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デジタルを活用して地球を愛す~山口県における持続可能な環境美化システムの構築~

デジテック for YAMAGUCHI の「中の人」、ハラマルです。(この表現、最近覚えましたが使い方合っていますか?)

今回は、山口県庁の方に、
「ハラマルさん、最近、内に籠ってって、note更新が滞っているそうですね。体を動かすイベントがあるんで行ってみませんか?」
と紹介していただいたダイエットイベントに参加してきましたので、そのレポートをしたいと思います!


イベントの概要

紹介いただいたイベントは、徳山駅前周辺のごみ拾いということで、こちらにイベント案内が掲載されていました。

おや…?ごみ拾いって聞いたけれど、「デジタル実装」とか「実証実験」って書いていますね?どういうことでしょうか?
読んでみると、山口県が地域課題の解決のためにデジタル実装をしようとしていて、今回の取組が実証実験ということのようですが、いや、情報量が多い!多い!中学生にも分かるように教えてよ、ChatGPT先生~。

取組内容
周南市では路上や中山間地域へのポイ捨てゴミや不法投棄ゴミが問題となっています。この問題解決策として、車両に設置されたスマートフォンカメラで路上ゴミなどの画像データを収集し、AI技術で分析します。これによりゴミ分布状況が可視化され、対策が効率的に行われます。また一斉清掃など市民活動も見える化し啓発活動も行うことで住民満足度向上と更なる活動促進も目指します。

生成AIによる上記HPの要約

実証内容
1. 地域の環境美化・清掃活動を効率化するためにごみを検出した区域内でのごみ拾い活動がどれだけ効果的か実証する。
2. イベント参加者には事前にごみを検出した区域の情報を地図で提供する。
3. 参加者はごみ拾い後、「ごみ拾いSNS「ピリカ」」に当日の状況を投稿する。
4. 投稿内容からデータを収集・分析し、実装に向けた改善策を考える。

生成AIによる上記HPの要約

なるほど、なんとなく理解できましたよ!
ダイエットとしてではなくて、AIを活用したごみの可視化とその対策に関する実証実験という、新しいデジタル技術活用ということで、私に紹介してくれていたようです。

ごみの可視化サイト

さて、ダイエットじゃないことが分かったら、俄然、参加する気が出てきましたよ。
が、イベントに参加する前に、2つほど気になったことがあります。
まずは、取組内容の要約に出てきた、「車両に設置したスマホでごみの画像を収集し、AIで分析し、可視化」というものです。

これについては、冒頭のHPにリンクが掲載されていた「しゅうなんクリーンアップ!」というwebサイトに、既に可視化された状態で掲載されているではありませんか!

https://shunan.city.pirika.org/

お~っ、これが、路上ごみの状況ということです。
説明によると、「中特グループを始めとした業務走行中の車両に設置しているスマホのカメラで、路上のポイ捨てごみ等の画像データを収集し」とあります。
中特グループさんは、「生活環境革命で人々を幸せにする」を経営理念(使命)に掲げる企業さんですが、この御協力のもと、業務用車両にスマホを設置し、業務中の車両運行中に撮影することで、周南市内のデータを収集されているそうです。

マップを見てみると、下松市辺りに、赤色に近いごみが多い地域があるようですね。それから、周南市鹿野地域にもオレンジ色がありますね。
もうちょっと寄って、メッシュサイズも小さくしてみましょう。

下松市方面にズーム

こうしてみると、ごみのポイ捨てって聞くと、勝手に国道2号線とか交通量がメチャクチャ多い路線を想像していたのですが、必ずしもそうではないようですね。

行政内部の状況を良く知らないので、あんまり勝手に言うわけにはいきませんが、もし、行政職員の方が「ごみの量は交通量に比例するだろう」という私と同じ安直な考え(勘違い)でいたら、少し的外れな対策をしていた可能性がありますね。
こうやってデータでみると、考えるべき対策が変わってくるかと思います。データって本当に大事ですね!

