虚-うつろ-
夏の終わりを告げる大雨。
透明度の高い夏の心象と、
呼吸をし続けた日々に。
幾重にも降り積もったさようならと、
戻らない時を綴った行間に。
絶え間なく降り注いだのは、雨。
繋いだ手の温度。
雨の匂い。
全てに許されたような気がした。
ずっと埋まらなかった懐古主義の解答欄。
引き算ばかりの毎日に、正しい答えは見つからなかったけど。だけど。
ゆっくりと時間をかけて、いつの間にか埋まっていた。
予測のつかぬ白紙の未来に、薄ぼんやりと色が灯っている。
傷をつけあった季節は終わったのだ。
全ては通り過ぎて、もう戻らない過去へ還っていく。
たくさんの言葉を、
情景を、
痛みを悲しみを連れて。
移ろっていく季節と、
虚ろな感情の色彩。
曖昧な自分は変わらないかもしれない。
それでも今、何が幸いか、誰を愛おしんでいるか私は感覚を失くさない。失くせない。
真綿に包んだ優しい夢のように、
あなたの心を大切にしよう。
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