キャピタル・ワン、米国の大手クレジットカード会社との提携でディスカバーをUS$350億で買収へ

2024年2月21日 10:03

米国のWSJ(Wall Street Journal/ウォールストリート・ジャーナル)(電子版)、AP通信、日本経済新聞電子版は2024年02月20日に、キャピタル・ワン・ファイナンシャル(Capital One Financial)は、DFS(Discover Financial Services/ディスカバー・ファイナンシャル・サービス)をUS$350億で買収すると発表した。

昔はSears CardであったディスカバーとCapital Oneはどちらもクレジットカード会社としてスタートし、当座預金口座や普通預金口座などの他の金融商品にも事業を拡大した。

今回は、この2社が買収合併することになった。

この取引では、国内のクレジットカード会社2社が統合され、ビザ(Visa)とマスターカード(Mastercard)が大半を占めている決済業界に大きな変革をもたらす可能性があると伝えている。

確かに、セキュリティの甘いビザが海外決済に強いと言うのは危険で、仮想通貨を使った海外決済も今一の市場には弱点がある。

全株式取引の条件に基づき、Discover Financialの株主は約US$140相当のCapital One株を受け取ることになる。これはディスカバー株の金曜終値US$110.49に比べて大幅なプレミアムである。

この提携では、アメリカン・エキスプレス(American Express)を除く、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)とシティグループ(Citigroup)といった銀行ではない最大手クレジットカード会社2社と提携することになる。また、この2社の顧客はほぼ似ており、アメックス(AmEx)、シティ(Citi)、チェイス(Chase)が独占するプレミアム・クレジット・カードと比較して、キャッシュ・バックやささやかな旅行特典を求めているアメリカ人が多い。

レンディングツリーのチーフクレジットカードアナリスト、マット・シュルツ(Matt Schulz, chief credit card analyst at LendingTree)は「大手企業が独占するこの市場は今後もう少し縮小するだろう。」と述べた。

また、ディスカバーの決済ネットワークに主要なクレジットカードパートナーを与えることになり、決済ネットワークが再び主要な競争相手となる可能性があります。米国のクレジットカード業界はビザとマスターカードの複占が独占しており、アメックスが僅差で3位、ディスカバーがさらに離れた4位となっている。キャピタル・ワンがディスカバー決済システムを採用するのか、あるいはディスカバーとビザのような第2の決済ネットワークを並行して使用できる決済ネットワークを構築する可能性があるのかは不明である。

「当社によるディスカバーの買収は、相互補完的な機能とフランチャイズを持つ非常に成功した2社を統合し、最大手の決済ネットワークや決済会社と競合できる決済ネットワークを構築するまたとない機会です」と、キャピタル・ワンの会長兼最高経営責任者(CEO)のリチャード・フェアバンク(Richard Fairbank, the chairman and CEO of Capital One)は述べた。

Capital Oneは、ディスカバー社の買収により、アメリカ人が今後もクレジットカードの利用を増やし、利子を集めるためにクレジットカードの残高を維持するようになると賭けている。ニューヨーク連銀の最新データによると、2023年第4四半期にアメリカ人はクレジットカードにUS$1兆1300億を保有し、家計債務残高の合計は1.2％増のUS$2120億増加した。

アメリカ人は、クレジットカードが好きである。

私はクレジットカードをなぜ信用するのか疑問である。

カード残高が増えるにつれ、消費者はより高い金利を支払うようになった。銀行クレジットカードの平均金利は約 21.5%で、連邦準備制度が 1994年にデータの追跡を開始して以来最高となっている。

Capital Oneは長年、アメリカン・エキスプレスやディスカバーよりもクレジット・スコアが低い顧客をターゲットに、カードの残高を維持してくれる顧客を探すビジネス・モデルを持っている。

つまり、日本で増えているプリペイド・カードビジネスに似ている。
カードの残高を維持して、巨額が自由になるビジネスは、企業が自由に投資できる資金になる。

同時に、2つの貸し手は借り手のデフォルト増加の可能性に備えて準備金を増額する必要に迫られている。
2年以上インフレと闘ってきたため、多くの低・中所得層の米国人は貯蓄を使い果たし、クレジットカード残高がますます枯渇し、個人ローンを組むようになっている。

追加の準備金が両行の利益を圧迫している。昨年、貸倒引当金が78％増のUS$104億に増加したため、一般株主が利用できるCapital Oneの純利益は2022年比で35％減少した。ディスカバーの通期利益は、信用損失引当金が2倍以上のUS$60億2000万となったため、2022年の業績と比べて33.6％減少した。

ディスカバーの顧客のクレジットカード残高はUS$1,020 億で、前年比13%増加している。
一方、償却率と30日延滞率は上昇した。

この買収により、銀行預金とローン口座の増加に加えて、Capital Oneは Discover 決済処理ネットワークにアクセスできるようになります。業界大手のVisaやMastercardより規模は小さいものの、ディスカバー・ネットワークによりCapital Oneはネットワーク上で行われるすべての加盟店取引に請求される手数料から収益を得ることができるようになる。

ディスカバーは規制当局からの厳しい監視の下で運営されている。昨年の夏、同社は、2007年半ば頃から、特定のカード・アカウントを最も高い加盟店価格帯に誤って分類していたことを明らかにった。
ディスカバーはまた、顧客コンプライアンス管理を巡ってFDIC(Federal Deposit Insurance Corporation/米連邦預金保険公社)から無関係の同意命令も受け取った。

シティグループのアナリストらは、規制上の問題が売却を促した可能性があると指摘している。

「DFSが売却することに我々は驚いているが、最近2023年10月のFDIC同意命令やカード商品の誤分類問題などの規制上の課題により、取締役会がこれまでにはなかった戦略的代替案を検討する扉が開かれた可能性があると仮定して、」とアナリストのアレン・シガノビッチ(Arren Cyganovich)とカイリ・ワン(Kaili Wang)は顧客向けノートに書いた。

この取引が規制当局の審査を通過するかどうかは不明だ。ほぼすべての銀行が顧客にクレジットカードを発行していますが、最初にクレジットカード会社、次に銀行という企業はほとんどない。

消費者団体は、今回の合意が消費者だけでなく株主にとっても良いものとなるよう、バイデン政権に強い圧力をかけるとみられる。

「Capital Oneのクレジット・カード融資とディスカバーのクレジット・カード・ネットワークとの垂直統合を考慮すると、この取引は反トラスト法上の大きな懸念も引き起こす」とナショナル・コミュニティー再投資連合の社長兼最高経営責任者(CEO)のジェシー・ヴァン・トール(Jesse Van Tol, president and CEO of the National Community Reinvestment Coalition)は述べたと報告している。

最近の問題を解決するために、強引に行った買収かもしれない。

しかし、日本のCITI関連に勤めている人で、ディスカバーとCapital Oneを知らない人がいたのに、びっくりしたことがあった。

あとでその人は、金融界のダニであったことに気がついた。

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