横断的なデータドリブン組織に必要な、定量調査と定性調査の使い分け方
過去にアンケートを実施したことがある方に質問です。なぜ「アンケート」という調査方法を選んだのでしょうか?その案件は「インタビュー」ではだめだったのでしょうか?そもそもこの2つの調査方法には実施形式以外にどんな違いがあるのでしょうか?
調査の監修を依頼される立場で相談者と話すと、「なんとなくアンケートだったから」「アンケートと決まっていたから」「インタビューは慣れていないから」など、特に深い理由はなく決定される(積極的な選択ではない)ことが多いように感じます。
実は調査のプロの間でも調査手法は固定的であることが多く、アンケート畑の人はアンケートを、インタビュー畑の人はインタビューをし続け、大きくは交わりません。専門分野の技能以外は知識だけに留まる、というキャリア形成も珍しくありません。
もちろんこうした状況を否定しているわけではなくて、それぞれの手法に精通している人がいてはじめて発展するものなので良い面もあります。また、仕事の業務管掌・部門の予算編成・組織の調査文化などの要因によってもある程度規定されていきます。
しかし本来、調査手法はレストランの「グランドメニュー」のようなもので、我が家の定番以外にも様々なものが存在しています。そして希望や課題に応じて最適な調査手法を使い分け、組み合わせることができると、より高い成果を望むことができます。
いま企業では、データを横断的に分析・活用するDX組織の新設が増えています。一方で、社内でリサーチと名の付く業務や調査の名を冠するアウトプットは無数にあり、実態を把握しつつ有機的に結びつけていくには、調査手法の特性理解が欠かせません。
この記事では、私がこれまでに何度もトライ&エラーを重ねて使いどころを研究してきた代表的な定量・定性の調査手法を7つ紹介します。調査手法それぞれの特長と短所を追体験いただくことで、皆さんのリサーチ体制を拡充する一助となれば幸いです。
加えてこのたび、調査会社のクロス・マーケティングさん主催で、DX推進に携わる企画・マーケティング担当者の方向けに、この記事の内容を元にしたリサーチ講座を開催することになりました。記事の最後に告知がありますので、こちらもお楽しみに!
※なお本稿はマーケティングリサーチ視点で以下7つの調査手法項目を構成しています。このうち、③UXリサーチはれっきとした②インタビューと⑥エスノグラフィーから成る手法であり、また付帯的に①アンケートや⑦専門家インタビュー(エキスパートレビュー)も範疇に含みますが、ここでは一つの分野として括りご紹介する点をあらかじめご了承ください。
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▼ ①アンケート
アンケートは、アンケートフォームに記入回答してもらう定量調査であり、本稿ではインターネット上で配信・回収するウェブアンケートを念頭に解説します。
アンケートの手法には、消費者・生活者に向けて行うアンケート(主に調査会社を通じて実施)、自社ユーザーに向けて行うアンケート(主にツールを使って自社で実施)などがあります。
また近年では、あらかじめ質問が構造化されたフォームアンケートだけでなく、リアルタイムで質問と回答(投票)を繰り返して成果物を形成する「チャットアンケート」も使われています。
実施期間は3週間~1ヵ月程度です。イメージ的にはもっと短期に進行する気がしますが、質問内容・発信内容に確認事項が多いことや、工程別に関係者が入れ替わることがあり、通常はそれなりの時間を要します。
実施費用は、調査会社に外注する場合、実査費として60万円~80万円程度を想定しておくとよいでしょう(中規模な事業会社での発注ボリュームゾーン)。もちろん、対象者抽出のためのスクリーニング規模・集計発注・分析発注等によりさらに金額が上がることもありますし、発注量によってはもっと割安に実施できることもあります。
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アンケートの調査手法には、下記のような特長があります。
a.意識や行動を数値により可視化できる
アンケート結果は定量的に集計されるため、数値データで人の意識や行動を可視化することができます。特に、過去の経験・現在の状況・未来の意向のように、時空を超えた自由な問いかけの設計により、消費や生活のトレンドを分析することができます。
b.事業成果の検証指標として運用できる
アンケートの代表的なテーマには、満足度調査・コンセプト調査・広告効果測定などがあり、いずれも事業成果の検証指標として運用することができます。近年はNPS(顧客ロイヤルティを測るスコア)が経営指標に採用されるケースもあり、KPIの用途でも活用されています。
c.設計や進行面で一定の共通理解がある
アンケートの場合、質問を作成して配信するという進行の流れや、質問は選択回答や自由回答を使って組み立てるという設計の方法が、ある程度一般的に理解されています。そのため他の調査手法よりも業務フォーマットが整いやすく、早く動き出せます。
d.結果が関係者に参照・引用されやすい
アンケート調査の基本成果物は、表データ・グラフデータ・自由回答リストなどからなり、それらをまとめた分析レポートを含め、調査結果が関係者に参照・引用されやすい傾向があります。ビジネス貢献での業務実績を意識する際にこれは重要な観点です。
