猫との対話

マリコ 3. ミス・ツンデレ

先日夫と近くのネパールカレー店に行く道すがら、どこからともなく「ミャー‥」と言ってマリコが現れた。
いつものように悠然と近づいて来ると先ず私にご挨拶、次いで夫のズボンの裾にスリスリ。完全に私が女、夫は男だと認識しているのか、スリスリの角度と滞空時間が異なる。

普段一切の餌付けをしない私の夫も当然何も彼女にあげないことを察知し、一通りスリスリすると「あ、もう結構よ、行って下さって宜しいことよ。」とでも言うようにざっくりすっきりとマリコの方から距離を置いた。

近所でも不愛想なくせにスリスリ寄って来る猫だと評判のマリコは、冬の間は毎日大体決まった場所で太陽のあたる場所を点々と移動しながら日向ぼっこをするのが日課だったが、最近のこの暑さには耐えられないのか余り街中で姿を見掛けなくなった。

マリコが愛してやまないお立ち台にはこの春頃に生まれた別の仔猫たちがたむろをしており、時々そこにマリコがやって来て「シャーー!っ」と言って仔猫たちを追い払う(笑)。
と言ってもそこは公園。公共の場であり、何もマリコだけの縄張りでもなければマリコの為に設置されたお立ち台でもないのに、マリコひとりが「これはあたしのもの」と決めてかかっている。


今日の都下某所の14時辺りの最高気温は、おそらく33度から34度はあっただろう。途中買い物からの帰り道、偶然マリコと遭遇した。

マリコ:
── まったくこう暑いとなんにも食べる気もおきないわね‥。

と言いながら、近所の猫好きさんが(多分)置いて歩いているであろう猫缶らしきものをぼりぼり貪っている(笑)。

:
── なんだかんだ言いながらしっかり食べてるくせに‥。

とは口にしなかった筈なのに「それが何か?!」と言いキレ寸前の目で、マリコに思いっきり睨みつけられた。
いえいえ、お食事中に通り掛かって此方こそ大変失礼致しました <(_ _)>

一瞬だが「アイスクリームでも買って来なさいよ。」とマリコが私に伝えて来た気がしたが、そんな暇はなかった。直ぐに帰って練習がございますのよ‥。
全ての会話はテレパシーで静かに静かに交わされる為、多分私と猫が会話をしているなんて誰も気づいていないだろう。

気づいたとしてもきっと、誰も信じない。通りすがりのご老人が訝しげに私をじっと凝視している。
きっと気がふれた女性の独り言にでも遭遇したような気分だったことだろう。ご老人は市の公園のゲートボールのグループの輪の中に、そっと紛れて行った。



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