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「デスマフィン」騒動、SNS上の"正義"の暴走が招いた異常事態

焼き菓子店のマフィン販売で大騒動、厚労省が異例のリコール指定

11月11、12日に開催された「デザインフェスタ」でマフィンを販売した東京・目黒の焼き菓子店「ハニーハニーxoxo」が大炎上している。食べた人から「納豆のような匂いがする」との報告が相次いだこのマフィンをめぐっては、すでに厚生労働省がリコール措置を取る事態となっている。

発端はイベントでのマフィン販売時に、購入者から腹痛などの体調不良を訴える声が相次いだこと。SNS上には「納豆のように糸を引いている」と指摘する写真もアップされ、さらに批判を招いた。これを重く見た店主が14日、保健所に相談。翌15日に厚労省が、危険度の高いクラス1に指定し、販売されたマフィン約3000個をリコール対象とした。

クラス1に指定されるのは、フグ毒や腸管出血性大腸菌など、重篤な健康被害や死の原因になり得る場合。極めて異例の措置だといえる。当初、店主は「傷んでしまった可能性がある」と釈明していたが、被害拡大を避けるため事態収拾に追われている。

こうした経緯から、食の安全を軽視していたのではと批判を浴びせる声があがっている。しかし他方で、表現の自由や倫理的な問題を指摘する意見もあるなど、世論は割れている。食中毒に対する警戒と、個人への誹謗中傷についてはっきり線を引く必要があるだろう。今後の展開次第では社会問題に発展しかねない事案である。

マフィン騒動、SNSの“正義”が生んだ異常事態

焼き菓子店のマフィン販売をめぐる騒動は、SNS上で更なる過激化の兆しを見せている。食中毒を訴える声が相次いだことから発端したが、その後、店や店主に対する誹謗中傷が拡大。過去の商品を引用して容姿を攻撃する投稿も見受けられた。

さらに悪質なのは、店に対するイタズラ電話や嫌がらせ、店主名義での脅迫メールだ。無関係の幼稚園に殺人予告のメールが届けられたり、教育機関に店主への殺人予告文が送付されるなど、看過できない事態となっている。

こうした行為を正当化する人はいないだろう。しかし他方で、表現の自由や個人情報保護を盾にとって、誹謗中傷を放置する風潮も問題である。ネット上での「正義」の矛先が極端な形で個人に向けられることの危うさを、改めて思い知らされたと言えるのではないか。

悪質ないじめを助長しかねないSNS上の毒のある投稿をどう防ぐか。プラットフォーム側の適切な対応が求められる一方、モラルの欠如を推し量る利用者一人ひとりの自覚も欠かせまい。この事態を教訓として共有すべきだろう。

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