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カントリー?ポップ? ケイシー・マスグレイヴスはどっちにしても最高のシンガーソングライター♪

今年9月、個人的に待望中の待望だったこのアーティストの新アルバムがリリースされました。

「star-crossed」kacey musgraves

ケイシー・マスグレイヴスの新アルバム「Star-Crossed」。こちらについて彼女自身に対する想いを出会いからこの新作まで順に書いていきたいと思います。

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彼女はすでにデビューから10年になるアメリカのシンガーソングライター。

私が彼女を知るきっかけになったのはこちらの作品

「Same Trailer Different Park」


このデビューアルバムが当時のグラミー賞の最優秀カントリーアルバム賞を受賞。


その際に式でパフォーマンスしているのを観かけたのが初めての出会いでした。

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アルバムを聴いてもらえば分かると思うのですが、このアルバムの曲たちはカントリーの中でもかなり伝統的な曲調のメロディが感じられて、一聴では新しさを感じられないようなところもあるかもしれません。
けどとにかく曲の良さが抜群で、普段はロックやポップを多く耳にする私にも入りやすく、歌い方もとても好み。
押しが強くないけどしっかりとした歌いこみ感や技術が感じられる歌い方で声もとても良くて。
私もそこまでカントリーを聴きこむタイプではなかったのですが、私にはこの時のパフォーマンスがとても良くてすぐにアルバムを買いにCDショップに行きました!

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当時カントリー界のプリンセスだったテイラー・スウィフトが「Red」を発表して、カントリー的なアレンジや曲調から離れてポップに移行しそうな雰囲気な中で、逆にどカントリー的な中に懐かしみや親しみがあるこの曲調やアレンジが私にはとても新鮮で。
よく比較もされるこの二人ですが、私はあんまり比べるのは好きじゃないので今回はテイラーの名前はここでしか出しません。彼女についてはまた語れる時に語りますね。

このアルバムでも特にハマったのはこの曲。

「Keep It To Yourself」

この曲はミディアムバラードな曲で大々的な聴かせどころがある曲ではなさそうに聴こえて、実はしっかりとしたいいメロディで本当に大好きになって。特に繰り返し聴いてました。
このアルバム自体パッと聴きは地味に感じてしまうかもしれませんが、よく聴きこむと歌詞と曲調にヒネリが合ったり、メロディーのセンスもとても好きで。
世界観の作り方もベタつかない、突き放したような歌詞に悲しみがにじむ様な歌詞。
カントリーの中に普遍的でとっつきやすいメロディと歌詞を忍ばせてくれていて、たくさん聴き込み、出会いにとても感謝しました。

続いてリリースされたこの作品、

「Pagent Material」


前作「Same Trailer~」の流れを汲んだカントリー調の曲の深度も深まりながら、やっぱりメロディはとてもとっつきやすく普遍的な曲の良さにシビれました。

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カントリーガールである事をさらに強調しつつ、曲自体は前作よりもバラエティに富んでいて、「カントリーの枠には収まらない」と宣言しているかのようで。

お気に入りの曲は

「die Fun」

またアルバムの中では地味曲かもですが(笑)、ケイシーの曲にはどの曲にも芯があるかのような強さも感じられます。曲自体がはかなさもありながら強い。そして難しくなく楽しめるんですよね。言葉にするのはとても難しいのですが(笑)

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いかにもなカントリーの歌い方のシンガーが歌うととってもカントリーの曲なのに、ケイシーが歌うこともあってかアレンジはカントリーなのに曲自体はとても聴きやすい。
それでいて歌詞は「人生やりなおすことなんてできないんだから死ぬまで楽しもう」って歌詞で。なんか哀愁と力強さがある曲でとても好きなんです。

この2枚目で「一生の付き合いになりそうだな」と思いました。


そしてこの2枚目からクリスマスアルバムを経て、リリースされたのが3枚目

「Golden Hour」


この作品でついにカントリーの枠から大きく踏み出します。

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制作陣を変え、カントリーを踏まえながらもアレンジがもっとインディ寄りかつポップに寄った内容で、アレンジも多彩になり、カントリーと一口では語れないようなアルバムを作り上げます!


新しい要素を取り入れながら、曲自体は決して今までからかけ離れることなくメロディの良さは相変わらず抜群。そのバランスが絶妙でこの作品はカントリー界だけではなく、音楽シーン全体でもとても高く評価されました。


この作品のリリースはとても嬉しかったです。1曲1曲がとても新鮮で音の響きがとても良く、今までの作品よりも少しエコーが強くなったかのような音の作り方。
アルバムのテーマになる「Golden Hour」(黄金:夢の時間帯)に沿ったような少しドリーミングな曲のアレンジでギターからドラムから、シンセから彼女の声まであらゆる仕掛けがされています。
その中でも「spaceCowboy」「Rainbow」のような素晴らしいバラードや、「high Horse」のようなディスコアレンジの曲までどの曲も輝いています。


このアルバムはケイシーが新婚で幸せ絶頂期だったことも踏まえて作られたアルバムだったので、作品にさらなるマジックがかかったのかなとも思います。

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彼女はもともと日本好きなこともあり、このアルバムのプロモーションで来日&初ライブをフジロックでしてくれた時はとっても嬉しかったです。観に行けてよかった!!
その後の単独来日ライブには残念ながらいけなかったのですが、フジロックのあのライブだけでも十分マジカルで素晴らしいパフォーマンスでした。

