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さようならMacアドレス、こんにちはSSID。

2020年、突然のウィルスのパンデミックとまさかのインバウンドの蒸発。追い打ちをかけるようなMacアドレスのランダム化...正直凹みました。しかしながら、そのような状況下でイノベーティブな出来事は起きるようです。いや、実際に起こりました。

SSIDをもう一度よく考えてみた

SSIDとはWi-Fiのアクセスポイントに付与された名前です。最近はカフェなどに行くとフリーWi-FiのSSIDが掲示されてるのをよく目にするようになりました。

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Oxyzenではかれこれ6年近くSSIDをベースとして訪日外国人の分析サービスを行ってきました。観光地などにWi-Fiセンサーを置くだけで「中国人35%、韓国人26%...」などを把握できるサービスです。

普段はSSIDについて想いを馳せることも少ないかと思いますが、パンデミック下のルノアールで、ソーシャルディスタンスを保ちながら社員とあれこれ話していた時に、あることに気が付きました。

SSIDは2種類ある

よくよく考えてみるとSSIDは例えば”Oxyzen_guest”のような、見れば意味のわかるSSID(この場合は「Oxyzen社オフィスのゲスト用のSSID」だな)と、例えば"AP-4DC9BF"のような意味不明なSSIDに大きく2種類に分けることができます。前者は企業や店舗などが「見れば何のアクセスポイントのSSIDなのか把握できるように」名付けたSSIDであり、後者は「市販のアクセスポイントの初期値のSSIDのように名前自体に特に意味がない」SSIDです。

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実際のSSIDの分布を調べてみると、実は見れば意味がわかるSSIDは全体の1割未満のことが多く、9割超のほとんどは意味不明なSSIDでした。つまりロングテール分布の極一部が見れば意味がわかるSSIDでありOxyzenではこのSSIDについてタグ付けを行うことでDigital東京のサービスを実現していますが、残りの9割超の意味不明なSSIDはゴミだと考えていて、やたら負荷がかかるだけなので近いうちデータベースから消そうと思っていました

ゴミがダイヤモンドに変わるとき

さらに考えてみると、意味不明なゴミSSIDは例えば家のアクセスポイントのSSIDだったり、ポケットWi-FiのSSIDだったりするわけです。それらの大半はその家の家族やごく限られた人だけでシェアされています。そうです、もしかしたらSSIDがMacアドレスに代わる端末特定の手段になるかも?とひらめきました。

複数の人のスマートフォンに同じSSIDの接続履歴があれば厳密には端末の特定までには至りません。しかしながら、その意味不明なSSIDの時刻的な近傍に、例えばいつも会社のSSIDが出現したら...つまり、複数のSSIDをグループ(指紋、フィンガープリント)として捉えたらどうでしょうか?

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そして、抽出したSSIDフィンガープリントにユニークなID(Oxyzen ID)を付与します。つまり、スマートフォンごとにユニークであったMacアドレスの代替としてOxyzen IDを用いることができるのです。実は、この方法はPCR検査と似ています。PCR検査では特徴的なDNAの塩基配列群を検索しますが、Oxyzen IDでは特徴的なSSIDの配列群を検索します。

SSIDのみを利用した分析例

実際にOxyzen IDを生成してSSIDだけを利用して各種の分析をしてみました。上段の青い折れ線グラフが従来のMacアドレスを使ったカウント数で、下段の赤いのがOxyzen IDを使ったカウント数です(日次でユニーク)。母数は約1/7となっていますが、傾向は酷似していることがわかります。

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また、上段がMacアドレスベース、下段がSSIDベースの移動分析と平日/週末の分析ですが、こちらも傾向や数値も大変近く、SSIDのみを用いてもMacアドレスと同様の分析ができることが分かります

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Oxyzen IDを利用すると何ができるのか?

上のグラフのように、Oxyzen IDを使うとMacアドレスを使用せずとも、ある程度の精度を持った、ファネル、移動、リピートなどの各種分析が可能です。

スマートフォンのアプリのIDとOxyzen IDを紐付けることで、来店を検知したり、SSIDの属性分析の結果からペルソナを導いたりすることも可能です。

また、ある志向を持ったコホート(集団)に対してスマートフォンやデジタルサイネージを介して広告やメッセージを配信することもできます。例えば車メーカーH社が車メーカーT社を所有している人々に広告を打つ...なんてことが可能となります。

2020年2月7日にこの技術の特許が権利化されました

Digital東京

Oxyzen株式会社

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