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トイレの神様

今日、私と全くの真逆人間にアルバイト先で出会った。

私→超がつくほどの雑破、適当、だいたい、なんとなく、それとなくが好きな言葉。
彼→ひたむき、真摯、手を一切抜かない(手の抜き方を知らないのか。)

私にとっての「完了」を彼は「完璧」へと塗り替える。それもあっさり、オセロのように。
その華麗さに私は惚れた。
ずっと見ていたくなる職人のような手つき。頼もしい背中。そう、今私の目線の先は大便の詰まりをラバーカップ(通称スッポン)で押し引きされている、茶色い水がタプタプの便器。

 そういや、トイレの詰まり直したことない、あのスッポンどう使うんだ、どういう原理でまた水が元通りに戻るんだ、、、急いで応援を要請した。
御歳22で恥ずかしくなった。
こんなことも知らないのか、小学校のトイレにすらあったのに。なんとも情けない。
新しいバイトだなど一切関係なく、無力でただ立ち尽くすことしか出来ない自分が惨めだった。

他の仕事をしていたのにも関わらず、後輩くんが呼びに行くと彼はすぐさま駆けつけた。
「そこよく詰まるんすよねー、僕がやります、任せてください」「コツがあるんすよね〜」とすっぽんを動かす手の動き。

バイト歴2年。その経験を物語る手捌き

今回の便器はかなりの強敵だったようだが、水が流れた後の彼の顔は「爽快✨」からの眩しい笑顔。

私→やっと流れた、すごい、終了、「はい、帰ろう」
彼→疲れた、ここからだ

バイト終了時刻を1時間以上過ぎているのにも関わらず、その便器をまるで自分の大事なコレクションを磨いているかのごとく念入りにピカピカにした。

+アルファが自然とできる人間はとてつもなくカッコいい。
私もまず「あと1cm」のところからプラス人間へと近づきたい。

そして1日でも早く北極人と南極人が地球縦断して再開できる日を待ち侘びて。



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