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まずい、まずいぞ スパイスの煮汁

どうも。指です。

おれだよ

"深淵"そのものみたいなツラで失礼します。

突然ですがみなさんコーラって好きですよね?好きですよね?好きだよな?よし。

ぼくもコーラが好きなので病気になるぐらい飲んでるんですが(去年尿路結石になって地獄のような痛みを味わった)、好きが高じて最近はコーラを自作するようになりました。

これは3年前、尿路結石になるのも知らずコーラを持ってニコニコ笑顔のおれです

市販されているコーラはスパイスやハーブの精油を使用しているため再現するのは難しいのですが、最近クラフトコーラというものが流行っていて、数種類のスパイスと柑橘、そして砂糖を煮詰めてコーラシロップを作ればあら簡単、炭酸で割れば誰でも簡単にオリジナルコーラが飲めちゃうんです。

気を抜くと鍋の中がかなり魔女っぽくなる

ここで手を出さなきゃコーラ好きの名が廃るべ、とばかりにおれもある日スパイスを買い込んでオリジナルのクラフトコーラを作ってみたところ、楽しい上においしかったのでバーを借りたりイベントに呼んでもらったりしていろんな人に振る舞っています。

あるイベントにて。右の派手なのは友人です

てな感じで、今まで何度かクラフトコーラを作ってきたんですが、そのたびに思うことがあります。

人に飲食物振る舞う身として致命的ですね。

おれがクラフトコーラに使うスパイスは5〜6種類ほどあり、それぞれ煮込む前の乾燥した状態でなら個別で香りを嗅いだりするんですが、単独で煮出したものを味見したことはなかったので、どのスパイスを増やせば完成品のコーラにどう影響するかがよくわかっていませんでした。そのため毎回雰囲気でスパイスを調合しており、作るたびに微妙に味が変わることもしばしば。

いい料理人は素材の味を熟知し、ロジカルに味を組み立てていくもの…… コーラが料理がどうかは一旦置いておくとして、おれも自分の作ったものをロジカルに分析できるようになっておこう!ということで、それぞれのスパイスを個別に味わってみることにしました。


スパイス煮出すぜ

今回味わってみるスパイスは

  1. コリアンダー

  2. クローブ

  3. シナモン

  4. カルダモン

  5. 草果(ビッグカルダモン)

の、計5種類です。
それぞれをスプーン大さじ一杯ほど使用し、ホールの状態から潰した時の香りや感想、およそ150ccの水で煮出し、その煮汁を飲んだときの感想 を述べてみようと思います。


1.コリアンダー

ひとつめはコリアンダーです。

七味に入ってるケシの身っぽさもある

いわゆるパクチーの種であり、スパイスカレーを作る時には欠かせないスパイスです。乾燥時は爽やかな匂いがするため、コーラを作るときにはなんとなく柑橘(ライムなど)の香りとマッチする気がするのですが、単独だとどういう印象でしょうか。

コリアンダー汁

コリアンダー汁を飲んでみたところ、乾燥状態のようなヒノキ様の爽やかな木質の香りはそのままに、少し柔らかく甘い匂いが加わります。舌には酸味というか渋味というか、舌の脇がニッッとなる感触があるので使い過ぎには注意かもしれません。コーラにするときはライムやレモンと合わせて使うので、コーラの爽快感を担う役割になるのではないでしょうか。

コーラ以外で言うと、ハーブティーに入れるなどするとリラックスできる香りになるのではないでしょうか。上記のように柑橘系と合いそうなのでオレンジフレーバーの紅茶にちょっと加えてみるとか…

ほほー、スパイス単独で味わうとコーラとして組み上げたときにはわからなかったクセや注意点がよく見えてきますね。この調子でやっていきましょう。


2.クローブ

ふたつめはクローブです。

へんなかたちだなあ

日本語で丁子(ちょうじ)としても知られており、ウスターソースの香りを主に構成するスパイスです。煙草のガラムの香りと言えばピンとくる人もいるのでは。
さて、煮出してみましょう。

クローブ汁

ポッカやアサヒ飲料から出ているクラフトコーラは比較的クローブの香りが強い印象なので、煮出したクローブ汁もそれだけでクラフトコーラっぽい香りがしますが、同時にいわゆる薬臭い匂いもします。

