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クイーン・ナイジャ「After the Butterflies」に込められたストーリー

ミシガン州イプシランティ出身のQueen Naija(クイーン・ナイジャ)は、音楽界の新星として「アメリカン・アイドル」第13シーズンで注目を集め、その後YouTubeでの活動を経て、2017年にシングル「Medicine」で大きな成功を収めました。この楽曲はAdult R&Bチャートで1位を獲得し、彼女のキャリアにおける重要な転機となりました。この成功がきっかけでCapitol Recordsと契約を結び、翌年にはシングル「Karma」が同チャートで1位に。
これらのヒット曲は2018年のデビューEP「Queen Naija」に収録され、彼女の名声をさらに高めました。

2020年にはデビューアルバム「Missunderstood」をリリースし、Lil Durk、Latto、Jacqueesといった著名アーティストとのコラボレーションで全米チャートのトップ10に名を連ねました。そして2023年11月、待望のEP「After the Butterflies」を発表。本記事では、クイーン・ナイジャの最新作を深堀りし、彼女の音楽的進化を探ります。クイーン・ナイジャの新しい音楽の世界に触れたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

レーベル  : Capitol Records
リリース日 : 2023年11月17日
名前    : Queen Naija
本名    : Queen Naija Bulls
年齢    :    28歳
出身地   :    ミシガン州イプシランティ

音楽を通じた感情の表現

クイーン・ナイジャが最初に注目されたシングル「Medicine」は、元夫との失恋や感情をテーマにした曲で、この曲は多くの女性から支持を受けました。彼女はこれまでの音楽制作で、自身の感情をインスピレーションとして取り入れており、自らの経験を音楽で表現しています。

EPをレコーディングしていた当時、私は感じた事をそのままにレコーディングしていたわ。私はかなり暗い時期にいたんだ。今の関係も、過去に交際していた人との別れも、みんなが知っている話。それは健康的な関係ではなかったわ。そこから抜け出したとき、私は本当に幸せを感じたの。そして、今のパートナーに出会って、新しい気持ちがわき上がった。それが「Butterflies, Pt. 1」と「Butterflies, Pt. 2」のインスピレーションになったわ。でも、恋愛ではいつか必ず、その情熱が薄れる時が来る。今の私は、そんな暗い感情の中にいるの。でも、アーティストとして、その感情を歌にするのが仕事だから(笑)。

続けて、クイーン・ナイジャは1人の人間として自立し、自身を愛することを学んだと述べています。

受け入れることは、時に強さの源となる。男性のサポートなしに、自分自身を愛することを受け入れる必要があるの。そして、もし必要なら、1人でいることも受け入れなければならない。これが、私に新たな強さを与えたんだ。もちろん、私は家族を望み、永遠の結婚と愛を夢見ている。しかし、もし人生が別の道を歩むことになったとしても、それでいいと思っているわ。以前は、公になった失敗した恋愛に対して恥ずかしさや恐れを感じていた。Queen Naijaとしての私の恋愛が、世間に晒されることは恥ずかしい。それが原因で、人との繋がりを失うのではないかと心配していた。そんな不安を抱えつつも、準備をして、自己探求の旅を続けてきた。1人でいること、そして自分自身を受け入れること。これが、私の音楽のテーマなの。

収録曲について

アルバム「Missunderstood」から3年振りのニュープロジェクトとなった今作は、MonicaElla MaiEric BellingerYoungBoy Never Broke Againがゲスト参加した全10曲を収録しています。

「One of them Days」

3曲目に収録された「One of them Days」は、ベテランシンガーのモニカをフィーチャーしています。この曲では、クイーン・ナイジャモニカが、自己ケアの重要性、人間関係におけるプレッシャーやフラストレーションへの対処、そして時には自分自身を守るために自己中心的になる必要性について、それぞれの視点から表現しています。過去には常に他人のために尽くしてきましたが、今は自分自身を優先するというメッセージが込められています。特にクイーン・ナイジャは、この曲を気に入っており、モニカのデビューアルバム「Miss Thang」(1995年)に収録された「Don't Take It Personal」から影響を受けたことを明かしています。