a~dを通じて、数ある調査手法の中でもアンケートがスタンダードな調査として取り組めるメリットがよくわかります。
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例として、みかんのネット購入者アンケートの結果イメージを見てみましょう。
Q.喫食時期:12月~4月が主(50%程度で高い)、夏場も安定(20%程度で底堅い)
Q.購入理由:健康に良い、まとめ買い、食べ切れる(上位の回答)
上記の選択回答の結果からは、旬が短い果物の中でも通年で一定以上の需要があることや、飲料類のような習慣性や消費性に富む喫食特性があることわかります。このように、アンケートを使うと生活データから品目独自の販売方針を立てることができます。
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逆に、アンケートの調査手法には、下記のような短所があります。
a.複合的な対象者条件は回収に難儀する
アンケートの配信対象者は、性別・年代のような基本属性に留まらない複合的な希望条件を設定するほど回収は難しくなります。自社で内製対応する場合は会員構成に準じた回答者属性の偏りが発生したり、調査会社に発注できる場合も費用は高騰します。
b.知見が無いとミスリードを招きやすい
アンケート調査は誰でも気軽に始められる一方、知見が無いとすぐにミスリードを招きます。質問の設定ミスから誤ったデータを回収したり、結果の読み込み方が甘くて偏った考察コメントを残してしまうと、数字データを主とする報告物では致命的です。
c.企画~運用に一定の対応負荷がかかる
アンケートは関係者間で質問作成を調整していく企画段階からメールでの配信手続きを取る運用段階まで、担当者には一定の対応負荷がかかります。これは外部への業務委託時にも言えることで、確認事項が連続するため手離れのいい業務ではありません。
d.結果データが取りっ放しになりやすい
調査結果は何らかの形で依頼主や関係者に報告共有されるものですが、結果データが取りっ放しになりやすい現実もあります。組織内で意欲的に参照・活用されデータが企画・提案の場に出てくるのが理想ですが、縦割り文化だとすぐお蔵入りになります。
a~dを通じて、アンケートは始めやすい反面、確認判断事項が非常に多く、実施するからには深く関与する意欲や体制が無いと失敗しやすいリスクがよくわかります。
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▼ ②インタビュー
インタビューは、対面またはオンラインでヒアリングを行う定性調査です。
インタビューの手法には、同時に4~6名の複数人から話を聴くグループインタビュー、1対1で話を聴くデプスインタビューなどがあります。
また近年では、ネット上で実施するオンラインインタビューの普及が進んでいます。オンライン形式には時間や場所の制約が軽減されて対象者が広がるメリットがあります。また一方で、進行が単調にならないようにする工夫や相手の反応を読み取る技術が求められます。
実施期間は1ヵ月~1.5ヵ月程度です。報告・納品までの期間が長いのは、シンプルに対象者のリクルーティング(条件設定・日程調整・順番や組合せ)に時間がかかることと、セッション数(人数)が多いとその分情報をまとめる労力がかかることが要因です。これらの要件がクリアな場合は納期はもっと早まります。
実施費用は、調査会社に外注する場合、実査費として90万円~120万円程度を想定しておくとよいでしょう(中規模な事業会社での発注ボリュームゾーン)。もちろん、対象者抽出のためのリクルーティング難度・実施セッション数・レポート納品等によりさらに金額が上がることもあります。一方で内製実施ならば回答謝礼・仲介謝礼以外の費用はかかりません。
※内製時のモニターリクルーティングサービスでは、LIFULLが運営している「uniiリサーチ」が、リクルーティングの精度・モニターの協力姿勢・コストパフォーマンスなどの面で、リサーチャー間で定評があります。
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インタビューの調査手法には、下記のような特長があります。
a.対象顧客の体験や意見を深堀りできる
インタビューでは一人一人の生活や人生に焦点を当てながら話を聴くため、具体的な商品の使い方やそれに紐づく体験談、物事の判断基準となっている背景を深掘りすることができます。そのため、企画・運営のアイデア出しや仮説探索の用途に向きます。
b.ターゲットに共通する価値観がわかる
同じテーマでインタビューの人数を(セッション数)を重ねていくと、ターゲットに共通するテーマに対する価値観がわかってくるようになります。そのような絶対に外してはいけない価値観・ポリシーは事業コンセプトを考えるうえで大いに役立ちます。
c.質問に対する生の反応を見聞きできる
インタビュー調査では相手と対面しているので、質問に対する生の反応を見聞きすることができます。回答時に出てくる言葉や態度を通じて、好き・嫌い、賛成・反対の度合いを強く実感したり、時には企業側にすれば予想外の反応が出ることもあります。
d.ユーザーの姿を関係者で同時に見れる
インタビュー中の様子は、インタビュールームやオンライン上で関係者も見ることができます。これを時限性のあるイベントに見立てて、その場に役職者やパートナー企業が集うと、テーマについてのユーザー理解が一気に進む効果を得ることができます。
