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今日の気分はこの曲


Vol.28「君は天然色」大滝詠一

1981年3月21日、同時発表されたアルバム「A LONG VACATION」と共に、

日本最高のポップソングとして有名な曲です。

ハッキリ言って説明不要の名曲。

名曲という言葉はこの曲の為にある、と断言出来る曲です。

作曲して歌も歌っているのは、大滝詠一。

作詞は日本最高の作詞家である松本隆です。

名コンビの二人の出会いは、1969年9月。

お互いの旧知であった細野晴臣の新バンドに誘われたからでした。

そのバンドの名前は、ヴァレンタイン・ブルー

メンバーは細野がボーカル&ベース、大滝がボーカル&ギター、

松本がドラム&パーカッション、ボーカル&ギターに鈴木茂。

翌1970年3月にバンドの名前をはっぴいえんどに改め

8月5日にアルバム「はっぴいえんど」でデビュー。

このアルバムは初めて「日本語のロック」に取り組んだアルバムでした。

そして第2回全日本フォークジャンボリーに出演したり、

当時フォークの神様と言われていた岡林信康さんとのツアーの後、

1971年11月20日にアルバム「風街ろまん」を発表しました。

このアルバムには名曲「風をあつめて」が収録されてました。

「風をあつめて」も名曲で、数多くのカバーが世に出ています。

矢野顕子によるカバーや、

Little Glee Monsterによるカバー、

変わったところでは俳優の窪田正孝によるカバーなんてのもあります。

その後グループは実質上の解散状態になり、

アルバム「HAPPY END」をアメリカで録音し1972年12月31日に解散。

翌1973年2月25日に「HAPPY END」は発表されたのでした。

はっぴいえんど解散後、二人の道は分かれます。

大滝はプロデューサー業やCMソング等を手掛け、

松本は「木綿のハンカチーフ」等作詞家として地位を築きます。

その二人が再び手を組んだのは、1980年。

大滝がCBSソニーに移籍してアルバムを制作する事となり、

盟友の松本に作詞を依頼したのでした。

発売日も大滝の誕生日である7月28日に決まりましたが、

大きな問題が起こりました。

松本の妹が亡くなったのです。

ショックでスランプになった松本は詞が書けなくなり、

降板を大滝に申し入れます。

大滝は「君の詞でないとだめだから待つ」と言って、発表を延期しました。

結局1981年3月21日、

アルバム「A LONG VACATION」と同時発表されました。


この曲は別れた恋人の事を想う曲のように見えますが、

実は違うんです。

松本が亡き妹の事を想った曲なんです。

「想い出はモノクローム」というフレーズは、

妹を亡くしたどん底の精神状態で見た街の色だそうです。

とは言え暗さを微塵も感じさせないのは、

二人の才能が合わさった結果でしょうね。


カバーですが二人の盟友であり、

オリジナルにも参加していた鈴木茂によるカバー。

ボーカルも良いのですが、最高なのはギターソロ。

オリジナルで弾いてるご本人なのだから、当たり前なのですが。

変わったカバーですが、東北新幹線水沢江刺駅の発車メロディー。

何故この駅の発車メロディーがこの曲なのかと言えば、

この駅が大滝の出身地である岩手県奥州市に存在しているからなんです。

駅は1985年3月14日に開業したのですが、

発車メロディーはこの曲ではありませんでした。

しかし2019年に地元の方々によって設立された団体が、

発車メロディーへ採用の署名運動を始まました。

努力は実り、2020年10月1日から発車メロディーがこの曲になりました。

次はカバーのようでカバーでない、不思議なカバー。

大滝のボーカル以外をカバーしたカバーなんです。

しかもオリジナルに参加したメンバーを中心としたメンバーによるもの。

ギターの鈴木茂がその象徴です。

本来ならステージの中心に大滝がいるべきだったと思います。

しかし彼は2013年12月30日にこの世を去っています。

演奏するミュージシャン達が、大滝への想いを込めてるように思います。


という訳で大滝詠一の名曲、「君は天然色」についてでした。



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