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この作品とフジロックの出演で日本の音楽ファンにもさらに広く名前と作品が知れ渡ったみたいです。

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この作品をひっさげて世界ツアーや、コーチェラをはじめとしたいろいろなフェスに出演していたのもとても良かったですよね。

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このアルバムでケイシーはグラミー賞の最優秀アルバムを受賞します。ここまで評価が高いとはちょっと驚きでしたが、大好きなアルバムだったので嬉しかったです。
彼女自身とても驚いていたのが印象的でした。

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過去にリリースしたクリスマスアルバムをブラッシュアップさせてAmazonPrimeで自身のクリスマスショーまでリリースするほどまでになった彼女ですが、自身の結婚生活はうまくいかず、離婚してしまいます。


そうして今年リリースされたのが冒頭で紹介した新アルバム「Star-Crossed」

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この作品は自身の離婚を語るアルバムになっています。前作と全然違う状況になってしまいましたが、待望の新作。本当に「待ってたー!」って感じでした。
リリース時にワクワクしながら聴き始めました。

1曲目は先行リリースされたシングル。アルバムタイトル曲の「star-crossed」

この曲が一番の冒険作かもしれません。エレクトロなアレンジを取り入れながら曲調は今までの彼女の作品で一番壮大な雰囲気の曲でいきなり悲しい曲から始まります。そんな中でもギターの音色が響く彼女らしい面もある曲。
「またこれまでと違う感じの曲」と思っていた曲からスタートし聴き進めると、前作で魅せたエレクトロの要素をもっと大胆に取り入れ、カントリーの肌触りはだいぶ薄れています。


それでもギターの音色を大切にしたり、弾き語りの曲があったりと完全にカントリーを離れたわけではなく、より実験的にアレンジを加えてみたという印象です。
特に声の加工を今までより多くして、1曲の中で聴こえ方が変わる曲もあったりする曲もありました。ケイシーがここまでアグレッシブに実験を試みるタイプだとは。


とはいえ、彼女自身の作る曲の良さは相変わらずで、やっぱりこの人の作る曲にますます惚れ込んでしまいます。
曲のアレンジは前作よりまた変わった一面があって戸惑うところもあるかもしれませんが、メロディの良さやソングライティングや歌の表現はやっぱり変わらず抜群で凄く良いです。

どの曲もとても良いのですが、お気に入りで言えば

「easier said」


おそらくこの曲はケイシーが影響を受けたというSadeの曲のような雰囲気を持つアダルト感あるミディアムバラードです。


落ち着いたムードで歌い上げる声は大げさに歌い上げるのではなく、彼女らしくはかなさがありながらもしっかりと語りかけられるように歌われています。
「私は曲は書けるけど」と歌い始め「愛することは簡単ではない」とサビで歌う彼女。「言葉にするのは簡単だけど」と。
いかに結婚生活が難しかったか、悲しみがにじむ曲。この曲も新しい面がありながら、メロディがやっぱりケイシーらしくてとても好きです。

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この作品、おそらく世間的には「Golden Hour」よりも若干低くなってしまっているかもしれません。前作があまりに各方面から絶賛だったので。
そしてカントリーから脱したとまで思われてしまうくらいの実験性で、前作のような作品を期待した人には「ちょっと違うな」と思われてしまうかも。
現にグラミー賞のノミネートではこのアルバムは「カントリーではない」と却下される事態になりました。
もちろん彼女はめっちゃくちゃ怒ってましたが。


ケイシーが語ったわけではないのですが、勝手な推測では今回敢えてカントリー色を薄くしたのは離婚で傷ついた影響もあったのかなと。

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相手もカントリー歌手だったんですよね。そういう時、その自分が属していた所から離れたいタイプとますます深まるタイプと2タイプに分かれると思うんですけど、今回彼女は前者だったのかな、とか。
これは私の予想なだけです(笑)

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もはやカントリーかポップかとか、もうどうでもいい域で私は好きなんですよ。本当にどうでもいいんですよ、そんなこと。
確かに、「カントリーか」と言われるといわゆる「カントリー」ではないかもしれません。
けど、

ケイシー自身のソングライティングの素晴らしさ、表現力、何より伝わってくる曲の良さは何も変わらないです。

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私はやっぱり聴くたびに「ああ、やっぱりいいなあ」と思わされます。
この作品も大好きですし、ケイシーのこれからの作品もますます楽しみです。

彼女の作品に興味を持っていただけたら嬉しいです。よかったら聴いてみてください♪


おまけ

彼女はカバーも時々披露してくれるのですが、フジロックで演奏してくれたこれも秀逸でした。チョイスが絶妙ですね。


おまけ2

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ツアーに帯同したハリー・スタイルズとのこのデュエット姿観るたびに、日本に生まれたことを悔やんだよね(笑)

おまけ3

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離婚の影響か最近露出激しめなのだけがちょっと気になるわ(笑)いや別に下品とかでは決してないんだけど。

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