飲んでみるとこれが凄い汁でした。飲んだときに残したメモを見ると「小児科だ」「咳止めシロップの味」と、驚きをそのまま書きつけた文言が残っていました。
なんでこんなに薬っぽい味が??と思っていると口の中が軽く麻痺してくる感覚があります。まじかよ。

調べてみるとクローブには鎮静作用があり、その精油が痛み止めに使われていたりするようです。精製しなくても煮出しただけで効果を発揮するとかすげぇなおい。

口の中を麻痺させてみたい人や口内炎がある人とかは濃く煮出して飲んでみてもいいんじゃないでしょうか。胃腸への作用はわかんないのでオススメはしませんが。


3.シナモン

みっつめ、シナモンいってみましょう。

"木"じゃん

「スパイスの王様」とも呼ばれるシナモンはあらゆるお菓子に使われているおなじみのスパイス。コーラとして使うときも特徴的な香りなので成分として切り分けやすいのですが、単独での印象を見てみましょう。

シナモン汁

煮込んでみた感じ、乾燥したものよりも柔らかく鼻腔に香りが入ってくる印象があります。飲んでみてもその印象は変わらず、馴染みのあるあの香りがやわらかく口内に広がります。比較的乾燥時と煮出したときで差のないスパイスかも。

そしてここで気づいたんですが、馴染みのある香りがするものを飲むの、メチャメチャ安心する。

前に挙げたふたつ(コリアンダー、クローブ)は日常でそんなに触れない香りかつ味なので飲んでる時に不安がすごいんですよね。コーラにする時と違って甘味もつけてないので味もないし、異物感というか、"食"のほそみちを手探りで進んでいる感がすごい。

その点シナモンは煮出しただけの汁の時点でほのかに甘味もあり、かなり飲みやすいです。「スパイスの王様」と呼ばれるだけあるな…… 砂糖と牛乳を加えるだけでわりときちんとスイーツドリンクとして成立しそう。


4.カルダモン

よっつめはカルダモンです。

豆っぽい

先程の「スパイスの王様」に対してこちらは「スパイスの女王」と呼ばれるカルダモンです。ショウガ科に分類されるだけあり、乾燥時点ではショウガに似た爽やかな香りが特徴的です。
ガラムマサラに使われるのはもちろん、中東付近ではコーヒーへの香り付けにも利用されるスパイスですが、煮出した汁はどんな味でしょうか。

カルダモン汁

煮出した汁からあがってくる匂いはトマトに似た青臭くて甘い匂い。乾燥時に感じたショウガ感は薄いです。

汁を口に入れると、こ〜〜〜〜れすげぇな。

端的に言うと、実を食べるべき植物の茎とかかじったみたいな、不可食部の青さ。なんじやこりゃ。
香り成分が多く含まれている種子(上画像で汁の底に沈んでいる黒い粒)がうまく潰れていないのか、鞘(汁に浮かんでいる緑のやつ)から望ましくない香りが出てるのか…と思って鞘を取り除いて濃く煮出してみたりもしたんですが、口に入れる用じゃなさそうな匂いは変わらずでした。

実と鞘を分離させるの、手間がやばい

こんな味と匂いのモン、入れて大丈夫なんか…?と思いましたが、かつてコーラを作る時試しに抜いてみたところ何だか物足りない味になったので何らかの役割は果たしているのでしょう。確かに市販されてるコーラとかの香りにも注意深く味わうと青い香りがあるような気もするしな……

トリュフとかも単独で食べてもうまくないし、香り高い食材と組み合わせて相乗効果を狙うものなんやろなぁ……なんてことを思ったんですがこれ間違いなく脳内で自分に言い訳してるやつやな。口に出してたら絶対に尋常じゃない早口だったこと間違いなしです。

カルダモン汁の利用法を考えてみましたが、合いそうな液体が思いつきません。無性にマヨネーズが欲しくなったけどそれクセの強い山菜とかをなんとか食べ切る方法では??????


