入る前に、どうしても読者の皆様にお伝えしておきたいことがあります。それは《幻獣機オライオン》の採用枚数についてです。
特にラドン型【R-ACE】が本格的に周知され、使用者も増加してきた今、この情報はどうしても伝えなければならないと感じたため、この項目を第1章に持ってきました。
結論から述べましょう。
ラドン型【R-ACE】を用いるのならば、覚悟を決めて《幻獣機オライオン》は2枚採用した方がいいです。それこそメインデッキが41枚になっても。
所謂「ラドン型」構築における《幻獣機オライオン》は、ピン差しで素引きしないことを祈る型が一般的です。
しかしここで深呼吸。落ち着いて確率を見てみましょう。
《幻獣機オライオン》がピン差しだと初手で素引きする(ラドン展開が不可能になる)確率は先手で12.5%、後手で15%もあります(40枚デッキの場合)。
《増殖するG》のことも考慮すると、余程自分の運に自信がない限り、オライオンをピン差しした構築を扱うのはあまりにも分が悪い賭けだと言わざるを得ません。Gを投げなくても、6~8ゲーム(マッチではありません!)に1回は、手札1枚とEXデッキの数枚が完全に腐る計算ですからね。
私が当初ラドン型をヤンチャ構築としておもちゃ扱いしていたのも、その安定性の無さに由来するものでした。
腐ったEXは心置きなく《金満で謙虚な壺》のコストにできるとはいっても、その壺が制限改定で制限カードとなってしまった現状、その損失は重くなりやすくなってしまっています。
つまるところ、常人が《幻獣機オライオン》をピン差しでやりくりしようとすると、ストレスで大変なことになります。私はなりました。
では思い切って2枚採用した場合はどうでしょうか。
1枚だけ初手に来る確率は先手で22.4%、後手で26.2%と素引きする確率自体は上がっています。
しかし、2枚とも初手に来てしまう(ラドン展開が不可能になる)確率は先手で1.3%、後手で1.9%とソシャゲのガチャのSSR並に軽減されるのです(40枚デッキの場合)。
「でも結局、オライオンが初手に来たら困るんじゃない?」という疑問が浮かぶのはごもっともです。【R-ACE】は往年の【セフィラ】ではないですし、《水晶機巧-ハリファイバー》が禁止になってしまった現在ではなおさらのこと。
しかしそこは、前環境からこのヤンチャ構築を擦り続けてきた一般決闘者の腕の見せ所。解答はきちんとご用意しております。
ラドン型【R-ACE】に懐疑的な方々は、単にオライオンの素引きがもたらす可能性をまだ知らないだけなのです。
……前置きが長くなってしまいましたね。それでは今度こそ、新環境におけるラドン型【R-ACE】について解説していきましょう。
第2章 2023/07環境のラドン型【R-ACE】
鯛も鮃も食うたものが知る。
ということで、自分が記事投稿日現在使用している構築を載せます。
前環境からの構築の変化は以下の通りです。
構築の意図は前回の記事で述べた通りです。
《幻獣機アウローラドン》から《幻獣機オライオン》をリクルートし、《焔聖騎士導ーローラン》を介して《ヴァレルロード・S・ドラゴン》を召喚することで、ローランでインパルスをサーチしつつ、サベージの万能無効を構えることを目標にしています。
このテーマは頭角を現し始めたのが環境終期だったためか、2023/07/01の制限改定で受けた被害は最小限に留まり、壊滅的な打撃を受けた【斬機】や【クシャトリラ】とは対照的な存在として認知されるようになりました。
結果として【R-ACE】は元々の地力が評価されたことと、他のデッキの立ち位置が下がったことが合わさって環境上位に躍り出た訳ですが、これは新しい試練が待ち受けていることを意味していました。
これまで「他のデッキには刺さるメタカードが刺さりにくい」という強みで環境の間隙を突いてきた【R-ACE】は、新環境では一転してメタられる側として、雨霰のごとく降りかかってくるメタカードをどのように乗り越えるのかを考えなければならなくなったのです。
