公務員の個人負担率を考える(収入編)
給料についておどろおどろしい記事を目にしました。
国民負担率47.5%の先に待つ日本の最悪シナリオ 大増税時代「唯一の希望は投資」超格差化に拍車 | 不安な時代、不機嫌な人々 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
国民負担率とは、国民全体の所得総額である国民所得に対し、税金と社会保険料の支払い負担がどのくらいの割合を占めるかを示した数字です。2021年度に過去最高の48.1%に達して、昨年度は47.5%、2023年度は46.8%の見通しとのことです。
参考:国民負担率、上昇傾向続く 今年度46.8%見込む―ニュースQ&A:時事ドットコム (jiji.com)
ピークからは減少傾向にあるようですが、それでも江戸時代の五公五民(史実としては実際は異なるようですが)に迫る勢いです。
国民所得に対する税金と社会保険料の割合を表したものなので、所得税などで累進課税を取っている日本では所得の高い人が多く支払っていることから、私のような一般市民の負担率は高くないと思いつつも、それでも割合が高いと思ったので、自分の個人の負担率はどれくらいだと、給料表を基に調べてみることにしました。
1 公務員の基本給
公務員は副業が基本禁止されているため、収入源は給料のみです。良い機会なので、自分の給料の内訳を調べてみることにしました。
公務員の給料は、基本給と諸手当で構成されています。基本給は「行政」や「税務」「海事」など、職種別に定められており、人事院でも公開されている国家公務員の俸給表に沿った形で地方自治体が給料表を定め、自分の級と号にあった給料を毎月支給されます。
人事院勧告(国家公務員の給与) (jinji.go.jp)
「○○市 給料表」と検索すれば、条例とともに給料表が出てくることから、基本給については、公開されているようなものです。
2 諸手当
続いて諸手当です。手当は多くの種類がありますが、高所作業や潜水作業など、特殊な環境で勤務する職員への手当である特殊勤務手当がほとんどを占めており、行政職員に関連する手当は数えるほどです。
(1)代表的な諸手当ー地域手当
代表的なものは地域手当です。地域手当は地域によって生ずる生活費の差を調整するために支給される手当であり、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給されます。
民間賃金が高い傾向にある都市部に勤めていると支給額が高くなり、地域によって異なりますが、最大で東京都特別区が基本給の20%分上乗せされます。なお、あくまでも勤務地で判断されることから住所地がどこであろうとも、同じところで働いていれば、支給割合は一緒です。
ex:基本給が30万円であれば地域手当は6万円となり、支給額は36万円
(2)代表的な諸手当ー扶養手当
続いて扶養手当です。民間だと家族手当と呼ばれることもあるようですが、扶養親族がいる場合に支給され、国家公務員と制度が同一であれば、月額3,500円~15,000円の扶養手当がつきます。
扶養親族は配偶者、父母、子どもなどが対象となっており、特に子どもに対しての支給額が大きくなっているため、子どもが多い我が家のような家庭には大変ありがたい手当です。
ex:配偶者、子ども2人(5歳と2歳)を扶養している場合
→6,500円+10,000+10,000円=26,500円の加算
(3)代表的な諸手当ー住居手当
続いて住居手当です。貸家や賃貸アパートを職員が世帯主となって契約している場合は住居手当が支給されます。ただし上限が決まっており、月額最高で28,000円までです。
また、最低限支払うべき家賃の額も決まっており、月額16,000円以上の家賃を支払っている職員が対象となります。おそらく親族等から無料または極端に安い家賃で部屋を借りて住居手当を取得することを防止するためでしょう。
私も今の家に引っ越すまでは住居手当を取得していました。家を購入してしまうと、住宅ローンが始まるにもかかわらず、手当まで削減されることになります。10万円の家賃の家に住んでいても、実質72,000円で住めることになります。年間で考えると生活の足しとしては非常に大きいものです。この住居手当が原因で家の購入に踏み切れない職員もいると聞きました。
(4)代表的な諸手当の例外ー通勤手当
通勤手当も大部分の職員に支給される手当です。主に定期代に対して実費が払われる手当であり、月に55,000円まで支給があります。
例外としたのは、通勤手当は非課税の収入であり、税額を計算するときの総額に載ってこないためです。実際に払った定期代の額がちゃんと支払われるのみであるため、我が家でも家計簿をつける際に、収入欄や支出欄に通勤手当は掲載せずに、別建てで計上しています。
他にも、管理職手当や時間外手当、宿日直手当などがありますが、個人的にも取得していて、多くの職員が恩恵にあずかっている諸手当は上記のようなものではないかと思われます。
ちなみに、北海道庁さんは職員の諸手当の支給額を公表しており、それを見ても、扶養手当、住居手当が多いように思われます。
収入の部だと、配偶者と子ども2人を扶養しながら都市部の賃貸住宅に住んでいる行政職員の収入は以下のとおりです。(基本給30万円と仮定)
30万円(基本給)+3万円(地域手当)+2万6,500円(扶養手当)+2万8,000円(住居手当)=38万4,500円
月給38万4,500円が額面、つまりは税が引かれる前の給料となります。基本給に加えていくつもの手当が積み重なった額です。
ここから社会保険料と税がいくら引かれるかで、負担率が決まります。次回は控除されている部分を見ていくこととします。
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