5.草果

最後に急に漢字が来たぜ。草果です。

端的に言うと見た目が"糞"やねんな

中国原産のスパイスで、先程出てきたカルダモンの親戚にあたる植物です。
普段おれが作るクラフトコーラには入れないんですが、先日イベント出店したときにカルダモンが切れたので近くの中華食材店で焦って買って来ちゃいました。調べてみるとカルダモンとは別種のようなので実際には使わなかったんですが、持っててもしょうがないのでカルダモンと似てると嬉しいな、コーラに使えると嬉しいな……という気持ちで煮出していきましょう。とはいえ、カルダモンの味が味だったのでいい予感はしませんが。

草果汁(ご当地グルメっぽい)

スパイスを煮出す前から炭火で燻したようなスモーキーな匂いがします。火事場を感じながら鞘の中にある実を潰してみると完全にカメムシの匂いがしました。怖いよこいつ。

恐る恐る汁を飲んでみたときの感想メモを見てみると

そうめんつゆや

とだけ書いてありました。そんなわけあるか。

記憶を掘り起こして分析してみると、スモーキーな匂いが鰹節(燻して作るもんね)と、ショウガに似た爽やかな匂い(カルダモンはショウガ科)が相まってそうめん食べる時のつゆに似た香りになったのでは…?という感じでした。よく味わうと乾燥時点で感じたパクチー臭も感じるような。

とりあえずこれクラフトコーラには使えねぇな〜〜〜〜〜〜〜〜助けて〜〜〜〜〜〜何に使えばいいんだ〜〜〜〜〜〜〜

「草果 使い方」で調べたら出てきたサイト

ご家庭でスパイスから火鍋やれってか。

確かに草果汁はコーラみたいな甘味よりも塩気に合いそうな香りだったので悪くはないのか……?
みりんと醤油加えて草果汁でそうめん食べてみたらうまいかな。


まぜる

最後に個別に煮出したスパイス汁を混ぜて飲んでみることにしました。

ほんまにそうめんつゆみたいな色や

明らかにチャレンジングな味がする草果を除いた4種(コリアンダー、クローブ、シナモン、カルダモン)を混ぜてみると、個々であれだけ飲みにくい味だったスパイス汁たちが比較的するっと飲める味になっていました。依然としてスパイス盛り盛りの癖のある香りではあるのですが。

理由を考えてみたのですが個々のスパイス汁は単独だと「飲みなれない癖のある味」だったのが、混ぜることで「飲んだことのある癖のある味」(=コーラに違い味)になったからでは……?と思っています。飲み慣れない味だと身体が異物として捉えてしまうけれど、コーラだとしてラベル付けしてしまえば脳が処理しやすい…的な…?考えてみれば市販のコーラだって飲み慣れない人に飲ませたら不思議な味でびっくりしますよね。あとルートビアとか。

ちなみに普段はライムやレモンの皮と果汁、さらに大量の砂糖を加えるのですが、今日作ったスパイス汁にライムジュースだけ加えると完全に胃液みたいな酸味がするヤバ汁になりました。今日一日で何回へんな汁飲んだらええねん。

戦犯


まとめ

普段まとめて煮込んでるスパイスたちでしたが、個別で煮汁を味わってみるとか〜〜なり飲みにくいものであることがわかりました。

考えてもみれば、寿司を分解して海苔だけ食ったりしながら「味気ねぇなぁ」とか言ってるみたいなもんで、調和して初めて形になるものを切り分けてもそう良いもんではないよな……と実感しました。

とはいえ、個々の個性がわかったことで今後はクローブ盛り盛りにして口中麻痺汁をつくることもないでしょうし、カルダモンの代わりに草果を使ってコーラをめんつゆにトランスフォームさせることもないでしょう。やったね!

クラフトコーラに興味があったり、既に作ったことがある人もこの記事を参考に個々のスパイスの味を調整したりしてみてください。おれが一足先に人柱になってやったぞ。みんな!コーラつくっていっぱい飲んでおれみたいに尿路結石になろうな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



な?

筆者
指 a.k.a. @Digital_usaGi
Twitter:https://twitter.com/digital_usagi

【SPECIAL THANKS】

写真(「あるイベントにて」「な?」の2枚)
manimanium
Twitter:https://twitter.com/manimanium

派手な友人
ファッションセンターゑ
Twitter:https://twitter.com/radiowavedoll

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