この影響は当然ラドン型にも及びました。
特に《抹殺の指名者》の採用は、上記の情勢を意識した結果生じた、最も大きな変化だと言えるでしょう。
Ⅰ.《抹殺の指名者》について
《抹殺の指名者》は制限カードではありますが、このカードで無効にするためのカードをデッキに投入しなければならないため、結果としてデッキスロットを非常に圧迫します。
元々ラドン型【R-ACE】はデッキスロットに余裕が無かったため、前環境では《原始生命態ニビル》対策および、ミラー用のサイドカードとして利用していました。
このデッキは言ってしまえば『展開系ミッドレンジ』に属するものです。
盤面が完成さえしてしまえば捲られることはほぼ無く、展開ルートによっては《無限泡影》や《エフェクト・ヴェーラー》を潜り抜けてタービュランスの4枚セットに辿り着くことができるものの、新環境では【R-ACE】意識で相手のメインデッキに無効系誘発がフル投入されているという事態も珍しくなくなってきています。
これに対抗して貫通札を増やし、展開が通る可能性を少しでも上げるため、この度サイドデッキからメインデッキへ昇格することとなりました。
現在の主なターゲットは《無限泡影》と《エフェクト・ヴェーラー》ですが、身内のメタでは《朔夜しぐれ》も見かけるようになったので、場合によっては彼女(?)も採用することになるかもしれません。
今後の誘発事情は要チェックですね。
Ⅱ.《R-ACEヘッドクオーター》について
上のデッキリストを見た【R-ACE】有識者の中で、このカードが2枚も採用されていることに違和感を覚えた方は多いのではないでしょうか。
実は前環境の時点からとある事情で2枚採用だったのですが、前回の記事でその事情を説明していなかったので、この場を借りて補足していこうと思います。
ほとんどの【R-ACE】において、このカードは主に③の効果によるリソース回復を目的に利用されています。自身も「R-ACE」名称を持っているため、2枚採用すると事実上無限リソースが成立するカードではあります。
ですが現代遊戯王はゲームスピードがあまりにも速く、そもそも③の効果を使わないままゲームが終わることも多々あるため、「一応メインに1枚入れてるけど、サイド後は抜いちゃう」という方が大半です。
特にラドン型は、一度展開が通ってしまえばほとんどの場合において即ゲームエンドに繋がる出力を発揮するので、なおさらこのカードの採用意義が分かりにくいかもしれません。
しかしこのカードには、ラドン型において特に強力な使い道が存在します。
それは②の効果による召喚権の追加です。
このフィールド魔法を発動し、例えば……素引きしてしまったオライオンを通常召喚してみましょう。そして追加の召喚権でレベル4以下のR-ACEを通常召喚するとあら不思議、リンク値が3になります。
仮に手札にあるR-ACEがタービュランスだけでも大丈夫。オライオンを《転生炎獣アルミラージ》にすることにより、アルミラージと幻獣機トークンをリリースしてタービュランスのアドバンス召喚ができます。
また、前に述べたように最近の環境では無効系誘発が大流行しており、対戦相手の練度にもよりますが、ハイドラントの通常召喚に対してにすら《無限泡影》が飛んでくることもザラです。
しかしエアホイスターなどと合わせて引けていれば、追加の召喚権を利用することにより事実上の貫通札として機能します。
以上のような事情があり、私はラドン型【R-ACE】における《R-ACEヘッドクオーター》に対して、初手にあると貫通札としても使えるリソース回復手段という評価を下しました。
展開に寄ったデッキでこのような役割を担えるカードは破格と言ってよく、ラドン型【R-ACE】ではメインデッキに2枚採用する価値があると考えています。
Ⅲ.《フルール・ド・バロネス》について
言わずと知れたハイスペックシンクロモンスターです。マスターデュエルも含めると、世界で最もシンクロ召喚された回数が多いモンスターになる日もそう遠くはないでしょう。