a~dを通じて、インタビューは仮説の発見や仮説同士を連結をする使い方に向くことがよくわかります。
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例として、みかんのネット購入者インタビューの結果イメージを見てみましょう。
Q.喫食体験:「ビタミンを自然に摂取できる」、「家族全員ほぼ風邪を引かない」、「切らさないよう常備している」(共通回答)
上記の発言録の結果からは、まるでサプリや漢方薬のような免疫効果に期待や信頼が集まっていることや、ファミリー世帯がストック購入(まとめ買い)していることわかります。このように、インタビューを行うと生活軸からターゲット層への理解を深めることができます。
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逆に、インタビューの調査手法には、下記のような短所があります。
a.情報量が参加者の経験値に左右される
インタビューは参加者がもたらす情報によって有益なインプットが得られる反面、その情報量は参加者の経験値に左右され、テーマについて意見できる立場・経験を相手が十分に有していないと、実りの無い会話を1時間して終わり、という事態に陥ります。
b.実施まで(日程調整)に時間がかかる
インタビューは実施までに相応の時間がかかります。これは、希望条件に合致する候補者を選ぶ条件面と面会日時を物理的に調整する日程面によるものです。機縁を頼って行う場合は早期決着もありますが、調査会社経由だと正確な分だけ時間を要します。
c.調査サービスの中では実施費用が高額
インタビュー調査を調査会社に発注する場合、下限で90万円程度は見込む必要があるため、調査サービスの中では高額な部類に当たります。そのうえ、成果物は参加者の発言録+当日次第の情報量であるため、業務成果を上げるにはリスキーな面があります。
d.数字文化の組織では重視されない傾向
インタビュー調査の成果物は発言録であり、かつ、サンプル数も4~8名くらいが標準なので、結果は少数サンプルの定性情報となります。数字で意思決定する文化が強い組織だと、最終的に数字の話になってインタビュー情報が重視されない懸念があります。
a~dを通じて、インタビューから得られる情報量には不確実性があるため、組織によって、また、実施した回によっても成果が定まりにくいリスクがよくわかります。
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▼ ③UXリサーチ
UXリサーチは、サービスの利用状況や利用意向を検証するインタビュースタイルの観察調査です。
UXリサーチの手法には、サービスの利用状況をオープンに尋ねるユースケースインタビュー、準備したシナリオに沿って機能や仕様に対する相手の反応を確かめるユーザビリティテスト、デザインパターンを複数提示して評価を尋ねるA/Bテストなどがあります。
実施期間は1ヵ月程度です。サイトやアプリの導線を一括検証するような中長期プロジェクトも存在しますが、基本的には短期間で細かくテーマを変えて検証と改善を積み上げていくスタイルがベーシックになっています(その他、開発手法などによっても変わります)。
実施費用は、支援会社に外注する場合、人件費報酬として60万円~80万円程度を想定しておくとよいでしょう(年間プロジェクトの月額人件費報酬相場)。もちろん、対応人員数(通常は1~2名)・職能レベル(実査技能を有しているアシスタント~ビジネス要件まで取り扱えたり、観察力の個人技でヒューリスティックな分析ができるコンサルタント)・付帯するアンケート業務の実費などによりさらに金額が上がることもあります。
※ここで紹介しているUXリサーチは、アプリ開発などのシーンにおけるユーザーリサーチを想定した狭義の説明です。メルペイでUXリサーチャーを務め、UXリサーチの著書もお持ちのmihozonoさんが、UXリサーチの定義や解釈を記事にまとめていらっしゃるので、ぜひご一読ください。
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UXリサーチの調査手法には、下記のような特長があります。
a.特定の場所や場面への反応を見られる
UXリサーチは、サイト・アプリ・端末など何らかの実物もしくはワイヤーフレームを検証用素材として用います。そのため、場面ごとにストップモーションをかけるような形で、特定の場所や場面に対する相手の反応を見ながら話を聴き進めることができます。
b.具体的な改善や提案に結びつきやすい
UXリサーチの調査フローは事象を特定して進めるので、ヒアリング結果をもとに具体的な改善や提案に結びつけやすい実施メリットがあります。アンケート調査だと記憶回答を主として進めるため、なかなか動作や遷移レベルでの意見を聴くのは困難です。
c.企画~報告までの実施サイクルが早い
UXリサーチ会社の担当体制は、開発案件のようにクライアント企業のプロジェクトに半常駐型で携わるため、企画~報告までの調査実施サイクルが非常に早いことが特長です。優先的に稼働をコミットしてもらえるため、相手都合で待つ場面は少ないです。
d.支援会社側のIT技術リテラシーが高い
