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アルバムはカニエの承認なしにリリースされた!? Kanye West ft. Fivio Foreign & Playboi Carti - Off The Grid (2021)

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これまでに全世界で1億6000万枚以上のセールスを記録し、アメリカの音楽シーンの発展に貢献してことで与えられるグラミー賞には22回の受賞歴を持つカニエ・ウェスト

2020年にローリングストーン誌が発表する「史上最も偉大なアルバム500」には6枚のアルバムがランクインしており、同誌の「史上最も偉大なソングライター100人」にも選ばれています。

ヒップホップの歴史を語る上で欠かせない存在である彼が、今回ニューアルバム「Donda」(2021)をドロップ。当初は、2020年7月24日に発表予定でしたが幾度も延期を重ね、3度に渡って行われたリスニングパーティー経てようやくリリースに至りました。

またアルバムタイトルの「Donda」は亡き母、ドンダ・C・ウェストへのトリビュートから取ったものです。それを踏まえた上で、ヒップホップやゴスペルを中心としたアルバムで、ダークなトーンとリリックが印象的です。

今回はこの中からファビオ・フォーリンプレイボーイ・カーティがゲスト参加している「Off The Grid」をピックアップ。トラップ系のロービートからうねるようなドリルビートにスイッチするこの曲は、カニエ・ウェストが新たな試みを行なっているように感じます。

ここではアルバム発売までの経緯と、新曲について解説します。

レーベル  : G.O.O.D. Music, Def Jam Recordings
リリース日 : 2021年8月29日
名前    : Kanye West feat. Fivio Foreign & Playboi Carti
年齢    : Kanye West 44歳 Fivio Foreign 31歳 Playboi Carti 24歳

出身地   :    Kanye West イリノイ州シカゴ
        Fivio Foreign ニューヨーク
        Playboi Carti ジョージア州アトランタ

Kanye West feat. Fivio Foreign & Playboi Carti - Off The Grid (2021)

Donda

2019年にTwitterで、プロデューサーのドクター・ドレー「Jesus Is King Part II」というプロジェクトを進めていることを発表。意外にも2人はこれまでコラボレーションしたことがなかったので、多くのファンが期待に胸を膨らませました。その年のクリスマスには、彼のゴスペルアルバム「Jesus Is King」がリリース。しかしドクタードレーがプロデュースした「Up From The Ashes」はオンライン上にリークするも、未だ正式なリリースに至っていません。

Kanye West - Up From The Ashes

前述のプロジェクトは後に「God's Country」と改題され、6月にカニエは自身のファッション会社「Yeezy」と衣料品小売店「Gap」とのコラボレーションを発表しました。カニエはTwitterで「#WestDayEver」というプロモーションキャンペーンを展開し、その中でラッパーのトラヴィス・スコットとのシングル「Wash Us in the Blood」(2020)をリリース。

Kanye West feat. Travis Scott - Wash Us in the Blood (2020)

そして、母親の誕生日である2020年7月12日に、シングルDondaのオリジナルバージョンの一部をTwitterでプレビューしました。その後もカニエはアルバムのトラックリスト、新しいタイトル、発売日をツイートしましたが、数分後にそのツイートを削除しました。これにより、おそらく多くのファンは、アルバムがすぐにリリースされると信じていたことでしょう。

しかし、結局リリースされることはなく、1年後の7月にアトランタでリスニング・パーティーを開催し、Apple Musicで全世界に向けてライブストリーミングを行いました。

その後、シカゴに移動し、計3回のリスニグ・パーティーを開催しましたが、作品がリリースされないことに多くの観客が落胆しました。そして8月29日、突如としてアルバムがドロップされました。

しかしカニエはこのリリースについて次のように語っています。

ユニバーサルは俺の承認無しでアルバムを出して、「JAIL 2 」をアルバムに入れないようにしている

とSNSで公言。これは販売元であるユニバーサルミュージックグループが無断でリリースに踏み切り、ダベイビーとの「Jail, Pt.2」が収録されなかったことを指しています。また彼についてもコメントしています。

