「パルスマーケティング」についての考察-5
スマートフォンの利用は動画視聴が中心で,テレビやラジオを流し見するようなテレビ型の情報接触。
次に考察3で提示した二つの疑問の後者である
・「なぜ,消費行動が“暇つぶしのような情報検索”をするからスタートするのか」
について考察を進めてみる。要は,普段スマホで何をしているのか,その意識はどういうものであり,テレビ時代と比べてどう変わったのであろうか。
このデータが現在も継続的に定点観測されていると面白いと思うのだが,2009年度時点のメディアに対するイメージで圧倒的な「暇つぶし」の役割を担っていたメディアはテレビである。
(出所:http://www.yhmf.jp/pdf/activity/adstudies/vol_31_01_05.pdf)
一方,現在において「どのメディアで何をしているのか」では以下のようなデータが出ている。
(出所:https://www.screens-lab.jp/article/22215)
この中で,「情報検索」と言えるような行動はどこにあるだろうかを考えていると,「ネットショッピング」あるいは「比較サイトの閲覧」「口コミサイトの閲覧」が該当するであろうが,それ以外のネット情報については,情報源としての上位に来ているポータルのニュースサイトと同様に積極的に何かを探す「情報検索」というよりも受け身の情報受信に近いと考えられるだろう。
また,「暇つぶしのような情報検索」という行動は何を指すかというと,おそらく友人やインフルエンサー達のインスタグラムなどを暇つぶしとして検索し色々な情報を溜め込んでいる」と言ったスマートフォン行動を想定していると考えられる。しかし、この記事の中で
奥氏:これまで「放送とネット」という分けかたがされてきたが、10代に関してはネットの中でさらにもう一枚レイヤーが分かれており、ネットかつ「SNS・ブログ」をメディアとして信頼するシフトが起こっている。
https://www.screens-lab.jp/article/22215
と分析しているように,10代でようやくSNS・ブログを分ける,つまりソーシャルメディアを意識をしてメディア接触を行なっているに過ぎないと言える。つまり、それをネット時代全体の傾向と捉えるのにはまだ早いのではないかと考えられる。
(出所:https://www.screens-lab.jp/article/22215)
さらに,スマートフォンで何をしているのかというと圧倒的に動画の視聴が増えていることもこのデータからも読み取れるし,テレビの代替えとしてのスマートフォンの動画視聴,あるいはテレビの補完としてのスマートフォンの動画視聴が進んでいることがわかる。
ここで再整理をしてみると,ネット時代にはメディア接触はテレビからスマートフォンに変わった。それはテレビに変わる「暇つぶし」ではあるとは言えるだろう。しかし,暇つぶしとしてインスタやショッピングサイトを見て回るような情報検索がメインであると言った要素は特に見られなかったし,その際のメディア接触の意識変化についても,もう少し検証をしていく必要があるだろう。
スマートフォンの接触態度は動画視聴が進み,テレビの代替え化・補完傾向にある。テレビの目的が暇つぶしであったがゆえにスマートフォンの接触態度も同様であると言えるだろう。ただし,積極的な情報取得や情報検索の意識を持っているかどうかは検証の必要がある。
(考察−6に続く)
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