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新卒が直撃vol.2_元ISS管制官 社員が語る"宇宙の魅力"

はじめまして、デジタルブラストに2022新卒として入社した尾形です。

新卒直撃インタビュー第2回の今回は「宇宙の魅力」というテーマで元ISS管制官・弊社新規事業推進グループマネージャーの森徹にお話を伺いしました。

ー経歴について
初めに森さんのご経歴についてお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか?
はい、大学では生物を専攻していたのですが、大学時代宇宙に興味を持って大学院では環境工学に専攻を移し、宇宙関係の会社に就職しました。国際宇宙ステーション(ISS)に含まれる日本のモジュール「きぼう」が打ち上がったのが2008年なのですが、私はその準備段階から、きぼうの運用の仕組みづくりや、宇宙飛行士の訓練インストラクターとして携わっていました。それと並行して、きぼうが実際に稼働する際に必要となる地上管制官の養成を行い、稼働後は私自身が管制官として利用運用の取りまとめを行いました。その後は裏方に回り、プランニングの調整や、アジアで唯一のISSモジュールであるきぼうをアジア各国に活用してもらえるよう、事業推進活動を行っていました。

ーなるほど、大学で生物を専攻されていたというのは少し意外でした。
そうなんですよ。高校のときは宇宙か遺伝子をやりたいと思っていたんです。

ー宇宙に興味を持ったきっかけ
では、宇宙に対して初めて興味を持ったのはいつ頃だったのでしょう?
自分は遅かったですね。子供の頃から宇宙にあこがれているような方も沢山いると思いますが、自分は高校生のとき、当時スティーブンホーキング博士の宇宙論というものが流行った時期がありまして、理学的な観点から「宇宙って面白そうだな」と思ったのがきっかけでした。

ーそうだったんですね、具体的には宇宙のどのようなところに惹かれたのでしょうか?
本当に月並みな話なんですが、「ブラックホールって何なんだろう」とか、双子の一人が宇宙に行って帰ってくると年の重ね方が違ってくる、いわゆる双子のパラドックスが「すごく不思議だな」とか、そのようなところでしょうか。ただ、その時は漠然と宇宙って面白いなとは思っていたのですが、現実にある仕事と関わったり、現実に何かができるものだとは思ってなかったんですよね。

ー自分たちの手の届かないところにあるようなイメージでしょうか?
そうですね、それが変わったのが宇宙開発事業団(NASDA)のサマースクールに参加したときだったんですね。

ー宇宙開発に興味を持ったきっかけ
今のお話とも関連すると思いますが、理学的な関心から開発の方に関心が向いたきっかけは何があったのでしょうか?
初めこそ理学的な興味だったのですが、学生時代に今のJAXA、当時のNASDAが学生を募集してサマースクールというものを開いていたんです。それに参加した中で毛利宇宙飛行士にお会いしたり、当時向井宇宙飛行士のニュースを見たりしたことで、そこからは宇宙飛行士や有人での宇宙開発の方向に興味が一気にシフトして、それらの仕事につきたいと思うようになりました。

ー実際に管制官などのお仕事を経験されてみて、理学的視点とは違った宇宙の魅力を感じることなどはありましたか?
そうですね、ISS固有の話かもしれませんが、国境を越えたチームワークっていうのが1つの魅力だと思います。
というのは、先ほど出てきた宇宙飛行士も含めて、ISSのミッションって1人では何もできないんです。宇宙飛行士も地上のサポートがなければなにもできないし、地上の人間も宇宙飛行士の助けなしに宇宙でフィジカルな操作をすることができない。地上でもJAXAがいてNASAがいて、それぞれの役割を果たしていかないと何一つミッションを果たせないという世界なんです。なので、そのチームプレイというものが一つの魅力だと思います。

ー宇宙開発と聞くと最先端の技術などが活用されているイメージですが、そういった技術開発という意味でも国際協力が重要となってくるのでしょうか?
技術という面で最先端かと言われるとそういう訳でもないのですが、国際協力やコミュニケーション力といった面では最先端な気がします。
ISSというのはすごくミッションオリエンテッドな側面があって、個人のやりたいことは二の次と言ってしまうと聞こえが悪いのですが、「ミッションをなんとか成功させる」という方向にみんなが向いてるんです。
なので、ミッションに向けて宇宙飛行士も極限環境に置かれているし、それを地上でサポートしている地上管制官もすごいストレス状況下に置かれるんです。そういった極限状態でのコミュニケーション、的確なコミュニケーションとチームワークというものが一番味噌と言いますか、辛いところでもあり面白いところでもあると思います。

ーすごい緊張感のある作業になると思いますが、その分ミッションを成し遂げた時の達成感も大きそうですね。
そうですね、ミッションの達成感というものも大きいですし、無いに越したことはない話になってはしまうのですが、ミッションが失敗しそうになった時に、それでもチーム一丸となって何とか成功に繋げたときは喜びも一入でしたね。