俺は弟をアルバムから外さない。彼は公の場で俺に投票すると言った唯一の人物だからね。

これは、ダベイビーカニエに投票すると公言していた2020年の大統領候補のことを指しています。

この曲が収録されなかったのは、ダベイビーのマネージャーがリリース時に彼のバースの処理を終えていなかった為、カニエがリリースにさらに時間をかけようとする可能性があるとみて発表したように思えます。

またリリース当初、ストリーミングサービスで「Jail, Pt.2」は「再生不可」と表示されていましたが、Apple Musicはその後、オリジナルのリリースをこの曲を含むバージョンに変更し、Spotifyも追随しています。

このような裏事情があったにもかかわらず「Donda」は約1億回のストリームを獲得し、Spotifyにおけるアルバムストリームのグローバルデビューとしては史上2番目の規模となりました。
また、オリビア・ロドリゴ「Sour」を超えて、2021年の同サービスの初日の最大ストリーム数の記録を更新しました。
Apple Musicのトップアルバムチャートでは、初日に152カ国で1位を獲得して新記録を樹立し、米国では初日に6,000万ストリームを記録して2021年のストリーミング記録を更新しました。また全米チャートでも1位を獲得し、このアルバムでエミネムの記録に並ぶ、10作連続で首位を獲得する快挙を達成しています。

しかし、これらの記録は5日後に発売されたドレイクのアルバム「CBK」にすぐ塗り替えられてしまいます。) 詳しくは以下の記事をどうぞ。

Off The Grid

この曲は前述したアトランタでのリスニングパーティーで、1曲丸々プレイされましたが、2回目のパーティーではファビオ・フォーリンによるヴァースが加わり、リリースに至っています。
今回はそんな彼のヴァースの一部をご紹介。

Boy, I got on my feet and I made a name
And I made it a necklace, huh
When you from the bottom and you workin' hard
Just to get to the top, then they gotta respect it
If you got a voice, then you gotta project it
If you got a wrong, then you gotta correct it
If you got a name, then you gotta protect it
If you give me shock, then you gotta electric (Woo)
Tryna live a new life, so I got a new plan that I gotta finesse with (Look, yeah)
'Cause they want me to lose, they ain't part of the Woos
I been tryin' so hard not to move reckless

※和訳
俺は自分の足で立ち上がって、名前を作った
そしてそれをネックレスに刻んだ
どん底から這い上がって一生懸命働いて頂点に立つためには
それを尊重しなければならない。
声が出れば、それを発信しなければならない
間違ったことをしていたら、それを正さなければならない
名前を持っているなら、それを守らなければならない
俺にショックを与えるならば、電気を使わなければならない
新しい人生を送ろうとしていたら、新しい計画を立てて、それをうまく利用しないといけない
俺が負けることを望んでいるお前らは、Woos(ギャング)の一員ではない
無茶な動きをしないように必死に努力してきた

まだ若手のように思われがちなファビオ・フォーリンですが、意外にも31歳を迎え、説得力のある成熟したラップを披露しています。ここでは、若いラッパーや業界に興味を持つ少年たちに、自らの教訓を説いているようです。

おわりに

度重なる延期の末、ようやくアルバムがリリースされたカニエ・ウエスト。発売前から行ってきたプロモーションが功を奏し、2021年のベストアルバムの1つになるのではないでしょうか。
このアルバムの発表後すぐに、ドレイクもアルバムをリリースし、二人は何かと比較され、どちらの作品が優れているか、ファンたちの間で議論が巻き起こっているようです。
既にセールスではドレイクに軍牌が上がったようですが、どちらのアルバムがより多くのヒットを飛ばすのか?興味は尽きません。

カニエ
10作目となる全米No.1アルバム、ぜひ聴き倒してみてください!

こちらで紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️

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