限界突破する方法

私は個人的にこの記事がかなり好きで、定期的に見返しては自分の行動を振り返っています。
ここに書かれていることの多くは、自己成長に効果を発揮する気づきがたくさんあると思います。
ここで語られている限界突破のためのアイデアがたくさんありますので、順番に紹介していきたいと思います。

ちなみに YouTube 版もあります。

数字のマジック

陸上では有名な話なのですが、1マイルレースという競技があり、当時、このレースで人間は4分を切ることができないと言われてきました。実際に20数年間、ヌルミという選手が出した記録から世界記録がぜんぜん更新されませんでした。今の日本でいう「100メートル9秒の壁」みたいなものです。しかし、ロジャー・バニスターという選手が、初めてペースメーカーを導入したり、さまざまな生理学的アプローチで練習することで、ついに4分を切るという新記録を出しました。

https://globis.jp/article/8293/

この話の面白いところは、このロジャー・バニスターが記録を破った42日後に、彼の世界記録は別の選手によってすぐに破られちゃうのですね。で、その選手も3か月後ぐらいに記録を破られまして、2年以内に20名ぐらいの選手が4分を切ることになります。これは統計から見ると明らかにおかしいのですよね。

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「4分の壁」が、ひとりでもそれを突破した事例が出た瞬間に、次々に新記録が出てきたという現象です。
そもそもなぜ「4分」という数字の切れ目が当時の人間の限界だったのか?と言われると、そこに理由はなく、単に「4分」の切れ目がその時間だったから、に過ぎないのだなと思わされます。

偶然10進法が主流となった世界であるために、人間のポテンシャルが、数字の切れ目によって制限されている、というのは非常に興味深いです。

我々も、達成度や到達度を計測する際は必ず数値目標がついて回りますが、その数字自体によって、実は自分たちの限界を作ってしまっているようです。逆説的に、その限界を突破することを考えると、起因が数字の切れ目でしかない以上、なかなか認知さえも難しいのだと思います。




そこで、桐生選手が何をやったかというと、今までは50メートルとか55メートル地点で最高速度が出ていたのを、65メートル地点までずらしたのです。みなさんは「10秒から9秒の間に何かが向上した」というふうに思われるのですが、実は体力的なものはほとんど向上していないのです。全体のバランスが変わったとわれわれは捉えているわけです。

https://globis.jp/article/8293/

実はそんなことで、全体のキャパシティは変わらなくても、配分が変わっただけで10秒台から9秒台に入るということが起きました。「これは限界だ」と思っていても、配置を換えただけで突破できる話だったりするのです。

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一方で、こちらの話は、数字のマジックをうまく使った限界突破の例だと思います。

やったことはペース配分であり、数字の調整です。単純に、実環境に対するゴールの位置を数字的にずらした、ということです。

言い換えると、ゴール設定、計測の仕方をコントロールし、逆説的に自分の限界値を引き上げたケースであると思います。

つまりこれらの例から言えることとして、数字目標やマイルストーンの置き方によっては、それが認知困難な限界にもなったり、いとも簡単に今までにない出力を引き出す装置ともなったりするのだと思います。まさに数字のマジックです。

OKR という目標管理の手法がありますが、ここでは常にムーンショット目標を、定量的な指標で立てることが求められています。
これがまさに数字のマジックを逆に利用し、チームや個人のパフォーマンスを最大限引き出すものになっていると思います。

また、よく、「数値目標はキリが良い数字を設定すべし」、という話も聞きます。
ここでも、できるだけ数字の切れ目のレバレッジを効かせるという意味で有効性があるのだなと感じます。
ムーンショットな目標を立て、それ目指す意義は、限界突破を誘発できることにあると思います。

限界突破のヒント1
数字の切れ目によって、認知できない限界値が規定されうる
→ 逆に、数字の切れ目を活用し目標設定することで、限界突破を誘発することが出来る

思い込みのマジック

冒頭の陸上協議の世界記録の話に戻ると、ひとつでも成功事例がでると、「自分にも出来る」というマインドセットになり、一気にフォロワーが増えていくという事象も含んでいると思います。

これは IT 業界でも直近も記憶に新しく、OpenAI が ChatGPT / GPT4 を出したとともに、ごく最近では Claude3 が出てきていたりと、一社がイノベーティブな発表をしたその後、すぐにまた追随するものが出てくる事象と似ていると思います。

甲子園球児が野球を始めた時、おそらく6歳とか7歳だと思うのですが、この頃の4月生まれと3月生まれって体の差が大きいです。3月生まれの子はやっぱり足がちょっと遅い、球を飛ばすのも遠くまで飛ばない。でも4月生まれの子がやると球が遠くへ飛ぶ、足も速い。そこで監督が「おまえ、野球があんまりうまくないな」「おまえ、野球がうまいな」と、それぞれに言う。仮に言わないとしても、本人が暗に悟るわけですね。この時に本人が自分で自分にレッテルを貼るわけです。私たちは実は、人生でレッテルを貼り続けて生きているのです。幼少期、「自分は野球がうまい側の人間なんだ」というふうに貼ったレッテルが実は18歳まで影響が残って本当に野球がうまくなると言われています。

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こちらも非常に象徴的な事例だと思います。周りにそう言われると、自分が認知出来ているかによらずどうしてもその方向に倒れてしまう、という事象だと思います。

「思い込み」という言葉がありますが、まさにそれを表していると思います。

ここでも逆説的に、「自分が目指すゴールや達成したいことは、周囲にも言い続けるべし」という言葉がありますが、そうなって然るべき環境を自ら作っていくことの効力が分かると思います。

またこれが、局所的な事例ではなく、人間の全体的な傾向としてこれが語られている点が非常に興味深いと思います。


これを私たちの世界では、すごくシンプルにいうと、「人ができたことは自分もできる」と信じる性質があって、ひっくり返してみると、「人ができていないことを自分もできない」と考える性質があると言われています。実験では、これがもう少し根が深いのは、同じグルーピングをした人を見て、行動が変容すると言われています。つまり簡単にいうと、ウサイン・ボルトの記録が上がっても、日本人の記録に影響を与えにくいということなのです。その代わり、カリブの他の国の記録には影響を与える。反対に日本人の記録に誰が影響を与えるかというと、中国人の記録が影響を与える。そういうことなのですね。どこからどこまでを自分のグループだと思っているかは人によって違うのですが、スター選手が出るよりも、「おらが町」からスターが出るほうが全体の能力が上がるという研究があるのです。

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グルーピング、同族意識、自分ごとと思えるか、なども、この思い込みに影響を与えるということだと思います。

そのため、この点も逆説的に、「そうでありたい・目指している人、グループ」に、自分が環境として所属することにより、自然と、このグルーピング・リアリティの限界も超えていけるのではないかと思います。

限界突破のヒント2
他の人ができれば自分もできる。他の人が出来ければ自分も出来ない。という思い込みにより、限界が規定されうる。
・更に「他の人」として認識できる範囲には、同族意識、グルーピングが影響する。
→ 逆に、今の自分から見て、限界突破をしている人と同じ環境に属することで、彼らと同じだというグルーピングができ、かつ環境の思い込みにより限界突破を誘発できる。

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