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ーデジタルブラストに関心を持ったきっかけ
そこから宇宙ビジネス、デジタルブラストに関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
まず有人での宇宙開発というものにはもちろん興味があったのですが、ただ昔から思っていたこととして、「宇宙というものが僕らの日常生活における選択肢の一つになればいいな」というものがあったんです。
例えば、現実の選択肢になった例として宇宙でのCM撮影というものがあると思うのですが、ISSが上がるまではCMを撮ろうと思ったときに宇宙なんて言う発想がそもそもなかったと思うんです。
しかし今はそれが一つの選択肢になっている。さらに、宇宙旅行も今はお金を払えば行ける時代になっている。それがもっともっと身近になって、何かをしたいなと思ったときの選択肢として宇宙が出てくるようになるといいなと思っています。
そういう意味では民間企業への関心というのは、管制官をやっているときからありました。今、世界ではISSを含めた地球低軌道(LEO)の民間利用化の流れが加速していて、そんな中で日本にもLEOの民間利用を狙っている会社がデジタルブラストを含めていくつかあるのですが、そういった中で宇宙を身近に、選択肢の一つにするようなことができたらいいなと思っています。その中でもデジタルブラストの決め手となったのは、やはり植物プラットフォームですね。ああいった実験装置を自社で開発して自社で実験をやろうとしているのは多分国内では殆ど無いと思います。もちろん自社でカメラ等の機器を打ち上げるといったことをしているところはあると思うのですが、月などを見据えて実験装置を自社開発するというのはここだけだと思っていて、そこにとても惹かれました。

ーなるほど、民間利用に関してはかなり早い段階から関心があったんですね。そうですね、きぼうが打ち上るころには考えていましたね。

ーでは宇宙ビジネスに携わるようになって、今までとは違った宇宙への魅力を感じることなどはありましたか?
多分根本的なところは何も変わっていないと思っていて、やはり宇宙への魅力についていくら言葉を並び立てて理屈づけても多分それは違って、宇宙っていうものそのものに心を動かされているんです。なので、ビジネスとしてやっていくっていうアプローチの仕方は今までとは変わっているけれど、わくわく感っていうのは多分根っこのところで変わらないのかなと思います。

ー初めてホーキングの宇宙論に触れたときから、根本的に感じている魅力というのは一貫しているということですね。
そうですね。

ーお話を伺っていると、宇宙というものをより手の届くものにしていきたいというアプローチにだんだんと移ってきているような気がしますね。
そうですね、手の届くところに…
自分の発想としては、JAXAさんなどが宇宙でやってきたことをそのまま民間でやっていくという流れももちろんあるのですが、多分それだけではなくて、民間の多くの人にとって宇宙というものが選択肢の一つ、いわば常識の中に取り込まれたときに新たなイノベーションが生まれると思っているんです。僕らの世代にとって宇宙というものはあこがれでしかなかったので、やはりその先という発想というものはなかなか出てこないのですが、宇宙ネイティブ世代になれば宇宙ありきでもってそこから生まれてくる発想があると思うんです。ですから、一番期待しているところは実はそこなんです。

ー今後の宇宙開発について
少しお話にも上がりましたが、今後の宇宙開発はどのように進んでいくとお考えですか?
月並みな話になるのですが、僕らが今思い描いている宇宙の未来予想というのは多分10年20年のうちに現実になると思うんです。
なので、やはり宇宙というものが特別なものではなくなる、これは多分間違いないと思っています。その宇宙という言葉自体に価値がある時代では今後なくなり、ISSだけではなく、民間でも宇宙に建造物を作る、そこに人が行って何かをするということが多分普通の世界がくる。その宇宙の建築物には職業宇宙飛行士ではなく、そこに常駐してメンテナンスをするような技術者などの人がいる、そういう世界になると思っています。
それと、月に関しては正直なところいろいろなハードルがあるとは思うのですが、やはり目指すところとしては20年後30年後の目標としてあり続ける気がします。ただ、一定数の人間が地球を出て民間宇宙ステーションで仕事をする、いずれは月でも一定数の人間が仕事をする。そんな風に地球外に生活圏ができるという未来は、多分間違いなく訪れるかなと感じています。

ー先ほど話されていた、宇宙というものが選択肢として広がればいろんなアイディアが生まれて、宇宙で仕事をする人、そこで生活をする人も出てくるだろうということでしょうか。
そうですね。宇宙の有人プラットフォームが今はISSしかないけれど、いくつもの宇宙ステーションができたり、プラットフォームとしてもっと広がりを見せると思いますね。

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ー就活生に向けて
最後に就活生に向けてメッセージなどあればお願いします。
今まで宇宙に興味を持っていた人も持っていなかった人も、宇宙業界に入って実際に宇宙開発や宇宙ビジネスに触れてみると、もちろん人には寄ると思いますが、わくわく感みたいなものが自分の中で芽生えると思います。
この宇宙のわくわく感というのは、いうなれば子供心のわくわく感に近いものであって、現実のビジネスの中ではなかなか味わえない楽しさだと思います。
なので是非、宇宙業界に少しでも興味を持ってくれたら、実際に足を踏み入れてこの純粋に子供心で楽しいと思える感覚を味わってほしいなと思います。

宇宙開発において幅広く活躍されている森さんですが、根底にある宇宙へのわくわく感は誰しも共感できる気持でもありとても親近感がわきました。今回伺った未来の宇宙像も非常に壮大で大変興味深かったです。ただ、きぼうの立ち上げなどに携わっていらっしゃった森さんだからこそ、今回のお話も単なる夢物語ではなく将来本当に実現するのだろうという説得力もあると感じました。
今後宇宙ビジネスに携わっていく一員として、自分の仕事もこのような未来に向けての歩みの一部なのだと考えると非常に楽しみだと感じました。

最後までご覧いただきありがとうございました。


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