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デジタル田園タウン研究会_第17回(20240425)

デジタル田園タウン研究会(第17 回)を開催しました。
当日の研究会の概要をご紹介いたします。

概要

日時:2024年4月25日(木)15:00〜16:30 @オンライン
参加者:デジタル田園タウン研究会メンバー
講師:Whole Earth Foundation Japan 代表取締役 世良 信一郎氏
テーマ:市民参画型インフラ情報プラットフォームTEKKONの事例

各地域のデジタル化の取り組みと課題感

  • 矢吹町:道路や公園の損傷をLINEで通報できるシステムを整備。昨年度から稼働開始、報告件数は少ない。今後は既存の地理情報システムとの連携を目指す。

  • 狛江市:コロナ時にLINEを導入、道路や公園の損傷をLINEで受け付けるが、職員が対応するためのツール検討が課題。

  • 塩尻市・金子氏:市民参加型の道路損傷調査をアプリで実施。インセンティブが継続の鍵とし、ポイント制の導入を検討中。

講演内容

  • 市民参画型インフラ情報プラットフォームTEKKONの事例

  • 世良 信一郎氏(Whole Earth Foundation Japan)

  • Whole Earth Foundationは、市民参画型のインフラ情報収集プラットフォーム「TEKKON」を提供しています。このプラットフォームは、ゲーム要素を取り入れることで市民の参加を促進し、インフラの老朽化を効率的にチェックする仕組みを実現しています。

TEKKONの仕組みと目的

  • TEKKONは、ユーザーが街中でマンホールや電柱の写真を撮影し、その画像をプラットフォームにアップロードすることで、インフラの状態をデータとして集めます。ユーザーは撮影した画像に基づいてポイントを獲得し、そのポイントを様々な特典や報酬と交換することができます。このようにして、市民が楽しみながらインフラの保全に協力する仕組みを構築しています。

社会価値を経済価値に変換する試み

  • TEKKONのポイントは、暗号資産(WEC)に交換可能であり、実際の経済価値に転換することができます。これにより、市民の参加意欲を高め、継続的なデータ収集を促進しています。暗号資産に変換されたポイントは、さらに現金や電子マネーに交換することも可能であり、市民の経済的な利益に直結する仕組みとなっています。

デジ田甲子園2023での評価と提携

  • TEKKONは、デジタル田園都市構想の一環である「デジ田甲子園2023」で高評価を得ており、その革新的なアプローチが注目されています。特に東北電力や北陸電力などの大手インフラ企業と提携し、大規模なインフラデータの収集を実現しています。これまでに約700万件のデータを集め、その価値は約70億円に相当するとの評価を受けています。

実際の運用事例

  1. 東北電力との連携: 東北電力との協力により、電柱やマンホールの劣化状況を市民の力でチェックし、データを収集しています。特に特別巡視(例:カラスの巣のチェック、冬季の雪の積雪状況の確認など)において、市民の参加が重要な役割を果たしています。

  2. 北陸電力との連携: 北陸電力と共に、福井県、富山県、石川県の主要都市で電柱のデータ収集を実施。市民が撮影した電柱の画像をAIで解析し、劣化診断を行う取り組みも進めています。

教育現場での活用

  • TEKKONは、教育現場でも積極的に活用されています。秋田県能代市の小学校では、授業の一環としてインフラ保全の重要性を学ぶためにTEKKONを導入し、実際に生徒が地域の電柱を撮影する体験を提供しています。また、神奈川県藤沢市の高校では、公害学習の一環としてTEKKONを用いた地域探検が行われ、生徒たちが地域のインフラについて学ぶ機会を提供しています。

地域経済との連携

  • TEKKONは、地域経済との連携を強化するため、地域クーポンと連動したイベントも実施しています。例えば、秋田県能代市では、地元の店舗を巡るスタンプラリー形式のイベントを開催し、参加者がポイントを集めて特典を獲得する仕組みを導入。これにより、地域経済の活性化とインフラデータの収集を両立させることができています。

質疑応答

  • 質問: 住民が撮影したデータの受け渡し方法について、企業側がどうやって受け取るのか、管理画面があるのかどうか。

  • 回答: データの受け渡しは、希望に応じて物理的なハードディスクやオンラインの共有サービスを利用する。自治体などがセキュリティを懸念する場合、外付けハードディスクにデータを入れて渡すこともある。API連携も相談次第で可能。

  • 質問: イベント中に私有地や危険な場所での撮影に関するトラブルはないか。

  • 回答: 私有地や危険な場所は対象外とし、ユーザーには撮影しないよう指示している。私有地の場合、撮影不可の選択ができるようになっており、他のユーザーにも警告が表示される。

  • 質問: 鎌倉市の事例で賞金が出ているが、他の自治体でも同様のインセンティブがあるのか。

  • 回答: 特定の大規模イベントでは賞金が出ることもあるが、通常は特産品や地域クーポンをインセンティブとして提供している。地元の特産品やクーポンを利用して地域経済の活性化も図っている。

  • 質問: 現在の利用自治体数と、データを直接メンテナンス会社に提供しているかどうか。

  • 回答: 現在、5つの自治体と連携している。直接メンテナンス会社にデータを提供することも可能だが、通常は一旦自治体に提供し、その後メンテナンス会社に渡される。

  • 質問: 撮影した写真の位置情報と地図との突合について。

  • 回答: 自治体と連携する場合は、あらかじめ位置情報をゲームに取り込み、ユーザーはその情報を基に撮影する。普段の使用時は、スマートフォンのGPS機能を利用して位置情報を登録しながら撮影する。

  • 質問: イベントの集客方法と参加者層について。

  • 回答: 集客はパートナーの自治体や電力会社が地元の広報や商店の協力を得て行っている。参加者は主に30代から50代の男女で、社会貢献に興味を持つ層が多い。男女比は6:4で女性が多い。

以上

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