UXリサーチの調査領域はウェブがメインであることから、支援会社に在籍するUXリサーチャーのITリテラシーは高く、検証対象の技術や仕様についての理解が深いです。従来型の調査会社だと、知識不足で実査中の話題の展開が浅くなる傾向があります。
a~dを通じて、UXリサーチはサービスの改善提案・施策や機能の精度向上に向くことがよくわかります。
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例として、みかんのネット購入離脱者インタビューの結果イメージを見てみましょう。
Q.離脱理由:検索結果が多くて選べない(代表意見)
Q.対案提示:用途で選ぶ買い物ナビ機能(肯定反応)
Q.対案提示:お気に入り商品のLINE通知(否定反応)
上記のインタビュー結果からは、購入を途中で止めてしまう理由は検索結果の表示方法に起因していることがわかったり、その対案として、コンシェルジュ機能はその場で助かるけれど、商品情報がLINEに通知されるのは大げさ、という結果がわかります。このように、UXリサーチは特定課題の原因究明と対策立案に強みを持っています。
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逆に、UXリサーチの調査手法には、下記のような短所があります。
a.明確な課題設定が無いと良さが出ない
調査プロジェクトはサービスの利用実態・印象評価の全体像を知るニーズからしばしば発生しますが、UXリサーチではLP・決済・バナーなどにおける明確な課題設定が無いと良さが出ず、漠然としているうえに少数サンプルの結果報告になってしまいます。
b.現物や計画のサンプル提示準備が要る
UXリサーチの実査は、サイトやアプリの画面提示や実機操作をもとに進行します。そこで使用するLP・バナー・各種機能などのサンプル(現物・計画)の用意が必要なため、制作・開発の担当者と連携しながら提示物の準備を進めていく必要があります。
c.複数回の実査同席は相応の時間が必要
UXリサーチは1テーマにつき4~6名程度の被験者にインタビューを行います。1名あたり60分程度の所要時間のため、実査のすべてに立ち会うには相応の時間が必要です。同席しない場合も含め、質問票や発言録はかなり構造化されていることが望まれます。※実査のアプローチ的に意図して質問を構造化しない場合もあります。
d.連続的に対応する担当体制が望まれる
支援会社との契約形態は要員と稼働に対するものであることを説明しました。この半常駐型の形態は一見助かりますが、依頼主側でも連続的に企画・管理に対応する担当体制が望まれます。しかも1か月サイクルの実施・検証には相当の負荷がかかります。
a~dを通じて、UXリサーチは明確な目的意識を持って支援会社との二人三脚体制を準備していくことがカギであることがよくわかります。
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▼ ④SNSリサーチ
SNSリサーチは、Twitter・Instagram・FacebookなどのSNSに投稿されている内容(UGC)を分析するデスクリサーチ型の調査です。
SNSリサーチの手法には、ハッシュタグ検索、投稿種別分類、ネガポジ判定、エピソード収集、期日情報収集など、プラットフォームごとの表示内容や機能特性を活かしたやり方があります。
実施期間は1週間程度です。ローデータ(分析のもとになるデータ)であるUGCはウェブ上に既に上がっているので、自分が意識してウォッチングする時間をつくれば、ごく短期のうちに情報収集を完了することができます。また本格的に分析する用途ではなく、アイデアブレスト用に軽くウォッチングする用途にも向きます。
実施費用は自分で行う限り発生しません。SNSのツールは必ずしも自分が投稿をしていなくてもアカウントを持っておくと便利です。また、いわゆるクチコミ分析の有料ウェブツールも増えてきているので、もし自社で販路が広い日用品を取り扱っていて、定量的に・恒常的に分析したい場合は導入を検討するのも一手です。
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SNSリサーチの調査手法には、下記のような特長があります。
a.生活者のクチコミを無料で収集できる
SNSの投稿はユーザーの生活体験・消費体験がベースとなっており、領域的にも時間的にも広い範囲の情報を参照することができます。また、基本的には投稿と体験の時点が近いもしくは同時であることから、ストレートな声を収集することができます。
b.絞り込み用の検索機能が充実している
マーケティング目的でUGCを分析するには検索技術が欠かせません。各ツールは絞り込み用の検索機能が充実しており、Twitter:キーワード検索・from検索、Instagram:ハッシュタグ検索、Facebook:キーワードの最新投稿検索、などがおすすめです。
c.Twitterが強い情報→直近~現在の情報、情報元の直リンク、ネガティブコメント
Twitterは物事の経過に関する情報に強く、直近~現在にかけての情報が集まります。ニュースやイベントなどの事象が、いつどんな形で行われているのか、投稿者コメント+情報元の直リンクからわかります。またネガティブコメントも参照できます。
d.Instagramが強い情報→理想の物品・場所・状態、共感コメント、質問と回答のやり取り
