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エアロフォンで出演した、宮武愛理ワンマンライブ I owe you a lot! を終えて

この日をもってライブ活動を休止したシンガーソングライター・宮武愛理さん。
ソロでの活動の他、バンド「ときめきエキスプレス」のボーカルとしての顔も持つ愛理さんとは、これまで「井手隊長バンド」や「うきあしスタンダップ」で数々のステージを共にしてきました。
節目となるこのライブに出演者として参加できて、とても光栄です!

今回「スペシャルバンド」のメンバーとして演奏するにあたり、わたしなりにこめたいろいろな思いを誰かに読んでほしくて書きます。

ライブ概要

宮武愛理ワンマンライブ I owe you a lot!
▶日時 
2022年3月12日(土)12:00開場/12:30開演

▶会場 練馬 Music Diner FAMILY
http://nerima-family.com

▶出演 宮武愛理/スペシャルバンド/ときめきエキスプレス

スペシャルバンド
▶︎メンバー
Vocal/Piano:宮武愛理
Bass/Chorus:サキヲ
Drums/Chorus:えりつぃん
Aerophone:ディン

▶︎セットリスト
1. ひまわりの咲く場所
2. THE LAST TRAIN
3. THE MEANING OF A SIGH
4. 記憶

スペシャルバンド結成にあたって

もともと愛理さんの弾き語りが大好きだったので、ダメ元のつもりで「機会があれば、後ろでサックスとかフルートとか吹かせてほしい」と頼んだのは結構前のことだったような気がします。
ソロで出演するライブにゲスト参加、みたいな形でもいいと思っていたけれど「だったらメンバー揃えてガッツリやりたい!」と言ってくれて、結果としてドラムのえりつぃんさん・ベースのサキヲさんと4人編成のバンドになりました。
本当は、2021年8月に出演予定のライブがあったのですが、残念ながら直前で中止となってしまい、それ以降ずっとずっとセットリストを温め続けてきたわたしたちです。
愛理さんがライブ活動をお休みする前に、念願叶って良かった!

エアロフォンとしてのアプローチ

1. ひまわりの咲く場所

明治神宮前にあったライブスペース「ひまわり広場で手をつなごう」が2020年1月に閉店を迎えるにあたって、愛理さんが書き下ろした曲。

愛理さんがイメージする「あったかい空気」に合うように、今まで使ったことがなかったハーモニカの音色で吹いてみました。
大切な場所を思うときって自然と心があったかくなるし、心地よく緩む感覚があると思うんです。
なので、張り上げすぎず没入しすぎない、抜け感のある音作りを目指しました。言ってしまうと、鼻歌くらいのテンションです。

2. THE LAST TRAIN

愛理さんがかつて所属していたバンド「SWEET」の曲。当時レコーディングは進めたものの音源化に至らなかった「幻みたいな曲」だそうで、今回ギターのいない編成と言えど、バンドで演奏できたのは貴重な機会だったのかもしれません。

ただでさえ切なさがこみ上げてくる歌詞なのに、ベースがぐいぐいと情動を揺さぶってくるので、なんだかいつかの「最終電車」に大事な忘れ物をしてはいないだろうかと思いを馳せてしまいます。

エアロフォンの音色はサイン・リード。
駅の発車メロディや発車ベル、構内で鳴っている「ピーン……ポーン……」の音(盲導鈴とか誘導チャイムとかいうらしいです)をイメージしたモチーフを散りばめてみました。

サビの直前でベースとハモるフレーズは、平行線をたどるというか、埋まらない溝を目の当たりにするというか、なかなかに暗示的で気に入っています。

3. THE MEANING OF A SIGH

こちらも「SWEET」の曲。壮大な8分の12拍子!
曲のスケールに見合うよう、ヴァイオリンの音色を選んでみました。
目指したのは、FNS歌謡祭でメジャーアーティストとコラボする宮本笑里のイメージ。
息の圧力が弓の圧力に変換される不思議な違和感を楽しみつつ、息がなくならないよう必死でした。
弦楽器らしいフレーズにしすぎるとブレスできる場所が少なくて苦しいし、かといってブレス前提のフレーズに変えすぎると弦楽器らしさが減ってしまうし…最終的なアレンジが定まるまで、何度も試行錯誤を繰り返しました。
中間部で一瞬だけピチカートも使っていますが、見た目と音のギャップで自分でも笑いそうになるやつです。

余談ですが、ライブが無事終わって家に帰った後、戯れにエレキヴァイオリンで弾いてみようとしたら当然のごとく全然弾けませんでした……
昔、少しだけヴィオラをやっていたのですが、自分の中にE線という概念がないので高音域はもう文字通り手探りで……ああ本当にエアロフォンがあってよかったなぁと心から思った次第です。

4. 記憶

愛理さんの大切な音楽仲間の「大地くん」が、難病を抱え耳が聞こえなくなっても、それでも再び愛理さんと音楽するために「作詞」したという、演奏しながら泣きそうになってしまう曲。
わたしは「大地くん」に会ったことはないのだけれど、愛理さんがいつも大切に丁寧に話してくれるので、強い絆で結ばれた大事な仲間なんだなと胸が痛くなります。(なので、敬意をこめての「大地くん」です。)

「大地くん」の言葉は、シンプルだけど揺るがない強さがあって、誰しもが抱える感情の波をうつくしく肯定してくれる、そんな気持ちになります。
それを乗せる愛理さんのメロディは、過去の温かさをD majorで優しく描いた『ひまわりの咲く場所』と対をなすかのように、Db majorのどこか影を感じる響きを用いています。
(なお、愛理さんにはC# majorと言われたので、これはわたしが勝手に言っていることだと書き添えておきます!)

エアロフォンの音色選びはいつも悩みの種なのですが、この曲は悩むまでもなく即決で「オーボエ」でした。
独特の音色は、馴染み深い方も多いのではないでしょうか。
オーボエの経験はないのになぜかオーボエ吹きの友達が多いので、彼/彼女らならどう演奏するだろうかと、たびたび脳内に召喚してはアレンジのブラッシュアップを図りました。
最後、高音のFに上がるのがとても気持ちよかった。オーボエって素晴らしい。泣きの一曲に使うのはベタすぎるかなぁと思えど、この曲のこの美しさにはオーボエが必要だったと確信しています。

I owe you a lot, too!!

ライブを一旦お休みするだけで音楽を辞めるわけではない、と分かってはいてもしんみりしちゃうかもしれないなぁと構えていたのに、愛理さんが楽しそうに歌っているのが嬉しくて、いろいろ忘れて普通にはしゃいでおりました。
きっとお客様も同じで、終演後「今日も楽しかった!」「また待ってるよー!」といったあたたかい言葉が聞こえてきました。

愛理さんが作ってくれたお揃いの可愛い蝶ネクタイも「いい思い出」感が増して愉快だったなぁと思います。
お客様も、胸元や帽子やバッグなど思い思いの場所に付けてくださいました。一緒に楽しんでもらえる場があるっていいものですね。

改めて、ご来場くださった皆様、配信をご覧いただいた皆様、そして声をかけてくださった方、Twitterや配信コメントで褒めてくださった方、応援してくださった方、愛理さんとメンバーのみんな、本当にありがとうございました!

▼配信アーカイブは2022/3/26までご視聴できます
配信アーカイブのご視聴ありがとうございました!


愛理さんのライブ復帰を、友達として、仲間として、一人のファンとして、楽しみに待っています。

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