映画「レスラー」 好きなことは残酷なのも?
ダーレン・アロノフスキー/2008年/アメリカ
あらすじ
80s人気レスラーランディはブームが過ぎ去った後、スーパーでアルバイトをしながら細々とプロレスを続け、コアなファンが集う試合やサイン会がランディの生きる糧になっていた。
ある日、チャンスが訪れる!伝説の名勝負ジ・アヤトラー戦の記念試合を企画したメジャー団体からオファーが来る。しかしランディーはステロイド剤の副作用や老化が原因で倒れ、ドクターストップがかけられた。
いきつけのショウパブで働くキャシディに相談したら、ランディーの荒れた生活で絶縁していた娘のステファニーに会うよう勧められる。
久しぶりの再開を果たしたランディーとステファニーは食事の約束をしたのだが、前日にバーで酔っ払い食事の約束を寝過ごしてしまう。
ステファニーは失望する。
家族を失ったランディは、ジ・アヤトラー戦の出場を決意する。ドクターストップなんてしるか!俺はランディだ!必殺技の「ラム・ジャム」を喰らえ!
コーナーによじ登り、渾身の飛び技を天高く披露する!
好きなことは残酷なもの?
ランディーは幸せだったのか?なぜレスラーをやり続けたのか?
はたから見たら負け犬にしか見えない。過去の栄光や自分をよく思ってくれる場所にしがみついているようにしか見えない。全く憧れないし、かっこ悪いと思うのだが、最後の戦いはいつみても感動してしまう。
どんな惨めな生活で孤独になろうが、彼は輝ける場所にいようとし続けた。そして、結果として彼がレスラーを続けたことで多くのオーディエンスを沸かせた!
そんなの映画であって美談に過ぎないと思うかもしれない。だが映画とは世界に知れ渡りリアルな共感を与える力がある。
映画「レスラー」は世界三大映画祭の一つ第65回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞するなど数々の賞に輝いた。
ランディーは現実には存在しないが、ランディーの生き様に感動を覚える人々は世界中にいて、命をかけたエンターテインメントは映画を通して我々に訴えかける。
ただの傍観者が本当にこの生き様をバカにできるのか?