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当社で副業を推奨していない理由

「お勧めしない」っていうか、会社としては明確に禁止しています。
理由はいくつかあるのですが、メインの理由は3つ。

①就業後の時間でまた仕事をしては、休む時間がなくなってしまう。

厚生労働省のガイドラインにも書かれていますが、副業を推進してしまうと労働時間が無制限に増えてしまう恐れがあるというのが、一番の理由です。

他のエントリーにも書いていますが、私たちのマーケティングの仕事というのは顧客の目標管理です。目標管理を行っていくためには、問題点を見つけ出してその解決策を検討し提案をしていく必要があります。
そしてその業務は、なにかシンプルな作業を淡々と日々こなしていればいつの間にかできるようになっているという仕事ではありません。施策を常にいろいろな側面から検討し検証を続けていく、といった「しっかりと考える時間」と「学ぶ時間」が必要な業務です。
それなのに副業をしてしまうと、そのしっかりと考える時間、学ぶ時間が無くなってしまうばかりではなく、考える・学ぶために必要な休む時間が無くなってしまう。というのが副業を禁止している理由になります。

さらに言えば、マーケティングの仕事というのは業務以外にも世の中を見る目を養っていく必要があります。例えば、今世の中で流行っているものはなんなのか?売れている商品はなに?流行のお店はどういうお店なのか?どんなお客さんがそこに来ているのか?そこではみんな何を食べているのか?といったことを知り、実際に体験をしておくことが必要です。

ところが、平日は会社で仕事をしたあとに急いで家に帰って副業をしていたり、休日も家で仕事をしていたりすると、そのようなトレンドをキャッチアップしたり世の中の消費動向を知ったりすることができなくなってしまいます。これはもうこの時点でマーケターとしての自身の自己研鑽に影響が出てしまうことになります。

そう考えると、マーケティングの(本当の意味での)仕事をしている人にとっては、副業をしていてもあまりメリットはないと言えるのではないでしょうか。

②普段の仕事や名前を隠してまで、その仕事に取り組む価値があるんでしょうか。

多くの場合、副業の依頼主はあなたが本業(いわば当社)で何をしているのかは関係ありません。
もし関係があったなら(当社で勤務しているという理由であなたに依頼をしているのであれば)、それは本業(当社での業務)を通じて知り得た情報や知識、スキル、ノウハウなどを利用して行っている業務になりますから、業務上の機密情報が相互に漏れてしまう可能性があります。
その場合、双方の職務規程違反になり下手をすると双方とも公的にも私的にも処罰の対象になる可能性があります。最悪の場合には、情報漏洩やスパイ容疑にも発展することもないとは言い切れません。これは決して大げさな話ではありません。

そんなリスクを犯す必要がありますか?

私自身は大学の非常勤講師や業界団体におけるセミナーの仕事、書籍の執筆などの仕事を本業以外に行っています。でもそれは私自身の名前や身分を対外的にすべてオープンにして行っている活動です。オープンにする事でそれらの仕事は相互に密接な関係性が生まれ、さらに相互相乗的な効果もあります。だからこそすべてをオープンにして行っているのですが、いまお小遣い稼ぎのためにやろうとしている副業に身分をオープンにしたときの相乗効果や相互メリットはあるでしょうか?もし無い場合には、リスクだけが生まれしまうのだと考えられます。

一方、本業と副業とが全く関係の無い場合もあります。

例えば、平日は会社で働いていて週末にバンド活動をしつつCDを出すことになった。あるいは、休日に絵を描いたりアクセサリーを作っていて、それが最近人気が出て結構売れているなどのケースですね。実際にそういう活動をされている方もいるかと思います。
その場合は、バンド活動や絵やアクセサリーなどのアーティストとしての活動は「副業」なのでしょうか。
多分、自分自身も周囲の人も「副業」とは思っていないのではないでしょうか?
自分の名前(もちろんペンネームのケースもあるでしょう)や人格をすべてオープンにしている活動は、どちらも本業だと言えるものです。

その場合、会社が禁止するのはお門違いだと言えることですし、自分自身の人生を豊にする事にももちろん繋がりますので、どんどんやっていけばよいのでしょう。

しかし、本業の自分を隠してまで行う仕事に意味はあるのか?と考えると、たいして無いといえるでしょう。

③副業として依頼されるのは作業代行

これは副業を発注する側に立ってみると、よく理解できるでしょう。

発注する側は「片付けなきゃいけない業務が貯まっていて、自分でやるには面倒くさいし時間が無い。そんな誰でもできるような作業なんだからお金を払ってでも誰かにやってもらいたい」と思っています。

いわばそんな仕事です。っていうか、仕事でもなくて単なる作業の代行です。

「副業をやってみたい」と思っている人にその理由を尋ねると、金銭的理由はもちろんですが「知識やスキルの取得」「新たな業務経験」「視野を広げる」などの項目を上げてくれることがあります。自分自身の社会経験や自己研鑽に繋がる理由から副業を考えることは、考え方としては悪くないと一見思えるのですが、さて、誰でもできるような単なる代行作業を繰り返して「知識やスキルの取得」「新たな業務経験」「視野を広げる」ことに繋がるでしょうか?ということを是非考えてみてください。

多分、それは単純に作業代行の領域をから出ることはないですし、作業の代行だけでは自分自身の自己研鑽や知識スキルの取得に繋がることはないでしょう。

「試しにやってみる」程度であれば、なんからの経験の足しになるでしょうが、長期で続けてより広い知見を貯めることと言うのは結構無理なのではないでしょうか。

まとめ


こうやって、①②③のことをかんがえてみると、その辺に転がっている副業を少額の報酬と引き換えに寝る時間を惜しんで行うべき意味もメリットもなにもないと言えるでしょう。

それよりも、その時間を使って本業に精一杯取り組みながら学びを続け、プロフェッショナルなマーケターとしての研鑽を積んでいくことの方が、将来的なキャリアや社会的なポジション、相応の報酬に繋がるのではないでしょうか。

これが5co.ltdでは副業を認めていない理由になります。

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