![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93503630/rectangle_large_type_2_3fd6a32699263337953da367b7663124.jpeg?width=1200)
平均年齢は53歳!!西海岸のOG達がタッグを組んだアルバム!! MOUNT WESTMORE - SNOOP CUBE 40 $HORT(2022)
西海岸の重鎮であり、アメリカのラップカルチャーに欠かせないSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、Ice Cube(アイス・キューブ)、Too $hort(トゥー・ショート)、E-40がスーパーラップグループMOUNT WESTMORE(マウント・ウエストモア)を結成し、アルバム「SNOOP CUBE 40 $HORT」をドロップしました。
ここでは、このアルバムについて解説します。
レーベル : Def Jam Recordings & MNRK Music Group
リリース日 : 2022年12月9日
名前 : WESTMORE
結成 : 2020年
メンバー : Ice Cube, Too $hort, E-40, Snoop Dogg
彼ら4人の功績とは?
![](https://assets.st-note.com/img/1671267261268-7RsUVboWBh.png?width=1200)
彼らのアルバムに触れる前に、これまでのウエストコーストヒップホップについて簡単におさらいしておきましょう。
西海岸のシーンは、80年代に東海岸ヒップホップの台頭を受けて、ギャングスタラップの先駆者で知られるIce-Tがデビュー、社会現象となったN.A.W.の躍進が、今日の西海岸のラップカルチャーの礎となりました。
90年代に入り、N.A.W.のメンバーであるDr. Dreがアルバム「The Chronic」で1990年代の西海岸サウンドの特徴となるGファンクを誕生させます。
さらに、Dr. Dreの秘蔵っ子スヌープ・ドッグやアイス・キューブ、2Pacなど、現在のラップシーンに欠かすことのできない人物がソロキャリアで成功し、その人気は、東海岸ラップシーンを凌駕することになりました。
また、オークランド出身のトゥー・ショート、E-40は、80年代からベイエリアのラップシーンを牽引し、2000年代にはE-40のシングル「Tell Me When to Go」(2006)が彼ら独自の「ハイフィー」サウンドを全米中に広め、2Pacの死後勢いを失っていたシーンに再び勢いを与えることに成功しました。
グループの結成、アルバムのリリースに至るまで
![](https://assets.st-note.com/img/1671267512060-YsTfX6Hkbh.jpg?width=1200)
2020年、このスーパーラップグループはパンデミックの隔離期間中に意気投合し、グループを結成したとトゥー・ショートは明かしました。
隔離の初期にE-40とIce Cubeから電話がかかってきたんだ『俺たち、アルバムを出すべきだと感じているんだ。俺とお前、E-40、Cube、Snoop Doggだ」ってね。
E-40とToo Shortはベイエリア出身で、Snoop DoggとCubeはLA出身だから、俺たちは西海岸の基盤のようなものだ。
「それはヤバい、やろうぜ」みたいな感じでね。それで、ビートを考え始めたんだ。
この時期に共作できたことで新たなチャンスが生まれ、50曲ほどをレコーディングしたと、トゥー・ショートは続けます。
この年齢でこのようなことをするのはいいタイミングだし、違う形でキャリアを少し伸ばすことができる...
力を合わせた瞬間に、俺らの誰も手にすることができなかった新しいビジネスチャンスが手に入るんだ。
50曲近くレコーディングしたかな。
第一弾は4月にリリースされ、残りもそれに続く予定だよ。
一方、スヌープ・ドッグはグループの立ち上げについて「これは完璧なタイミングなんだ」と明かしています。
西海岸のレジェンドを集めれば、必ず素晴らしいことが起こる。
Cube、40、Short、そして俺は、何年もゲームを走ってきた。
それぞれが本物で新しいアイデアを持ってくるから、これは完璧なタイミングなんだ。
4人が揃うとどうなるかって?それはマジックだ。
2021年10月、スヌープ・ドッグのDef Jamのコンピレーションアルバム「Snoop Dogg Presents Algorithm」のリリースと合わせて、シングル「Big Subwoofer」をリリース。(アルバム未収録)
MOUNT WESTMORE – Big Subwoofer (2021)
2022年6月、この曲を含むデビューアルバム「BAD MFs」をDeath Row Recordsよりリリース。
このアルバムは、ブロックチェーン上のNFTとして独占的にリリースされました。
![](https://assets.st-note.com/img/1671270407379-qTlKp0yWmp.jpg?width=1200)
収録曲について
![](https://assets.st-note.com/img/1671270620712-XwY3VkygKD.png?width=1200)
このアルバムについて、アイス・キューブは1バースずつのレコーディングだったため、苦労することはなかったと語っています。
