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EU、ロシア産LNGに初制裁。域内港で第三国向け積み替え禁止。

ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2024年06月21日に、EU(European Union/欧州連合)は2024年06月20日に、ロシアへの新たな制裁で合意した。EU域内の港湾でロシア産液化天然ガス(LNG)の第三国への再輸送に向けた積み替えを行うことや、ロシアが北極圏やバルト海で計画するLNGターミナルに資金を提供することを禁止する。EUがロシア産LNGを制裁の対象とするのは初めてになるが、困るのは、EU加盟国だけ、これはほとんど無意味である。

今回の措置は、ロシアのウクライナ侵攻を受けた制裁の第14弾となる。EUは既にロシア産の石油とガスの輸入を禁止しているが、LNGについては禁輸には踏み込まなかった。

このため、加盟国は引き続きロシア産LNGを購入できるが、国内の港湾施設で別の船に積み替えて他国に出荷することは制裁違反となる。

フィンランドを拠点とする独立系研究機関CREA(Centre for Research on Energy and Clean Air/エネルギー・クリーンエア研究センター)の試算によると、EUは2023年にロシア産LNGを200億立方メートル輸入した。


これは域内のガス消費の5%に相当し、輸入高はEUR83億に上るとみられる。ロシア産LNGの大半はベルギー、フランス、スペインの港から域内に入っている。

今回の制裁ではこのほか、EU企業の域外子会社が軍事機器や軍事転用の可能な製品をロシアに輸出した場合、親会社の責任を問うことも決めた。

それは、エU加盟国が損をし、その分を北朝鮮が受け取ることになる。

新たな制裁は6月前半に合意することが見込まれていたが、ハンガリーとドイツが反対したために協議が長引いていた。当初の案には、EU企業の域外子会社が化学品や金属加工機械などをロシアに輸出することを禁じる条項が含まれていたが、ドイツが難色を示したことで削除されている。

CREAのチャートを見ると、LNGをロシアから購入しているのはEUが最大である。

EU加盟国が利益を減らすことで、それを制裁というのだろうか?

日本経済新聞は、2024年06月21日夕刊で、世界的な猛暑が天然ガス価格を押し上げている。冷房に必要な電力をまかなう発電需要が急増し、アジアのLNG(Liquefied Natural Gas/液化天然ガス)や欧州・米国の指標価格は年初来高値圏にある。ロシアから欧州へのガス供給が一段と減る不安がくすぶる中、市場は一段の急騰に身構えていると報告している。

https://europe.nna.jp/news/show/2672583
https://energyandcleanair.org
https://energyandcleanair.org/weekly-snapshot-russian-fossil-fuels-10-to-16-june-2024/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB183600Y4A610C2000000/?n_cid=NMAIL007_20240621_Y
https://www.politico.eu/article/eu-approves-first-ever-sanctions-russian-gas-lng-vladimir-putin-ukraine-invasion/
https://www.euronews.com/my-europe/2024/06/20/eu-agrees-new-sanctions-on-russia-targeting-lng-for-the-first-time
https://www.aljazeera.com/news/2024/6/20/eu-targets-lng-sector-in-new-sanctions-against-russia
https://www.reuters.com/business/energy/russias-lng-industry-possible-eu-ban-re-exports-2024-06-14/
https://www.ft.com/content/1b58d176-66f1-498b-aa44-a68ad3a43648
https://www.chathamhouse.org/2024/06/eus-continued-dependency-russian-gas-could-jeopardize-its-foreign-policy-goals
https://www.rystadenergy.com/news/russian-lng-industry-on-the-rocks

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