閑話休題。
彼のことを解説する前に、まずは《デコード・トーカー・ヒートソウル》が何故いなくなったのかについて説明する必要がありますね。
そもそもとして、このラドン型【R-ACE】はドロゴン展開やマスカレーナ展開、そしてヒートソウル展開ではできないこと——すなわち伏せカードを守ることを目的として構築されました。必然的に、ヒートソウルが1ターン目に出ることはほぼ無くなりました。
それ以後も「オライオンを2枚とも素引きした際の保険」「ゲームが長引いた際のリソース回復手段」として採用し続けていましたが、ちょうど新制限に切り替わる辺りの時期に、「このカード、出す機会が全然来ないな……」と気が付いてしまいました。
考えてみれば当然です。オライオンを2枚とも引いてしまう確率は上で述べた通り非常に低く、リソース回復手段は2枚も投入されている《R-ACEヘッドクオーター》が担っているのですから。
それならば、もっといいモンスターはいないのか? と考えるのがデッキビルダーの責務というもの。
特に素引きしたオライオンをいい感じに素材にできるシンクロモンスターが望ましい……という考えで、再録されて安くなったはいいものの、全然使う機会が来ないままストレージに放置されていた《フルール・ド・バロネス》に白羽の矢が立ちました。
バロネスを見つけたのはただの偶然で、別のストレージを漁っていれば全然違うカードが採用されていた可能性もありましたが、優秀なカードは何に入れても優秀なもので、このカードはラドン型【R-ACE】とも高い親和性を発揮してくれました。
基本的には素引きしたオライオンとプリベンターの組み合わせでシンクロ召喚されます。
するとどうでしょう、オライオンのトークン生成効果とプリベンターの除外帰還効果が同時に誘発し、2体分の盤面リソースがそっくりそのまま戻ってくるという怪奇現象が発生します。
そのため初手の内容によってはバロネス⇒アウローラドン⇒タービュランスの順番で展開することも可能です。
また、新環境ではレベル8モンスターが多いため、《RESCUE!》で奪ったモンスターとオライオンでシンクロ召喚する手もあります。
地味な評価点として、【R-ACE】はモンスターの中で最も高いレベルがタービュランスの9ということもあり、スタンバイフェイズの蘇生効果の対象にも事欠きません。
サベージは基本的にどのような初動であっても出せるように構築してありますが、万能無効効果を構えるのに若干のタイムラグがあります。
対してバロネスは召喚するための手札の要求値は少し高めではあるものの、出すことさえできれば即座に万能無効で睨みを利かせることができ、①の効果で盤面を打開できるという強みがあります。
万能無効という役割は被っているものの、妨害効果はどれだけあっても損はせず、出す機会のないモンスターをデッキに入れ続けるよりはマシです。
使ってみた感触は非常に良いので、もうしばらく試したいと考えているカードです。
EX.構築理念についての補足
……以上、新環境におけるラドン型【R-ACE】の構築について説明してきました。
そして目敏い方は、それぞれのカードの説明文の中で、度々「素引きしたオライオン」が登場していることに気が付いたかと思います。
「デッキに埋まっててほしいカードを素引きしてしまった! 手札1枚欠損!」という状況ほど虚しいものはありません。
それならば、埋まっててほしいカードを引いたとしても有効活用できるように構築するのが合理的というものです。私は「バリラドン」という悪魔に魂を捧げてからというもの、その思想を念頭に構築を練り続けています。
ラドン型【R-ACE】の本当の強みは「ローランを介したサベージの召喚」ではありません。前回の記事でも述べたように、このデッキのメインプランは「基本的に展開は通らない」ことが大前提なのですから。
それでは、この構築の本当の強みとは?