Instagramは完成形のライフログ情報に強く、テーマに関する理想の物品・場所・状態を参照する用途に優れています。投稿者のタイムラインは発信者と同質のフォロワーで構成されやすく、共感コメントの多さや質問と回答のやり取りも参考になります。
a~dを通じて、SNSリサーチは生活者・消費者のリアルなライフログ情報により、様々な企画・改善アイデアに結びつける用途に向くことがよくわかります。
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例として、サウナユーザーを対象にしたSNS投稿の分析イメージを見てみましょう。
・Twitter→サウナ施設のオープン情報、行ってみたい投稿
・Instagram→サウナ飯情報(カレー・オロポ・酸辣湯麺など)、行ってきた投稿
・Facebook→施設側による営業情報、地域のおすすめ情報
上記のリサーチ結果からは、Twitterでは店舗施設の最新情報や体験希望のメニューが、Instagramでは入浴後のサウナ飯と共に振り返る利用体験談が、それぞれわかります。またFacebookは運営者からの営業情報や地域情報が出ており、補完的な情報になります。このように、SNSではツールによって得られる話題が異なるため、それぞれをチェックすることで立体的な分析データを得ることができます。
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逆に、SNSリサーチの調査手法には、下記のような短所があります。
a.テーマの投稿ボリュームに左右される
マーケティング目的で現象を分析するにはある程度のデータ量を必要とします。SNSはネット上での話題性が薄かったり秘匿性が高いテーマの情報はほとんど出てこないので、テーマの投稿ボリュームによって調査活動が左右されてしまう弱点があります。
b.主語や背景が省略されてる投稿が多い
一般ユーザーによるSNSの投稿は同質性の高いコミュニティに向けて発信されているため、対象物の主語や背景となる情報が省略されていることも多くあります。意味の通った報告を行うには、自分で事実情報や背景情報を別途突き合わせる必要があります。
c.検索時期や投稿削除等の影響を受ける
タイムラインで見る情報は自分が検索した時期の影響を受けるため、時間帯・季節性・流行性の観点から閲覧中の情報に偏りが無いか補正していく必要があります。またユーザー都合で投稿が削除される場合もあり、ローデータは決して安定していません。
d.投稿内容は自分で分類する必要がある
SNSの投稿内容を定量的に分析しようとする時、投稿内容は自分で分類する必要があります。場面や意見の種類、ネガポジ判定、投稿時期など、目で見て仕訳けていく負荷がかかります。テーマの粒度や調査対象期間を適切に設定して負荷を下げましょう。
a~dを通じて、SNSの投稿内容を吟味したり、そこからレポート報告に向けて情報を編集していくにはメディアリテラシーを含めた慣れが必要だとよくわかります。
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▼ ⑤POSデータ調査
POSデータ調査は、売上・利益等の基幹データを分析するデスクリサーチ型の調査です。本項ではデータを管理するシステムをPOSと呼んでいますが、デジタル対応が進んでいる組織ではSFA(セールスフォースなど)がPOSに該当する場合もあるでしょう。
POSデータ調査の手法には、実店舗データベース分析、ECデータベース分析があります。
実施期間は1週間程度です。販売データ自体が整備されていれば準備時はデータを出力するだけですが、ダッシュボードや分析軸が未整備だとそこからの作業になるため、初期設定には時間を要します。
実施費用は自社のデータベース分析なので発生しません。その代わりツールの使用権限要因でアカウント付与が認められず、社員でもアクセスできないという立場の人もいるかもしれません。この場合はシステム部門の担当者と連携を築いていきましょう。
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POSデータ調査の調査手法には、下記のような特長があります。
a.単品レベルでの売上トレンドがわかる
POSデータでは、単品レベルの売上トレンドを把握することができます。アンケートの場合、売上分析の粒度は(選択肢数の上限により)大~中カテゴリまでが適切な範囲となりますが、POSでは単品の売上情報はもちろん、利益率も同時に参照可能です。
b.商材別に精緻な価格受容分析ができる
POSデータでは、商材別に精緻な価格受容分析を行うことができます。売上の数値は店舗の位置づけによって大きく変動する中、POSでは品目ごとの売上総額・平均単価・価格帯別販売数分布などのデータを参照しながら、価格戦略を練ることができます。
c.顧客別・商品別での買上点数がわかる
POSデータでは、顧客別・商品別での買上点数がわかります。顧客の決済あたりの同時購入点数、同一商品のまとめ買い点数などの情報がわかると、顧客の予算や適正な物量の見当がつき、アンケートで特定品目を優先的に検証する時の仮説にも使えます。
d.年次推移でのトレンド分析精度が高い
POSデータでは、直近3ヵ年での商品別・会員別の売上推移を見るなど、年次推移でのトレンド分析を高い精度で行うことができます。セールス業務はデイリー・マンスリー単位の運用と検証に終始しがちな中、長期的な視野で対策を立てる材料になります。