「One Of Them Days」、実はこれが一番のお気に入りなの。いつか、自分が憧れるアーティスト、その道を切り拓いた人物と共演することを夢見ていたの。そして、その人はMonica、間違いなく彼女なのよ。彼女は私にとって、そしてR&B界にとっても、まさに伝説的な存在。
特に彼女の「Don't Take It Personal」は、心に響くわ。この曲では、自分の欲求に素直になりたいって歌っているのよね。私自身、そういう自由はほとんどなかったから。いつもパートナーや子供たちのことを考えて、自分のことだけを考える時間がなかったわ。

Queen Naija & Monica - One of them Days

Monica - Don't Take It Personal (Just One Of Dem Days) (1995)

「Taboo」

7曲目の「Taboo」は、その曲名からもわかるように、恋や欲望についての禁断の感情を追求しています。クイーン・ナイジャとゲストアーティストのエリック・ベリンジャーは、お互いに対する強い欲望、秘密の恋、そして理解されにくい関係を熱唱しています。彼らは、相手の存在がどれだけ自分の時間を埋め尽くしているかを歌い上げています。更に、クイーン・ナイジャは、エリック・ベリンジャーがこの曲に最もフィットしたと述べています。

Eric Bellingerとコラボした「Taboo」は、私にとって本当に特別な曲になったわ。いくつかのアーティストとフィーチャリングを試してみたけれど、彼はこの曲に完璧にフィットしたの。彼のパートは素晴らしく、私のスパイシーな面を引き出してくれたのよ。この曲は、内緒の関係について深く考えさせられるもの。実際にはそういうことをするのは怖いけど、考えたことはある。特に、いつも浮気される側に立たされてきたから。だから、「もし私が浮気する側だったら?」と考えてみたの。その感じってどうなのかしら?きっと、その時はいい気分なのかもしれない。でも、そういう考えを追求してみたわけ。それがタブーで、私は忠実さを重んじるけれど、もしそうせざるを得ない状況になったら?それが「Taboo」のテーマ。でも、そんな思考が気持ちいいのよね、分かる?だから、「Taboo」はちょっとスパイシーな曲になったの。

Queen Naija & Eric Bellinger - Taboo

「All or Nothing」

エラ・メイとの「All or Nothing」は、深い愛と全面的なコミットメントをテーマにしています。クイーン・ナイジャエラ・メイは、相手に自分を全面的に受け入れてもらいたいと願い、妥協のない真実の愛を求めています。彼女たちは、曲を通じて自己犠牲の準備ができていることを表現していますが、その一方でパートナーにも同等の献身を求めています。この曲はElla Maiとの初共演となり、クイーン・ナイジャは彼女の才能に長い間魅了されていたこと、そしてついに一緒に作品を創ることができた喜びを語っています。

「All or Nothing」をElla Maiと共に制作した背景には、かつてMary J. Bligeのツアーで一緒にステージに立った経験があることが大きいわ。彼女と一緒に曲を作るのが夢だったんだ。長い間、そういう機会を模索していたところ、この曲が彼女にぴったりだと感じたんだよ。彼女もこの曲を気に入ってくれて、早速参加を決めてくれたんだ。この曲は、まさに西海岸風のサウンド。私自身の世界観はみんなに知られているけれど、彼女の世界にも足を踏み入れてみたかったんだよ。リズミカルなウェストコーストのリズムやビートを取り入れ、私たち二人のスタイルを融合させたかった。結果、この曲では私たちの二つの世界を一つにすることができたんだ。「オール・オア・ナッシング」で、全部か何もかを追求した。真剣な関係を築きたいという思いを込めて、相手も自分と同じくらい真剣に関わってほしいんだ。それがこの曲の核心だよ。