それは、「《幻獣機オライオン》も含めたあらゆるカードを手数として、どのような妨害を受けても諦めずに展開を通しにいける攻め手の多様さ」です。
アウローラドンを用いた展開はあくまで展開の選択肢の1つです。
時にはマスカレーナ展開が必要な場面もありますし、《増殖するG》が飛んできたら渋々タービュランスでストップすることを目指すのは当然のこと。
後手を取ったらインパルスやプリベンターで妨害を踏み、タービュランスへ繋げていく。これは通常の【R-ACE】と何ら変わりありません。
ですが、相手が隙を晒した瞬間に、アウローラドンで封殺するという選択肢を取れること。この多様な手数こそがラドン型の特権なのです。
以上が、前環境からこのラドン型を使い続けて出した今の私の持論です。
そしてこの強みは、【R-ACE】への風当たりが強くなった新環境でもきっと通用します。
もしこの構築を使う方がいらっしゃいましたら、前回の記事でも述べた「何があっても……絶対に諦めるな!」という言葉を胸に頑張ってもらいたいと思います。私も大会に出られない分、頑張って記事を書いていきますので。
第3章 カメリアか? バリケイドベルグか?
……なんだかもう結びに入っても良さそうな雰囲気になってしまいましたが、もう少しだけお付き合いください。
次の話題は、前環境の中盤あたりに登場した顔のいい女こと《閃刀姫ーカメリア》さんについてです。
このカードの特徴はなんといってもその顔の良さ……だけではなく、比較的緩い素材で召喚できるリンク2の機械族という点です。
すなわち《警衛バリケイドベルグ》に代わる《幻獣機アウローラドン》への中継地点という役割が見出された訳ですね。
当然、ラドン型【R-ACE】の先駆者(?)としてこのカードを試さない手はありません。前環境末期、私はバリケイドベルグではなくこのカードを採用した、所謂「カメラドン」展開を利用していました。
それではここでクエスチョン。ラドン型【R-ACE】では、《閃刀姫ーカメリア》と《警衛バリケイドベルグ》のどちらを採用するべきなのでしょうか?
……しばらくマッチを回して出た結論は、「どちらも甲乙つけがたく、もはや個人の好みに委ねられる」でした。
というのも、《閃刀姫ーカメリア》にも《警衛バリケイドベルグ》にも長所と短所があり、ゲームをしていて「カメリアさんを採用していれば……」という場面と「バリケイドベルグを採用していれば……」という場面の両方が発生したからです。
そうはいっても、読者からするとこのような情けない解答をされても困ってしまいますよね。
ここからは、私が2枚のカードを使っていて感じた長所と短所を記述していきます。読者の皆様には、これらの情報を参考にして、どちらを採用するか判断してもらいたいと思います。
Ⅰ.《閃刀姫ーカメリア》について
まずはカメリアさんから。
このカードの長所は、何と言っても《ヴァレルロード・S・ドラゴン》に実質的に道連れ効果を付与できることです。
②の効果によって、モンスター効果によるサベージの除去ならびに魔法罠の除去を牽制することができます。
また地味に攻撃力が1500とそこそこ高いのも評価点です。
彼女を装備したサベージは攻撃力が3750となるため、【ティアラメンツ】の《壱世壊=ペルレイノ》によるステータス上昇を受けた攻撃力3500の融合モンスターたちと相討ちにならずに済みます。
そして何度でも言いますが顔がいい。
人間と機械の狭間で揺れる彼女の活躍は素晴らしいので、ぜひ漫画を買って読んでもらいたいです。
……話が逸れてしまいました。次は彼女の短所について述べていきます。
最も致命的なのは「効果モンスター2体」という素材指定のため、展開に融通が利かないことですね。「オライオンの素引き」という問題の解決を至上命題にしているこの構築では、この素材指定で引っかかってしまう場面が多かったです。
また、サベージに道連れ効果が付与できるとはいっても、ほとんどの場合サベージは自身の効果で自衛できてしまうため、【烙印】でも相手にしない限り②の効果を使う機会はほとんど訪れません。あくまで保険として用いるのがいいでしょう。
