技術・商品にこだわる前に・・・
「システム導入したいのですが、いい商品を教えてもらいたい」
この様な依頼をさせることがあります。
この場合の私の答えは、
「どの商品も良いものですよ。良いか悪いかではなく、合うか合わないか、です。」
良い商品・良いサービスとは何か
これについて、古い漫画ですが、料理漫画の元祖と言ってもいいかもしれません「美味しんぼ」に興味深いエピソードがあります。
アニメ版のエピソード24「鮎のふるさと」
※漫画では8巻に収録
※以下、ネタバレを含みます
ストーリーの流れとしては以下のようなものです。
京都の億万長者 京極万太郎 がケガで入院します。
山岡士郎は早く良くなるようにと、快気祝いに京極の好物だという「鮎の天ぷら」を作ることを約束します。
お約束の展開ですが、親でありながら敵対している関係の海原雄山に「士郎に最高の鮎の天ぷらを作ることはできない」と挑発され料理対決をすることになります。
山岡は「最良の材料と最高の技術それ以上何が必要だというのだ!」と海原にくってかかり、その後、その言葉通り、最良の材料を求め築地に足を運んだり、釣り雑誌社に出向き、今年一番状態の良い鮎が取れる川の情報を収集し、京都の保津川まで出向きます。
天ぷら油や鮎の大きさにもこだわり、まさに最高の鮎の天ぷらを作ります。
当然の様に、食した京極も絶賛してくれます。
一方、海原の出した鮎の天ぷらも負けず劣らずのもので、食べている人は甲乙付けづらいとコメントします。
しかし、今回の主役である京極は海原の時だけ泣いて感動するのです。
折角作ったのに「くらべものにならん」とまで言われる始末です。(笑)
何がまずかったのか
山岡は何を間違えたのか。
作中では「鮎は環境によって味が違う」という伏線が張られています
京極は今は京都に住んでいますが、出身は四国でした。
これは、山岡も知っていることでした。
山岡は京極の背景は特に考えず、「鮎は環境によって味が違う」ということから今年の最高の鮎を使って最高の天ぷらを提供することに全力を尽くしました。
一方、海原は「鮎は環境によって味が違う」「京極は四国の出身」ということから、状態は他の産地に少し負けるかもしれないが、食べる人のことを鑑みて四万十川で育った鮎を使ったのです。
京極にとっては子供のときに食べなれた郷愁の味だったため、他の人とは違った価値を得ることになります。
いいか悪いかよりも、合うか合わないか
世の中には様々な商品・サービスがあふれています。
どれを選択するかの基準は商品自体の良しあしよりも、利用者側の課題や組織規模などによってフィットするかどうかで変わってきます。
最新の技術や多機能サービスに目をやる前に、自社が解決したい課題や内部事情を棚卸、分析することからスタートしましょう。
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