ごみ拾いSNS「ピリカ」

次に、おそらく、これを読んでいる皆さんも気になっているかと思いますが、「ごみ拾いSNS『ピリカ』」です。
先ほどの「しゅうなんクリーンアップ」のサイトに次のような画面がありました。このことでしょうかね?

https://shunan.city.pirika.org/

アプリ「ごみ拾いSNS『ピリカ』」があるようなので、これをインストールしてみましょうか。

このアプリ、世界規模で使われているようで、実際、アカウント作成後に確認できるマップを見ると、なんと、126か国で3億3千万個以上のごみが拾われているそうです!すごい規模感!!

ごみ拾いSNS「ピリカ」画面のスクショ

アプリインストール後は、アカウントを作成して、事前の準備は完了です。

はい、私のアカウントはこんなカンジでできました。
「ありがとう総数」とかありますね。ごみ拾いSNS「ピリカ」を通じて感謝の気持ちを伝えあうような機能でしょうか。もらえると嬉しいでしょうね。楽しみです。

この画面を見ると、グループやイベントに参加して、ごみを拾って、そういう活動をお互いが褒め合ったり、バッジが獲得できたりして、モチベーションを高く、活動を促進していくというプラットフォームのようですね。

イベントの様子

それでは、2023年12月16日(土曜日)に開催されたイベントの様子です。

まず、ごみ拾いイベントなんだから、排気ガス出して自家用車で現地に行くのもどうか?ということで、電車で徳山駅に行ってみました。
ちょうど時間の合う便がなかったので、少し早めに着いたのですが、徳山駅にはキレイな図書館があります。この日も既に営業中。

周南市立駅前図書館

駅前もこんなにキレイです。

徳山駅周辺の様子

これは、街をキレイにしないと!と、気合が入りますね。
私みたいな単純な人間にとっては、「ごみ拾いイベントに参加する」ということだけで、イベント開始前から(笑)意識が変わります。これはものすごい効果だと思います。

現地に集まると、驚くほど多くの参加者がいらっしゃいます。
説明によると、中学生(部活かな?)や大学生、地元企業、住民の方が参加されているということ。なんと、当日は450人も集まったそうです。すごいイベントなんですね~!

現地参加者の様子(写真を撮るお断りをしていなかったので、一応、お顔が分からないような加工をしています)

開会式では、事務局の方から、今回の実証実験の説明もありました。
それでは、私も、インストールしたアプリ(ごみ拾いSNS「ピリカ」)で参加を宣言して、ごみ拾い開始です。

ごみ拾いSNS「ピリカ」で参加を宣言

さて、一般参加者に割り当てられたのは、「青空公園」です。
多くの方がいらっしゃったので、散らばって作業に移ります。
パッと見たところ、主なごみは、落ち葉が多いようです(これをごみと定義するかどうかは意見が分かれるかもしれません)
その他、たばこのポイ捨てや、プラスチック系の何かの一部みたいなごみが見当たります。
・・・一応、写真は撮ったのですが、見ても気持ちいいものではないですので、掲載するのはやめておきましょうね。

作業に入ると、中腰の作業が多く、開始序盤に足腰が悲鳴をあげてきましたが、「お疲れ様です」とか声を掛け合ったり、近くで作業されている方がいらっしゃったりで、ついつい頑張ってしまいます。
あ、落ち葉は、竹ぼうきで集めているグループが多いですね。なるほど。さすが地元の方は良く分かっていらっしゃる。

いや、そうなんですよね。このイベントに来るに当たって、ごみ袋と手袋などは持参と聞いていたのですが、何をどれくらい持って行ったらいいんだろうと悩んだんですよね。
そういうことが、事前にアプリ(SNS)でやり取りとかできたら安心して参加できるようになるかもしれませんね。
かといって、それを知っていたとしても、竹ぼうき持って電車乗るのは辛かったですけど…(笑)。

