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身近なDXコンサル事例紹介セミナー①~OCR・ローコードツールを活用した業務変革の実現に向けた実証事例~

 今年の2月22日に、Y-BASEイベント「身近なDXコンサル事例紹介セミナー」を開催しました。セミナーでは、デジタル技術を活用して課題解決に取り組みたい相談者に対して、Y-BASEの専門スタッフが、相談からDXの実現までをサポートする「DXコンサル」により、課題解決に取り組んだ事例について、企業関係者様へのインタビューを交えて紹介しました。
 こちらの投稿では、下関市長府に本社を置かれる日新運輸工業株式会社様による、OCR・ローコードツールを活用した業務変革の実現に向けた実証の取組について、セミナー内容を踏まえて紹介します。

日新運輸工業様のご紹介

 創業から85年を迎えておられ、「物流業」と「製造業」の2つの面で、永年培われてきた経験やノウハウを活かした様々なサービスをご提供されています。

業務上の課題と解決に向けた取組の概要

協力先の会社からの部品加工における注文フローが、アナログかつ煩雑で、特に製品から数値番号を転記する際にミスが多発しているということが課題となっていました。この課題の解決に向けて、製品に書き込まれた数値をOCRで読み取り、精度確認と比較検証を行いました。実証実験の結果をもとにOCRに加えて、音声入力を用いた業務の効率化などの実証に引き続き取り組まれています。

DXコンサルを受けられた沖永さんに伺いました

(モデレーター)
 どういった経緯でY-BASEをご利用されたのでしょうか。

(沖永さん)
 はい。私は、全社的にDX推進に取り組むため、1年半ほど前に発足したデジタル部に所属しますが、社内からいろいろに取り上げられる相談を通じて、OCRを使ったアプリケーション開発に取り組むことになりました。社内で検討を重ねていましたが、手法や考え方が本当に正しいのかなというような、不安も抱えていました。そのときに、Y-BASEが開設されたという情報を聞きまして、利用させていただきました。

(モデレーター)
 Y-BASEは、施設見学とDXコンサルと2種類の予約方法がありますが、最初からDXコンサルという形で予約されたのでしょうか。

(沖永さん)
 いえ、まずは施設見学のかたちで、トレンドのデジタル技術を見せていただきました。その時に、Y-BASEにはDXについて相談できる機能もあるということを知りましたので、その後、DXコンサルを依頼したという次第です。

(モデレーター)
 ご相談のポイント、OCRを扱ったアプリ作成ですが、具体的にはどんな業務に使おうと考えておられたのでしょうか。

(沖永さん)
 弊社の業務の一部で製品への番号の研磨作業を請け負っています。このため、製品ごとに親会社が付された数値番号を元に、発注書・納品書・請求書を起こす事務が必要ですが、ここで発生するのが、「製品に書かれた数値番号を見て」「紙に転記する」というアナログ作業です。さらに、工場から離れた事務所まで歩いて、事務員に紙を渡して、事務員がパソコンに入力する。これらのアナログで繋ぐ作業の中で人的ミスの可能性が上がってきます。工数としても、付加価値が低いものが増えます。これを解決するのに、OCRが利用できないかと考えました。

 端末に付属したカメラから画像で取り込んで、OCRによる文字変換を介してデータ送信することで、アナログ仕事をショートカットできるし、ミスポテンシャルも減るし、工数も付加価値の高いものに投入できればと考え、Y-BASEに相談へ伺ったんですけど、その際にコンサルスタッフの方から、これはぜひやりましょうというお話をいただいて、具体的に進めていくこととなりました。

(モデレーター)
 コンサルを受けられて、実際にどのような取り組みをされていったのかを教えてください。

(沖永さん)
 OCRって簡単に考えていたんですけど、今回の製品番号の読取対象となる製品が、紙でなく金属で、さらに親会社の手書きということで、今のOCRの技術で、これが判読できるのかなという疑問がありました。そこで、弊社としては、様々なソフトにOCRを繋いでマッチするものを選択したかったので、サンプルアプリを開発するためのコンサルを依頼しました。
 コンサルを経て、アプリは、画像の文字変換だけではなく、カメラ画像も一緒に取り込む仕様にしました。これにより、何か問題があった場合に、現場に行かずとも、写真と変換された文字情報を双方見ながら、チェックが可能になりました。

(モデレーター)
 このサンプルアプリの開発で、現在は、抱えていらっしゃる問題は解決した状況なんでしょうか。

(沖永さん)
 いえ、OCRもパーフェクトではなくて、環境下によっては不利なところがあります。日光の強いとこだと、被写体が金属なのでハレーションを起こしてデータが取れない。他にも、例えば、Zと2のように、書き方次第でどちちにも読めるケースもあります。改善に向けて、音声入力による文字起こしなども今後搭載していきたいと考えています。