a~dを通じて、POSデータ調査は自社の正確な事業・商材・会員データを通じて事業課題を特定し、それを解消する企画や施策をアンケートで考える素材に向くことがよくわかります。
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例として、食品カテゴリにおける購買トレンドの分析イメージを見てみましょう。
・レトルトカレーではチキン味がNo.1(売上トレンド)
・食雑貨の中心価格帯は120円と350円(中心価格帯)
・ギフト用コーヒー豆は2点購入が多い(同時購入点数)
・会員の平均年齢が40代へと上昇基調(会員年代推移)
上記のリサーチ結果からは、レトルトカレー品目の中でバターチキンカレー味が売上No.1の売れ筋トレンドであること、食雑貨は120円と350円が中心価格帯になっていること、ギフト用コーヒー豆は2点同時購入があること、会員の平均年齢をグラフの推移で見ると40代のミドルエイジゾーンへと上昇基調にあること、などがわかっています。
こうしたデータは単品管理に基づくPOSデータならではの情報です。アンケートでは品目単位で追いかけるのは難しい場合がありますし、インタビューでは購入価格や買上点数の記憶までは曖昧なこともあることから、自社のMD傾向が実績ベースですべて出揃うのはPOSデータのメリットです。
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逆に、POSデータ調査の調査手法には、下記のような短所があります。
a.データは業態要因の影響を受けやすい
POSデータは業態要因の影響を大きく受けます。たとえばネットショッピングでは水がよく売れます。これは業態全般でそういう傾向なのですが、水が売れ筋だから水をもっと売っていこうと考えてしまうと規模の経済の闘いに入っていくことになります。
b.データは販促施策の影響を受けやすい
POSデータは販促施策の影響を大きく受けます。自社でクーポンやポイントを大量に発行している場合、対象となる期間や品目は当然ポジティブな傾向に振れやすくなります。データの粒度が大きくなるとこの事実が隠れてミスリードにつながります。
c.結論が短絡的な対処へと向かいやすい
POSデータの分析結果は目標予算比・前年対比などを基準に共有されます。このレポート形式は未達指標が目立つため、結論が「売上も利益も客単価もCVRもPVもセッションもすべて純増で着地させる」のような短絡的な対処へと向かっていきがちです。
d.前提のデータ構造が複雑なことが多い
POSデータは品数や施策が増えていくと、だんだん前提となるデータ構造が複雑になっていきます。そのため、「○○を除いて/足して考えなければならない」のような一部の関与者にしかわからない解釈ルールが出てきて基準値が不透明になりがちです。
a~dを通じて、一見万能なPOSデータにもデータの構成に偏りがある場合もあり、補完性のあるデータとの突合せを必要とすることがよくわかります。
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▼ ⑥エスノグラフィー
エスノグラフィーは、自宅・部屋・店舗などでの生活様式や消費行動をウォッチングする観察調査です。
エスノグラフィーの手法には、訪問調査、日記調査、店頭調査などがあります。
実施期間は1~2週間程度です。実査の日数は調査方法によって、単日の訪問インタビューで完結したり、連日のウォッチングを要したり様々です。
実施費用も期間・規模・手法により大きく異なります。
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エスノグラフィーの調査手法には、下記のような特長があります。
a.商品の購入経緯・用法・用途がわかる
エスノグラフィーで得られた観察データからは、商品の購入経緯・用法・用途などがわかります。これらの情報自体は他の調査手法でも得られますが、現場・現物をベースにウォッチングやヒアリングを進めることができるので、かなり理解が深まります。
b.季節商材の日別の動向を把握しやすい
人の自宅での過ごし方や店舗での買い回り方は、基本的に季節感の影響を強く受けています。観察調査は気温・天候をはじめとする要因を受けて、季節商材がどのように登場するのかが現場や写真からわかり、日ベースでMDを組み立てるのに役立ちます。
c.商品の周期性や回転率がわかりやすい
訪問調査・日記調査・店頭調査はいずれも、室内や店頭の定常在庫を参照して、ユーザーの実態ベースで商品の周期性や回転率を把握することができます。移動や保管の物理的な制限を考慮したユースケース情報であることがこの手法の大きな特長です。
d.コンセプトや価格帯の揃え方がわかる
エスノグラフィーは購入と使用の両方の現場アプローチを取るため、消費者が持っている自分なりの商品選好コンセプトや、これまでの経済活動の中で蓄積されている価格帯などの情報を参照し、事業者目線には無い商品の揃え方を知る機会になります。
a~dを通じて、エスノグラフィーは生活文脈における示唆を得られやすく、他の調査手法ほどにはまだ普及していないため(※依頼主の事業者タイプが固定的)、他社が持っていないデータを独自に取れるメリットがよくわかります。
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例として、雑貨小物の使用状況に関する日記調査の分析イメージを見てみましょう。
