dinii, estie, ナレッジワークの三社で「開発体制・プロセス」についての勉強会を行いました
先日、dinii、株式会社estie、株式会社ナレッジワークの三社間で「toBスタートアップの開発体制・プロセス」についての合同勉強会を行いました。
当初は一般の参加者も募るイベントとして企画していたのですが、諸般の都合により一般公開は中止しました。しかし、マルチプロダクト展開を行うtoBスタートアップとして共通している三社であり、せっかくの機会なので三社間の勉強会として改めて開催したものです。
estie 社に会場をお貸しいただき、三社で10名強の参加者が集まりました。まずは雑談から始まり、それから各社の取り組み紹介と質疑応答を行いました。
簡単にですが、各社の取り組みと質疑応答の内容について、こちらでシェアできればと思います。
estie社の開発組織・プロセスについて
まず estie 社の VPoP 久保さん (@takuya__kubo) から estie の会社や組織についての紹介がありました。
estie は、BtoBの不動産業界を対象とした Vertial SaaS を提供しており、商用不動産市場全体の DX/IX を目指している会社です。マルチプロダクト戦略を推進しており、事業やプロダクトの立ち上げを行っていく中で、各事業部を一つのカンパニーのような形で扱う事業部制の体制を持っています。
プロダクトの開発チームは事業部ごとに属している一方で、SREやデータ分析基盤を管理しているチームなどが全社横断的に活動している組織体制となっています。各チームの役割は 書籍 「チームトポロジー」 で紹介されている "Stream Aligned", "Platform", "Complicated Subsystem", "Enabling" といった用語で説明され、チームトポロジーを意識したチーム間コミュニケーションになっていることが印象的でした。
質疑応答では、dinii のメンバーから、どうやって新規事業を作っているかという質問がありましたが、
メンバーが自発的に企画したものが新規事業につながっている
一次情報を一番知っているのはメンバーである。強い意志を持っている人に事業を任せる
忙しい中であっても、新しいプロダクトの構想を作れる余白は常に持っておきたい
といった回答をいただきました。
通常の企業であれば、メンバーに自由に任せたくても、なかなか手を挙げるメンバーがいない場合も多いでしょう。しかし、estie 社においては、その風土や環境によってメンバーが声を上げやすくなっているように感じました。
estie 社の詳細については、こちらのページに記載のある Company Deck をご参照ください。
ナレッジワーク社の開発組織・プロセスについて
次に、ナレッジワーク社のCTO mayah さん (@mayahjp) から、ナレッジワーク社についての事例紹介がありました。
ナレッジワーク社は、一人ひとりの生み出す成果や能力を引き上げていく「イネーブルメント」の実現を掲げ、現在は営業分野向けのナレッジ共有を行えるサービス「ナレッジワーク」を提供しています。また、営業分野やナレッジ領域だけでなく、ワーク領域やラーニング領域への展開、営業と隣接した職種への展開を考慮したマルチプロダクト展開の構想を持っているという点は estie, dinii とも共通するところです。
自社のナレッジ共有プロダクトを開発でも利用しており、
機能の仕様を作成する際に、機能が利用されるユーザーストーリーや代替案、機能の価値の度合いを示す機能ランクなどが記載された minispec を PdM が作成している
minispec に対する設計を記述するために DesignDoc をエンジニアが作成している
テスト設計を記述した TestDesignDoc をQAエンジニアが作成している
インシデントに対するポストモーテムを作成し、ポストモーテムの85%以上は対応を完了して閉じるようなルールを設けている
のように、開発のあらゆるシーンで利用できるドキュメントを作成・管理している点が特徴的でした。
ドキュメント管理については他社からも驚きの声が上がっており、質疑応答ではそれに関する質問が多く挙がっていました。
Q. ドキュメントをどうカテゴライズして作成しているか?
A. 設計や実装など、ドキュメントが必要となるフェーズごとに分類して作成している
Q. オンボーディングのドキュメントなども充実しているように感じたが、これだけドキュメントが作成されるのは何か取り組みがある?
A. ドキュメントこそ Enabling だと思っている文化がある。また、必要に応じてOKRにドキュメント作成なども入れている
ナレッジワーク社の詳細については、こちらのページに記載のあるリクルーティングデックをご参照ください。
dinii の開発組織・プロセスについて
最後に、dinii の Tech Lead の 谷藤 (@Hirolot) から、diniiについての事例紹介を行いました。
dinii では「すべての人の飲食インフラになる」をビジョンとして、モバイルオーダーやPOSといった飲食店を支えるプロダクト群を提供しています。
モバイルオーダーの累計ユーザー数は 1,000 万を突破していますが、dinii が見据えているのは単に便利なモバイルオーダーやPOSの提供ではなく、プロダクトから集められたデータを用いて飲食店の利用者や従業員の満足度を向上させ、ひいては飲食業界全体を活性化させていくことです。そのため、あらゆる方面で飲食店を支えるマルチプロダクト展開を進めています。
dinii の開発組織で特徴的なのは、
すべてのプロダクトを同じリポジトリで管理し、同時にリリースする
すべてのプロダクトの言語を TypeScript に統一する
といった点です。
diniiのエンジニア数は現在12名であり、他の2社と比べて半分にも満たないのですが、一人一人があらゆるプロダクトのあらゆるレイヤーを触れるようにすることで、効率よく開発ができる体制を取っています。
質疑応答では、
すべてのプロダクトを同時にリリースしていて、リリースの変更が管理できるのか?
飲食店向けのプロダクトで高い信頼性が求められるのはわかるが、どうやって信頼性を担保しているのか?
といった開発・運用に関する質問が集まりました。
リリースの変更については、すべての変更点を統一されたリリースノートに記述して管理していること、信頼性の担保については複数のチームによる多角的なレビューを行なっていることやCanaryリリースの仕組みを取り入れていることなどを挙げました。
一方、現在の開発プロセスは少人数で最大限効率的に開発・運用を行っていくためのものであり、今後組織をスケールさせていくにあたって見直していく点もあると考えています。dinii よりも開発規模の大きい2社の事例は参考になり、参加したメンバー一同、非常に刺激となる場になりました。
dinii の会社詳細については以下のページの概要資料をご覧ください。これから組織を拡大していくにあたって、組織の中核となるメンバーを募集しています!
以上が勉強会についての報告となります。勉強会の中では、こちらには書ききれない話題もまだまだありましたので、興味がある方はぜひ各社のカジュアル面談等にお申し込みください。
最後に、改めて今回の勉強会に参加いただいた ナレッジワーク社, estie 社のみなさま (さらに、estie 社は会場や軽食もご提供いただきました) に感謝いたします。ありがとうございました!
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