Ⅱ.《警衛バリケイドベルグ》について
次はバリケイドベルグです。
このカードの長所はカメリアさんとは対照的に、《幻獣機オライオン》単体から出せることが一番に挙げられます。
①の効果は墓地に何も無くても発動可能なので、《R-ACEプリベンター》および召喚コストとなるR-ACEカードが手札にあることが条件ですが、素引きしたオライオンをラドン展開への初動として活用できるようにするのはこのカードにしかできない芸当です。
素材指定の緩さは、やはり揺るぎない評価点でしょう。
一方の短所は、良くも悪くも中継地点としての仕事しかできないことでしょう。
①の効果をフィールド魔法の回収目的で使用することはほとんど無いですし、場に残ることもないので②の効果を活かす機会は永久に訪れません。
サベージに装備しても攻撃力の上昇値は500とわずかで、カメリアさんのように相手にサベージの除去を牽制させることもできません。
総じて展開の円滑化には寄与するが、盤面の強固さにはあまり繋がらないカードと言えます。
EX.採用の方針について
以上のように2枚のカードについて私見を述べてきましたが、両者の長所と短所は鏡映しとなっており、どちらの方が優れているとは一概には結論付けられません。昨今のKONAMIのカードデザインの巧妙さには舌を巻きます。
結果的に私はどっちつかずの立場となってしまいましたが、読者の皆様の構築がよりよいものとなるように、採用方針となるアドバイスをまとめておきたいと思います。参考になれば幸いです。
「より強固な盤面を作りたい!」「顔がいい女を使いたい!」という方は、《閃刀姫ーカメリア》を採用するのがいいでしょう。
「展開を安定させたい!」「オライオンを有効活用したい!」という方は、《警衛バリケイドベルグ》を採用するのがいいでしょう。
……え、そういう私は現在どっちを使っているのか、ですって?
お答えしましょう――日替わりです。
第4章 ワン・フォー・ワンを用いた展開例
この記事も終わりに近付いてきました。
この章では前回の記事では文字数の都合で省略せざるを得なかった、《ワン・フォー・ワン》を用いた展開例をご紹介します。
今回も展開ルートが長いので、動画にしています。
詳しいルートはそれぞれのツイートのリプライ欄にぶら下げておくので、「な……何が起きてるんだ……!?」という方もご安心ください。
注意点として、これはあくまで展開”例”です。
前回の記事でも述べた通り、《ワン・フォー・ワン》は基本的にアドリブを要求してくるカードなので、使用者の方々には是非一人回しや対戦で感触を掴んでいただきたいと思います。
Ⅰ.基本展開(通常召喚なし)
まずは基本展開から。手札コストは何でもOKです。
一番利用する機会が多いであろう展開です。
やっていることはハイドラント1枚初動(前回の記事における展開例Ⅱ)ですが、妨害を受けても召喚権で貫通できます。
あるいは通常召喚から入り、妨害を喰らった後の二の矢としても有効です。《ワン・フォー・ワン》自体が誘発を貰いやすいカードなので、どちらから入るかは他の手札と相談して決めましょう。
Ⅱ.基本展開(通常召喚あり)
召喚権を使う展開。こちらも手札コストは何でもOK。
ハイドラントからエアホイスターをサーチすることによって、エアホイスター1枚初動の展開ルート(前回の記事における展開例Ⅰ)に移行しています。
召喚権を使わされるのが欠点といえば欠点ですが、《ワン・フォー・ワン》しか初動が無い場合は四の五の言っていられないので、妨害が無いことを祈りながら通しに行きます。
Ⅲ.《R-ACEタービュランス》をコストにした場合(通常召喚なし)
ここからは応用編。少しだけ展開が変化します。
この展開は召喚権を使わずにタービュランスの4伏せにアクセスできるのが何よりの強みです。
また、召喚権を使って盤面リソースを増やし、プリベンターの帰還効果をギリギリまで使わないように展開することで、アウローラドンに妨害を撃つかタービュランスに妨害を撃つかという選択を相手に強いることもできます。