アルバムに収録される16曲を選ぶのは本当に大変だった。
1人1バースずつしかできなかったんだ。
こんな言葉は使いたくないが、みんなで曲を作るのはちょっと簡単だった。
そんなに難しいことじゃない。
俺たちの時代はアルバム全体を自分で作らなければいけなかった。
30人のフィーチャリングがいるわけでもない。自分だけだったんだ。
「イージー」という言葉を使うが、俺たちは洗練されているから、1バース、16小節に分解すると、簡単にできるように感じる。
でも、3人の獰猛なMCと競争しなければならないから、弱音を吐けば、それが目に見えてしまう。
1バースで済むから楽だけど、やっぱりしっかりやらないとね。
アルバムの2曲目「Motto」は、ハイフィーのパイオニアと言われる名プロデューサーRick Rockがプロデュースし、ベイエリアらしいサウンドに仕上がっています。
MOUNT WESTMORE - Motto
続く4曲目の「Too Big」は、イントロにDr. Dreが参加し、ベイエリア出身の若手注目株P-LOがプロデュースとゲスト参加しています。
MOUNT WESTMORE - Too Big
5曲目の「Activated」は、G-Funkサウンドを全開にした曲で、曲中でのトークボックスがより西海岸らしさを感じさせます。
また、DJ Battlecatがエンジニアを務めており、得意のトークボックスも公にはされていませんが、彼のものかもしれません。
MOUNT WESTMORE - Activated
ヒップホップの年齢差別の現状を語る
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93511428/picture_pc_73c2a376606af2b5a77baaea3b027f3d.gif?width=1200)
西海岸のレジェンドが集結した今作は、Dr. DreやRick Rock、DJ Battlecatなどの名プロデューサーが名を連ね、往年のヒップホップヘッズにはたまらない1枚となりました。
また、このアルバムでアイス・キューブは若い世代のアーティストに模範を示し、ファンを大切にすることの重要性を伝えたかったようで、単にアルバムをリリースするだけでなく、さまざまな側面を持っているようです。
若者が、健全なキャリアを築くために何をすべきかを考えようとしたときの見本になればいいと思っている。
俺たちは自分たちのブランドを持つことで、ファンが最も重要であることを理解することができた。
俺たちはそのようなファンを育て、常識にとらわれないことをすると、彼らは報酬を与えてくれるんだ。
Snoopは、俺たちの中で最も多様なポートフォリオを持っている1人だ。
だから、自分のブランドを守り、ファン層に注意を払い、ファン層を知れば、他のアイデアやその他のことをやっても、応援してくれるようになるという例だね。
彼らは君の映画も見てくれるし、君のスポーツイベントにも行ってくれる。
君がいつも堅実で、1000パーセントの信頼を寄せているから、どんなことでも参加してくれる。
俺らの後に続く人たちの見本になるといいんだけどね。
「若手の見本」を掲げる彼らの平均年齢は53歳のベテランであり、輝かしい功績の裏で年齢差別を受けてきたようです。
トゥー・ショートは、なぜヒップホップだけがあからさまな年齢差別を受けるのかと疑問を呈しています。
OGが若者にラップとか無理だって言うんだ、おじいちゃんやおばあちゃん、パパやママには理解されないからさ。
反対に、若いヤツは年寄りに向かって「お前、邪魔だ、お前の時代は終わったんだ」と言っている。
ここ数年、年齢差別が蔓延しているんだ。
俺たちは、見ての通り、成功例、長命の例を示しているんだ。
これは現実だ。そして事件だ。
これは君にも起こりうることだよ。
グループの1人1人がそうしてきただけでなく、グループとして俺たちは、そのレガシーを引き継いで、次のように言うつもりだ。
俺たちが何歳になったか見てくれ。
俺たちがすでに達成したことを見て、さらに上を目指し、まだキャリアを積んでいるんだ、って言うために。
これはロックンロール、ブルース、ジャズと何ら変わらない。
アーティストたちは、何歳になっても、ずっと続けていた。
息をしていて、まだパフォーマンスができるのであれば、パフォーマンスをする。
じゃあ、なんでヒップホップは自然にそのような敬意を払われていないのか?
MOUNT WESTMOREは、ゲームの上で長いキャリアをトップで過ごし、どこにも衰えを見せない例だ。
30年以上のキャリアを持ち、シーンの発展に大きく貢献してきた彼だからこそ、ベテランを蔑ろにするような誤ったカルチャーが根付かないために、自分たちに何ができるかを模索しているようにも感じられます。
また、西海岸のラップシーンの最重要人物である4人は、それぞれが若い世代の手本であり、彼らの作品はヒップホップカルチャーの未来を導くものであると感じられます。
彼らのラップシーンへの思いが詰まったこのアルバムに、是非触れてみてはいかがでしょうか。
今回紹介した楽曲のDJプロモーション音源はこちら⬇️⬇️⬇️
※ DIGTRACKS.comは、音楽プロモーター、音楽業界に携わるプロフェッショナル(DJなど)専門のデジタル・レコードプールサービスです。
ご利用の際は必ず「ご利用規約」をご確認ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?