・週内の雪の予報を見て電気毛布を購入(購入経緯)
・毛布は丸く畳めるのでタンス内に収納(保管方法)
・ペンの替芯は半年位で買物がてら行う(買替周期)
・文具は猫のモチーフで買い揃えている(コンセプト)
上記の観察結果からは、購入経緯・保管方法・買替周期・商品を選ぶ時の自分なりのコンセプトなどの情報を通じて、被験者の購入~使用~保管へのこだわりが見えてきます。これらの情報によって、どのように商品の仕様を決定して、どんなタイミングで売り出せばよいか、次回商戦に向けた仮説を練ることができます。
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逆に、エスノグラフィーの調査手法には、下記のような短所があります。
a.ウォッチングの実施が目的化しやすい
エスノグラフィーの実査は見どころに溢れていますが、調べる項目を意識していないと、ただの訪問や視聴で終わってしまいます。会社への報告時にファクトベースでもレポーティングできるよう、調べる項目とその計測単位は事前に決めておきましょう。
b.曜日や時間+個体の影響を受けやすい
人の生活様式は曜日や時間によって変わります。これは店舗内での調査も同様です。この原理を理解していないと、ターゲット層の行動パターン・思考パターンを一律に捉えてしまったり、個々人に特有の現象を普遍的なものとミスリードしてしまいます。
c.雰囲気だけで理解した気になりやすい
エスノグラフィーの調査結果は、現場の映像や画像を通じてたくさんの情報量を得ることができます。調査のアウトプットとしては非常に充実していますが、雰囲気で理解した気になりやすいので注意が必要です。調査の成果は示唆ベースで考えましょう。
d.分析に社会や文化に対する見識が必要
エスノグラフィーの実査では、被験者が状況を説明してくれますが、すべての現象を言語化してくれるわけではありません。現象を読み解くには日頃からの社会や文化に対する見識が必要であり、インタビュー調査よりもさらにこのスキルが求められます。
a~dを通じて、エスノグラフィーは情報量の割に何も示唆を得られないリスクがあるのがよくわかります。観察するポイントは、あらかじめ他の調査手法か、もしくは社員の家族に協力を募るなどのパイロットユーザーテストで整理しておくと良いでしょう。
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▼ ⑦専門家インタビュー
専門家インタビューは、各分野の専門家にヒアリングを行うインタビュー調査です。
専門家インタビューの手法には、スポットコンサルティングサービス、支援会社のエキスパートレビュー、noteクリエイターインタビューなどがあります。
スポットコンサルティングサービスは、市場開発を目的とするマクロ調査などで一般的によく使われている登録・マッチング制のサービスです。支援会社のエキスパートレビューは、通常のサービスラインとは別途専門的な批評や提案を依頼する方法です。また最近では、noteクリエイターへのインタビューでもほぼ同じ効果を得られると私個人は思っています。noteでは先方の知見や実績が見える化されているので、比較的安心して精度の高い依頼が可能です。
実施時間はインタビューのみで1時間程度が標準です。ただ、調査テーマの広さと深さによっては先方が準備期間を必要とすることもあるので、依頼日から2週間程度空けると丁度いいかもしれません。
インタビューの謝礼は10万円程度が相場ですが、情報提供ベースではもっと安価になったり、レポートベースでは遥かに高額になったりします。(このあたりは関係性や継続性により慣習が異なります)
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専門家インタビューの調査手法には、下記のような特長があります。
a.調査対象・調査観点を効率的に絞れる
専門家インタビューでは、調査対象・調査観点を効率的に絞ることができます。特に事業拡張におけるマクロ調査のシーンでは、ひと通り調べるにしても押さえるべきポイントを知ることで、出だしから莫大な時間を費やしてしまうリスクを減らせます。
b.ビジネスの出口部分にコミットできる
専門家インタビューでは、調べた情報・聴いた情報がそのままビジネスアイデアにつながることも少なくなく、ビジネスの出口部分にコミットできます。他の調査手法は具体的な出口案で煮詰まってしまうケースもよくある中、調査成果は上げやすいです。
c.テーマの単位を自由自在に設定できる
専門家インタビューでは、調査テーマの単位を業界・商品・機能・広告・販促など自由自在に設定できます。アンケートだと調査対象物の粒度を多軸に保つのは難しく、ここは人(専門家)が記憶・伝聞・保管しているからこそ柔軟な対応が可能な点です。
d.理解や教育に最適な納品レポート形式
専門家インタビューをレポート込みで依頼する場合、従業員や関係者の理解や教育に最適な形式でレポート納品を受けることができます。商品・店舗・広告のビジュアルや、サイト・アプリの利用チャートなどを図表としてすぐに参照することができます。
a~dを通じて、専門家インタビューは具体的な環境分析や対応施策に関する情報を得られるため、レポートのアウトプットが現場(会議・商談)で活用されやすいメリットがよくわかります。
* * *