Queen Naija feat. Ella Mai - All or Nothing

「No Fake Love」

9曲目の「No Fake Love」は、今作で唯一ラッパー枠から参加したYoungBoy Never Broke Againとの曲で、9月に先行リリースされたリードシングルです。この曲は、昨年の夏にリリースする予定で制作が進められていましたが、当初は別のラッパーをフィーチャリングする予定でした。しかし、うまくまとまらずその計画は頓挫。その翌年にYoungBoy Never Broke Againとの共演に至った経緯が明らかにされています。

この曲はもともと2022年の夏にリリースするつもりだったの。だから、最初は公開することに少し躊躇してたのよ。新鮮で活気あるサマーソングを目指していたんだけど、古くなった感じがして、私はいつもそう、新しいことに移りたくなるタイプなの。リリースが遅れたのは、あるラッパーがフィーチャリングするはずだったから。彼は参加すると約束してたんだけど、結局は実現しなかったの。彼を待っているうちに、他のアーティストにも声をかけたの。その中の一人がYoungBoyだったのよ。このことを周りの人たちと話し合ったら、みんな絶対にやるべきだって言ってくれたわ。

Queen Naija & Youngboy Never Broke Again - No Fake Love

今後の目標

クイーン・ナイジャは、これまでソウルフルな歌声とパーソナルでストーリー性のある歌詞で多くの女性オーディエンスの心を捉えてきました。今後の目標として、ファレル・ウィリアムスとの共演を望んでおり、彼の音楽が大好きであることを述べています。また、よりエッジの効いたアーティストたちとの共演を夢見ており、Brent FaiyazSZAなどのシンガーや、DoechiiJ. Coleなどの才能あるラッパーとのコラボレーションを望んでいます。

Pharrellと一緒に何か作れたら最高だなっていつも思っているんだ。彼の音楽は全部好きだし。それから、アーティストとしては、もっとエッジの効いた人たちと一緒にレコードを作りたいね(笑)毒々しいというか、もうちょっとそういう感じで。Brent Faiyazのことはいつも言っているんだけど、一緒にやると超ドープなサウンドになると思うんだ。SZAもすごくエッジが効いていると思う。それがどうなのか見てみたい。でも、私はどちらかというと甘い方だと思う。たまに自信満々なことを言うけど、大体は甘くてキラキラした感じを大事にしてるんだ。
ラップの世界では、新しい才能が出てきていて、特に女性ラッパーの中でDoechiiが本当に素晴らしいと思うんだ。Lady Londonもね、彼女はクールでリリカルな才能がある。叙情的なスタイルと言えば、J. Coleともいつか仕事したいんだよね。まあ、これはほんの一部の話だけどね。こんな感じで、多様なアーティストたちと一緒に何かを作るのが夢なんだ。

おわりに

クイーン・ナイジャの最新EP「After the Butterflies」は、彼女の音楽キャリアにおいて重要な転換点を迎えた作品となりました。デビューアルバム「Missunderstood」に続くこのEPでは、感情豊かなストーリーテリングと音楽の深みが一層引き立ち、特に自己啓発や自己愛をテーマにした楽曲は、聴く人々に力と希望をもたらす様子が見て取れます。

このEPは官能的でソウルフルな作品として高く評価されており、このプロジェクトによって、R&Bシーンにおける彼女の地位がさらに強化され、現代の人間関係やパーソナルな繊細なテーマを表現する上で、彼女の声はますます影響力を持つようになったと感じられます。

このように「After the Butterflies」は、彼女の音楽を通じた成長と進化を象徴する作品であり、ファンにとっては単なるアルバム以上の価値があると言えます。このEPは、彼女の音楽キャリアの輝かしい未来への門出であり、その一つ一つの音符が深い感動を伴いながら、彼女のアーティスティックな冒険の新たな章を予感させるものとなっています。

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