(モデレーター)
 継続的に改善にも取り組まれていますが、DXにおいては、なかなか現場の方が新しい技術について行けないとか、そういった声が上がることもよく聞くんですけども、いかがでしょうか。

(沖永さん)
 この件に限らず業務変革を進める時に、抵抗を示す人も少なからずいると思うんですけど、現場に出向いて話をして、便利であることを訴えながら、そこにはデジタルと違った人的なエネルギーを丁寧にかけていって、お互いに信頼関係を築きながら、逆に問題点があれば言ってくださいっていうかたちで改善しながら、信頼を築いて努めていきたいと思っています。

(モデレーター)
 実際に、現場に落とし込んでいくのは、大変かと思いますが、既にトライアルはしていただいてるということでしょうか。

(沖永さん)
 そうですね。今、トライアルをしています。そこで問題を抽出しつつ、改善を図って、DXコンサルで相談するというサイクルを、何回かやってる状況になります。

(モデレーター)
 今はまだ実証段階ということですが、うまくいけば本番導入というところを見据えて取り組んでいらっしゃるということですね。
 相談に来られるときに、何か不安な点などはありましたか。

(沖永さん)
 そうですね。我々自体がDXとは程遠い集団だったんで、こういうところに相談していいのか、ちょっと考えたんですけど飛び込んでみたというところです。自分たちの考えや構想をきちんとお伝えできれば、コンサルタントの方が対応してくださいます。お話しやすく、結構私も無理は言ったんですけど、真剣に捉えてもらって、感謝をしております。

(モデレーター)
 OCR使ったアプリを作るというご相談に対して、コンサルタントは、どのようにお答えをさせていただきましたでしょうか。

(沖永さん)
 まず、OCRのアプリの作り方として、ローコードでアプリを連携していくための支援してもらいました。API連携っていう形を取って、システムをつくるイメージをつかむことができました。以前は、個別にデータベースを作るだけでも結構時間かかってたんですけど、こういうAPIの技術、汎用性のあるアプリを使うことで、簡単にできることを体感しました。
 今後も汎用性の高いアプリケーションを使って、自分たちでも勉強していきながら、いろんな用途に拡張していきたいと考えています。

(モデレーター)
 Y-BASEのDXコンサルは、現地で対応させていただくケースに加え、オンラインでもご対応させていただいてるんですが、実際にはどのようなかたちで進められたんでしょうか。

(沖永さん)
 私としては、一度対面でお会いして、お互いの熱量を感じ合った方が良いなと。この人に仕事頼んでるっていう実感しやすいのもあって、まずは現地でお会いして始めました。実際、その後の仕事がやりやすかったので、最初は現地に行くことをおすすめします。

(モデレーター)
 多分、それはコンサルタントも感じるところだと思います(笑)。
 では、今後の展開をどのように考えておられるか、教えていただけますでしょうか。

(沖永さん)
 ここまで、OCRで外注する製品情報を取り込むっていう話をしましたが、外注から戻ってきた製品も再登録しますと、INとOUTの数量がデータ的に出てくるので、現在は、外注先の在庫状況などをBI的に可視化する環境も作成しています。まだ十分なデータがないんですけど、こういうデータを積み重なっていくと、顧客企業への納品時期も統計的に見えるので、将来的には、AIを活用した取組にも発展できればと考えています。

(モデレーター)
 このデータがたまって業務がうまく回り始めた時には、また次のステップのコンサルなどもさせていただければと思います。
では、DXコンサルを通じて得られたことについて、一言いただけますか。

(沖永さん)
 弊社では、私含めて他業種の人と触れ合う機会がなかなか少ないので、DXコンサルを通して、かなり刺激を受けました。Y-BASEでは、デザインシンキングの研修のご案内もいただいて参加しまして、何かをゼロベースから取り組んだり、問題が発生したときの解決方法などのハウツーなども学びました。いろいろなイベントもあるので、社内の若い人が参加して、新しいものに触れる場所としても活用したいと思います。

(モデレーター)
 やはりDXの取り組みを通じて、業務そのものを深く理解をしていくというところと、新しい技術を知って、何かうまく取り入れることを考えるのは、トレーニングにもなる部分もありますので、ぜひ、いろんなメンバーの方と一緒にお越しいただければなと思っております。
 本日は、貴重なお話しをありがとうございました。

終わりに

 いかがでしたでしょうか。ここまで、Y-BASEのDXコンサル事例の一例をご紹介させていただきました。Y-BASEには、日々、様々なご相談が寄せられており、お客様に対して最適な解決アイディアを提案しています。この他にも多様な事例をHPで公開していますので、どうぞご覧ください。
 Y-BASEでは、今後も、山口県内の地域の皆様が抱える困りごとや課題に対して、デジタルの力を活用して、一つでも多くの解決に貢献できるようサポートしてまいります。

<インタビューの内容はYouTubeでもご覧いただけます>