例として、アパレルサイトにおけるセール販促の分析イメージを見てみましょう。
・事前の登録と引き換えにクーポン発行
・お気に入り商品の期間中の値下げ通知
・後半はキャリー品タイムセールを実施
・サイト内検索にハッシュタグ検索実装
上記のヒアリング結果からは、アパレル業態で特に重点施策であるセールの販促について、ブランドクーポン・商品のお気に入り登録・タイムセール・ハッシュタグ検索などの定番手法を有効に機能させる方法がわかります。
これらのノウハウをアンケートやインタビューから導こうとすると、ユーザー行動や発言データを一から収集して分析していく手間が発生します。そのうえ生活者・消費者は販売の答えを教えてくれるわけではありません。
専門家インタビューはマクロ調査で使用される機会が多い手法ですが、このように業界や競合の販売手法を知る手立てとしても有効です。
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逆に、専門家インタビューの調査手法には、下記のような短所があります。
a.希望を言語化するオリエン能力が必要
専門家インタビューでは、通常の調査レポートで言う分析や示唆を相手がまとめてくれます。しかし完全に先方任せにしていると、調査対象に偏りが出たりします。担当者には会社の状況を踏まえて希望を言語化するオリエンテーション能力が求められます。
b.準備期間のリードタイムが長めの傾向
依頼する専門家はたいてい忙しく、インタビュー準備のリードタイムを長めに必要とする傾向があります。特にレポートのアウトプットを用意してもらう場合はぎりぎりの時間に納品されることもあり、相手の立場をリスペクトした連絡対応が求められます。
c.示唆や提案を使いこなせる体制が必要
前述の通り、この調査では示唆や提案を高い次元で確保できるメリットがあります。一方で、組織側に示唆や提案を使いこなせる体制ができていないと、一部の積極的なスタッフの肥やしにはなっても、全体では調査結果が宝の持ち腐れになってしまいます。
d.複数部門が参照しないとコスパが悪い
専門家インタビューのアウトプットは「情報」なので、複数部門が参照しないとコスパが悪いケースがあります。この場合、ワークショップの導入までは無理でも、社内向け講習会や研修会とセットの取引にしておくと、理解と活用が進むのでおすすめです。
a~dを通じて、専門家インタビューを使いこなすには、参照者側の理解度や活用度が問われることがよくわかります。ですので、依頼する調査担当者の立場は、できるだけ事業部のリーダーか、組織開発スキルを持っている企画プランナーが適しています。
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▼ CMOをサポートする企画・マーケティングリーダーに求められている職責
ここまで主だったリサーチの調査手法について解説してきました。これらの調査手法は、本稿ではいったん「知る」ことを目標に掲げていますが、もちろん最終的にはビジネスに活かすことが重要であり、実務でのリサーチのゴールはさらに先にあります。
マーケティングのキャリアを上り続けるにあたり、これらの調査手法は支えになってくれます。というのも、企画・マーケティングリーダーには、以下のような側面から、CMOあるいはマーケティング本部長をサポートする役割が求められているからです。
①データのコーディネート
②ビジネスのプランニング
③コミュニケーションのハブ
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①データのコーディネート
1つめは「データのコーディネーター」としての役割です。市場・商品・顧客に関するあらゆる種類のデータを取り揃え、事業課題に対してその都度最適な調査手法・分析手法を判断します。調査手法を熟知しているとデータアセットの偏りを無くせます。
②ビジネスのプランニング
2つめは「ビジネスのプランナー」としての役割です。経営側の要件である事業計画を加味しつつ商品起点のストーリーラインを立て、ユーザーとビジネス両方の視点を行き来してマッチさせます。調査手法に幅があると実態と理想の両面を描き出せます。
③コミュニケーションのハブ
3つめは「コミュニケーションのデザイナー」としての役割です。ビジネスデータを集約して社内のキーパーソンに展開し、データを通じて社内やパートナー企業に事業方針を啓発していきます。調査手法の分だけ多面的な関心を喚起することができます。
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このように、リサーチ手法を広げていかないとより高次の役割に対応できない時代になってきました。すべてを試すことは難しいかもしれませんが、頭の片隅にインプットしていただき、皆さんの必要なタイミングでトライするきっかけになれば幸いです!
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▼ 出演イベントのお知らせ
この記事の内容を含む「企画・マーケティング担当者のためのリサーチ講座」セミナーが、株式会社クロス・マーケティング主催で開催されます。当日は記事の生解説だけでなく、実際の調査メニューに置き換えた活用法もお話します。ぜひご視聴ください!
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