プレイヤーのアドリブ力が試される展開とも言えますね。
Ⅳ.《幻獣機オライオン》をコストにした場合(通常召喚あり)
必ずどこかでやることになる展開です。
《幻獣機オライオン》が2枚入っている理由です。この展開では、オライオンのトークンを素材にリンク召喚を行うため《閃刀姫ーカメリア》が中継地点として利用できません。注意してください。動画の展開ではバリケイドベルグを経由していますが、カメリアを採用している場合、プリベンターをサーチ後すぐに特殊召喚する(コストはエアホイスター)ことで、プリベンター+タービュランスの組み合わせでカメリアを出し、カメリア+幻獣機トークンでアウローラドンに繋がります。
ただしその場合、最終盤面に残るのはタービュランスではなくエアホイスターとなるので注意。
基本的には他のモンスターをコストにして展開し、オライオンに召喚権を残しておいた方が得策(理由は後述)ですが、このルートを覚えておくとアドリブの幅が広がるため載せておきました。
Ⅴ.基本展開+オライオンを通常召喚(2023/07/15追記)
それでは、オライオンに召喚権を使うと何が起きるのか見てみましょう。
《幻獣機オライオン》が2枚入っている理由その2です。
そして《フルール・ド・バロネス》が入っている理由でもあります。
展開例Ⅳに比べて出力は落ちていますが、こちらは早期にバロネスが着地するため、後の展開への妨害を防げることが強みとなります。
先述した「バロネス⇒サベージ⇒タービュランス」の上振れ展開はこれを応用したものです(利用したのは《ワン・フォー・ワン》ではなく《R-ACEヘッドクオーター》の召喚権追加ですが)。
また、動画ではバロネスにローランが装備されていますが、これは私が「バロネスって戦士族だからローラン装備できるじゃん!」とはしゃいだ結果です。当然ながら魔法・罠ゾーンを圧迫するので、タービュランスの4伏せが通せそうなら無視して構いません。
そもそもローランの②の効果はお互いのターンのメインフェイズ中に発動できる誘発即時効果ですからね。返しのターンで使えそうなら使う、くらいの認識で問題ないと思います。
しかし《焔聖騎士導-ローラン》の装備対象が意外と多いことを覚えておくと、意外な場面で役立つかもしれませんよ。
おわりに
今回も伝えかったことは概ね伝えきったので、この辺で失礼しようと思います。前回の補足という体で書き始めた記事でしたが、結局なかなか情報量が多い記事になってしまいましたね。
特に実績は残していない一般決闘者の戯言ですが、参考になったのであれば幸いです。
この構築は使用者こそ増えてきたものの、まだまだ発展途上のアーキタイプです。
そのため私は、このデッキに対する質問・アドバイスをいつでも受け付けております。よろしければ、以下のツイートへのリプライや、アカウントへのDM等でご意見をください。参考にさせていただきます。
2023/07/29追記:続編記事について
『エイジ・オブ・オーバーロード』が発売されたので、新しく記事を投稿しました。
ラドン型【R-ACE】でメジャーとなっている“ライトニングマスター型”の解説、ラドン型【R-ACE】の構築の内容に焦点を当てつつ、新弾の目玉である《黒魔女ディアベルスター》の活用法に展開例など様々な情報を網羅しています。以下のリンクからご覧ください。
ここから先の有料部分では、ラドン型に代わる新たな【R-ACE】のヤンチャ構築の構想について、また次回の記事で取り扱う「罪宝」ギミックについての私見(2023/07/15追記)を、先読みという形で掲載しています。
前回の記事と合わせて読んで「参考になったので投げ銭したい!」という方、「もっと【R-ACE】でヤンチャしたい!」という方はご購入ください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
それではみなさん、おやすみなさい。ディナーベルでした。
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