ワーカーに期待するパフォーマンス
個別説明会で色々な人の話を聞く中で、「未経験の自分にもできそうだと思った」と人気が高いのがデータ入力です。デジKAMAでは、よくクラウドソーシングのサイトで見かける「1件xx円」という単価でのお支払いではなく、パートに近い時給でのお支払いをします。業務委託(準委任)ゆえ、雇用のような手厚い福利厚生はありませんが。
たとえば「月曜、水曜、金曜の10~12時に2時間稼働する」と決めて契約を締結されたなら、体調不良や用事で休まない限り、その時間をデジKAMAからお願いする仕事に全振りします。作業の性質上、待ち時間(アイドル状態)はほとんどなく、能動的に手を動かす時間(アクティブ状態)となります。
この記事では、「データ入力を仕事として継続的に受注できるよう挑戦する」という人にとってもデジKAMAでの働き方が想像しやすいよう説明します。
依頼は消化できる量で来る
終わったら「おかわり」を
デジKAMAでは、データ入力に限らずどの業務でも、「100行だったら2時間くらいで終わらせられそう」とか「10分間の音声文字起こしができたところで小休憩を入れよう」という数値的な目安を設け、無理のないペース配分ができるように依頼をしています。理由は、終わりの見えない大量のタスクを課されると、人はやる気と自信を失うからです。
最初に依頼した分のタスクが終わったら、Slackで連絡してもらっています。各ワーカーが稼働時間いっぱい働けるよう、次の依頼が控えているのです。ワーカーから「まだまだいけます、おかわりください」、スタッフから「喜んで~!」と、お茶目なやり取りをすることもあります。お茶碗に盛られたごはんの絵や「おかわり」の文字でできたSlackスタンプもあり、冗談も言える(書ける)雰囲気です。
真面目な人や集中を切らしたくない人もいますが、節目で雑談をする、小休憩を入れてもらうことで、場所が離れていても心の通うコミュニケーションをすることができると感じています。
限りある時間で最善を尽くす
稼働開始したばかりのワーカーだと、割り当てられたタスクについて「今日のノルマ」と表現する人がたまにいますが、正確ではありません。最初に書いたとおり、スタッフからは消化できる量を依頼し、終わった時点でその後も同じ作業を続けられそうか、別の作業に変えたほうがよいのか、はたまた仕事を切り上げてもらったほうがよいのか、と見極めをしているのです。たとえば「最初の1時間で100件終わったし、スタッフから何も言われないから、あとは1時間何もせずに待っていれば終了時刻になる」という待ちの姿勢は、いくらスキルが高くても誠実ではなく、契約を更新できない人になります。
反対に、終了時刻になったら、残りがあっても日報をつけて終了してもらいます。調子に乗ってきて名残惜しくても、残業してまで終える必要はないのです。ワーカーの稼働時間に合わせて人員配置や工程管理をしているので、スタッフはシフトで休憩を取ったり、別のワーカーに引き継いでもらうため作業の再割り当てをしたりします。
特に在宅ワーカーは稼働時間外に作業できてしまう環境にいますから、つい気になって見に行ってしまうという人がいました。しかし、発注企業への納品に向けて検品・最終調整をしていたりする中、その時間帯にいるはずのないワーカーがシートを開いている、下手するとこちらの意図しない変更が加わっていくのは怖いです。
もっとやりたいという気持ち自体は大変ありがたいのです。けれども丁重にお断りし、次の稼働日になったらまた元気に働けるよう体調を整えてほしいとお願いしています。
パフォーマンスの測り方
たとえば情報収集・データ入力の場合であれば、埋められたスプレッドシートの行数を数えます。同じ案件でも、2時間で80件できる日もあれば、120件できる日もあります。「このくらいでできるはず」という目安があり、大幅に下回らなければ許容範囲です。
こちらは、各ワーカーがいつも記入している日報の記載例です。
初めての作業だと、指示書を読み込む時間があるので、実際に着手できるまで少しかかります(上の例でも10~12時に稼働したとして2時間分の業務委託料をお支払いします)。たとえばNo.100「●●社 企業リスト作成」では、1月10日は10時15分から開始していますが、2日目となる1月12日は10時3分から開始できています。しかも、120件も入力できていますね。
1月10日 80件に104分を要した=10分で8件弱
1月12日 120件に115分を要した=10分で10件強
と、単純に比較すると2日目のほうが速くなっているようです。
しかし、作業に慣れて来たはずの3日目、2日目よりも作業時間は長かったのに、件数が少なくなりました。
1月15日 100件に118分を要した=10分で約8.5件
日報で見て取れる作業件数の変動
日を追うごとに件数が右肩上がりになるということは決してないし、いつもより数字が少なくても落ち込むことはありません。
今回の例は、指示書の通りインターネット上の情報を元に自分で取りに行き、転記する作業です。生産ラインのベルトコンベヤーのように均質なものが一定の速度で流れて来るイメージがあるなら、インターネット上の情報についてはそうではないと考えを改めていただく必要があります。
その時間帯はネットワークのレスポンスが悪かった(インターネット回線が遅かった、サーバーに負荷が集中していたなど)
情報を取りに行った先のWebサイトのナビゲーションが複雑で、ダウンロードするファイルに辿り着くのに時間がかかった
さらに、ダウンロードできたファイルがPDFやExcelではなく画像で、コピペして効率良く転記できるものではなかった
これらの状況についてスタッフにSlackで質問や報告をすることになり、作業シートから離れるタイミングがあった
など、あらゆる変動要因があります。同程度の能力・同じ作業環境のワーカー間でも差が出たとき、全体が見えているスタッフ側では「たまたま引き(割り当て箇所)が悪かった」と話し合うこともあります。ですから、ワーカーも他の人に比べて自分がどうかを気にするのではなく、いかに自分が気持ち良く働けるかを探っていってもらおうと接しています。
体調もパフォーマンスに影響する
日報の別のタブには、精神面、身体面、睡眠と健康状態についての回答欄もあります。蓄積されたデータを元に、ワーカーが自らの仕事ぶりを客観的に振り返ることができます。「この時期はデジKAMAで仕事をし始めたばかりで緊張していて、朝ちゃんと起きられるかどうか心配であまり眠れていなかったな」、「慣れて来て逆にリラックスしちゃったのかな」など、普段なかなか時間を取って内省することがない人にとっては絶好の機会となります。また、一言感想を添えれば、後から見返したときに当時の様子をより鮮明に思い出すことができます。
日報は個人の日記ではなく、仕事の書類の一つです。スタッフは、依頼業務内容が合っていたかの振り返り、新たな業務を割り当てるかの検討時、そしてワーカーから面談を依頼されたときに参考にします。また、匿名化したうえ、健康とパフォーマンスの相関があるかどうかを産業医科大学の先生方と共同研究しています。
バランス感覚
情報収集は、完璧主義のワーカーとの相性が良くないこともあります。指示書の通りに作業しても出て来ない情報があるのですが、絶対にあるはずだ!とくまなく探そうとされるのです。でも、かけた時間に対する収穫が少なかったら悔しいですね。ですから、xx分かけて見つからなければ諦めて申し送りをし、次に行くようお伝えしています。他のワーカーやスタッフがチェックして見つかれば結果オーライですし、誰がどうしたって見つけられないことだってこの情報の海ではあり得ます。そもそも存在するのだかわかりもしない情報を確実に見つけ出すように、なんて無茶振りはしません。いかに時間と気持ちに折り合いをつけて効率良く数をこなしていくかのバランス感覚が必要なのです。
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