おや、スタッフの方が、「予定より早くキレイになったので、そろそろ終わりにしましょう」と声を掛けてくれました。
確かに、私が作業している範囲以外も、見渡す限り、キレイになっていますね。お~、疲れた~。
私の持ち場で回収したごみは、45リットルのゴミ袋の7~8割程度といったところでしょうか。いや~、一定の達成感がありますね。

ハラマルがイベントで集めたごみ

写真を撮って、さっそくごみ拾いSNS「ピリカ」に投稿・報告しておきましょう

投稿した様子

はい、青空公園、ピッカピカです。(他の方の頑張りによるものです。)

ごみ拾い後の青空公園の様子

ごみを集積スペースに持って行くと、参加者へのアンケートがされていました。地域美化に貢献したことを「とても実感した」という方がとっても多いですね!

青空公園でのアンケートの様子

さて、イベントとしてはこれで終了なのですが、開会前に集まっていた多くの参加者は、あちこちの会場で散らばって活動されています。その結果はどうなったんでしょうね?
・・・というのが、従来のイベントの限界だったと思います!

イベントの実施側とすれば、「皆さん集まってください、キレイにしましょう。」で、街がキレイになれば目的が達成されているんでしょう。
参加者側とすれば、ごみを拾った結果、見える範囲がキレイになりました、ごみが〇袋集まりましたというので、一定の達成感や満足度はあります
でも、他のエリアはどうなん?とか、ここが一番汚れていたんだろうか?とか、拾った後にまた汚れていないよね?とか、まだごみが残っているなら次の機会にまたやろうか?とか、いろいろ気になりますよね。

今までだったら、それは自分の目で見るしかなかったんですが、ごみの可視化が実現すれば、そうした疑問に答えてもらえますし、自分たちの活動がどんな成果があったのか分かって、次の対策やモチベーションにもつながります
そういう意味で、大きな可能性を秘めた技術だな~ということを実感しました。

そして、そういえば、ごみ拾いSNS「ピリカ」の方はどうなったかな?と見てみると、何と、丸一日で、50件以上の感謝の声と、3件のコメントをいただいていました!これはとってもうれしいですね。Xとかnoteよりも反響が大きいじゃないですか!?
このごみ拾いSNS「ピリカ」と可視化がセットになることで、地域美化システムがうまく回っていくように思います!

ごみ拾いSNS「ピリカ」に寄せられた感謝の声とコメント

今後の展開

今回の実証実験では、「車載スマホによる路上ごみのデータ収集技術(可視化・分析)」と、「ごみ拾いSNS『ピリカ』」と、この2つの技術を組み合わせ、官民が協力して地域において持続的に活動が続けられるようなビジネスモデルを創り上げることが目標だということです。

以下は、ごみ拾いイベント前日の状況ですが、イベントによってどのような変化があるのかを見たり、データを精緻化していくためにどのような展開が必要かを検討したり、行動変容を促すためにどうしていくのかを試したり、そういうことを実証しているそうです。

ごみ拾いイベント前日の様子

確かに、データの可視化、ごみ拾いSNS「ピリカ」と、それぞれのサービスがあるものの、それだけでは、データをうまく活用できる有志の活動にとどまってしまい、社会変革までつなげていくことは困難ですね。

自治体・企業・住民が負担を少しづつ分かち合いながら、多くの方々を巻き込んだ清掃活動が、「しゅうなんクリーンアップ!」を基に、効率よく、自発的な取組が継続しやすいかたちになることを目指していただきたいです。
実現したら、「山口モデル」と呼べるような、全く新しい地域活動のモデルになると思います。

地球を愛したい、環境を大切にしたい、自分たちの地域をキレイにしたい、規模感は違えど、皆さん、思っている方向性は同じだと思います。
そうした思いをつなぎ、一つの力にしていく、そんな素敵なデジタル技術活用の場面に出会いました。

皆さんも、是非、一度、御体感ください。きっと、素晴らしい体験になると思います。

最後に、もし、竹ぼうきを持って電車に乗っている方を見かけた場合は、きっと、こういった清掃活動に参加される方だと思いますので、応援してあげてください!


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