映画 ”機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ”レビュー

今日は、日記テイストで。
映画 "機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ"
を見たので、そのレビューを書きたいと思います。

結構前から上映されてたんだけど、予定つかず観にいけてなかったのを、ようやっと観に行くことができました!
僕が生まれる約1年前、1989〜90年にかけて初版が刊行された、小説 "機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ"が約30年越しに映像化。
この情報が解禁されたとき、全てのガンダムファンが期待に胸を膨らませたであろう、待望の作品。
ついに、ついに、観ました!

結論から申しますと、今回、かなりの秀作だったと思います。

何がよかったって、個人的には
以下の3つ

・最新の作画、CG技術を用いた抜群の迫力と繊細な映像美
・本作の世界観を表現しきった、サウンドと色彩、人物表情などの細かい演出
・機動戦士ガンダム作品全体への国語の理解と随所に散りばめられた演出

上記についてはこの後、解説しながら個人的な感想として、同時期に放映された庵野さんの”シン・エヴァンゲリオン劇場版:ΙΙ”とも少し比較しつつ、かつ総評も含めて、感想を述べていきます。
久しぶりにめちゃめちゃしゃべります(笑)

最新の作画、CG技術を用いた抜群の迫力と繊細な映像美

まず語りたいのはこれ↑
ほんとにすごかった。
まず、キャラデザはこれまでのガンダムシリーズの作画を踏襲しつつ、かなり大人向けのしっとりとしたデザインに仕上がってました。
これまでの子ども向けの絵柄からうってかわって、みんな高身長ですらっと大人びた感じ。まぁ登場人物の年齢が年齢(主人公:ハサウェイも25歳だからね、もっとかわいらしかったのに、、、)だから、妥当っちゃ妥当なんだけど。

メカニックについては、文句なし。てかぶっちゃけ、出てくるモビルスーツ(以下MS)の全体感を映すシーンなんかすごい省かれててよくわからず。。。(笑)
正直、見ていてもロボットアニメ感は皆無。よりドラマチックなヒューマンドラマテイスト。もともとごちゃごちゃしたMSが多い作品だからこそこの踏ん切りはよいと思いました。ただ、MSについてはほぼすべてCGで作成されていて、これまでのガンダム作品と迫力が違いましたね。

そんな中で特に目を見張ったのは、MSの戦闘シーン。
まずは、中盤の主人公とヒロインが逃げ惑うシーン。あの戦闘シーンは、何カット、複数の視点で構成されていて、空中から、地上から、そしてコクピットから、戦場でのあらゆるカットをちりばめて構成されてました。ガンダムUC,NTまでではあまり見られなかった超近接での地上視点は臨場感はやばめ。あれだけで500円くらいの価値あり。

次にラストのガンダムVSガンダムの戦闘シーン。これまでに見たことのない構図がたくさんで、正直目が回った(笑)ミノフスキー・フライト・ユニットっていうマニアックな設定のあるMSだったからこそ、これまでに見たことのない空中戦闘、どちらかというと人型の戦いというよりも戦闘機同士の飛行合戦みたいな構図がガンダムで見れたのはこの作品だけかもしれない。
MSの設定まで忠実に飲み込んで、構図に落としている戦闘シーンはさすがの一言です。あと戦闘シーンで目を見張ったのはエフェクトの進化かな。
これまでのエフェクトって全部ガンダムでは作画が主だったように思うんだけど、今回はすべてCGになってたんじゃないかな。エフェクトの進化によって戦闘の迫力が、ガンダムUC,NT時代からさらに飛躍しているのがわかります。ぜひ見比べてほしい。

そんな、戦闘シーンもさることながら、実は目を見張るのが、コックピットから移る景色の繊細さというものたるや。あの全天周モニターの完成度はまじですごい。あれも、作図とCG合成してできてるらしく、本物かと見間違うほどにリアル。植物や背景にも決して手を抜いていないかなりリアルな情景、日常を描いていたように思います。

色んな撮影手法だったり、構図の出し方だったり技術力や映像のインパクトっていう観点でいうと、”シン・エヴァンゲリオン劇場版:ΙΙ”も見事なものでした。ついこないだ見たばかりなので、こっちも衝撃だったんですけど、シン・エヴァンゲリオンは庵野さんのやりたいこと全部詰め込んだおもちゃ箱、ど派手~やべ~!!って感じたんだけどあんまり整理されてなくて勢いバーン!みたいな印象でした。閃光のハサウェイはどちらかというと抜き差しがちゃんと戦略的に行われてて、見せたいものを適切に作画、CG分けて、適切にエフェクトつけて行っている感じがすごく見やすかったし、完成度たっかって思いました。良し悪しはあると思うのでどっちがいいとかではないですが、どっちもみたら言いたいことは伝わるはず(笑)

本作の世界観を表現しきった、人物表情などの細かい演出、色彩とサウンド

続いてはこちら↑
本作は、優美で大人びていて繊細でダークな世界観。というのも今回の主人公はUCと違ってとにかくメンヘラな陰気なやつなんですよね。理由はこれからの2作品と映画”機動戦士ガンダム 逆襲のシャア”を見たらわかる(笑)
なのに、本作のヒロインはガンダムらしくない、ほんとにきれいなかわいいヒロインだった。この対比が今回の作品にはすごく反映されていて、3部作通してこの世界観でいくんだろうなぁと思いました。

特に個人的に印象深いのは、とにかくキャラの表情による心理描写がたまらん。ヒロインが終始かわいい。とにかくかわいい。主人公が邪険に扱った時の表情、しぐさ、楽しそうに笑った顔、不思議な笑み、逆シャアヒロインを彷彿とさせる抱える矛盾とお転婆さ。それに振り回される主人公とその取り巻き。
そして常に葛藤と無念を抱える主人公の表情。なりたかった姿、なれなかった自分、羨望と絶望と諦めと悪あがき。なりたくなかった大人である自分。っくぅーーー、わかるぜ、わかるよ(笑)
そんな彼が見せる仲間の下に戻った時の安堵と無垢さの残るまだあどけない少年のような人間らしい表情、しびれたね。あの顔は。

一応、ガンダムの代名詞ともいうべき、3各関係もしっかり原作通り盛り込まれていました。僕は個人的にケネス嫌いなんですけどね(笑)アムロとシャアほどではないにしろ、ハサウェイ、ケネスの対比とその間で自由に飛び回るギギの姿は、初見の人をさぞ、ドキハラさせたことでしょう。

色彩色調は全体的に暗めのトーンが多かったかなって思います。夜のシーンが多かったっていうのもその理由の一つだと思うんだけど、でもそのダークブルーもすごく綺麗でした。一方で、日中のヒロインとの触れ合いのシーンはすごく可憐で優美に演出されていました。本作はかなりヒロインがヒロインらしいのに対し、主人公がかなり陰気なやつだからそれぞれの陽と陰の交錯とその優美で可憐な感じが演出されていたと思います。そのギャップもまた、たまらなく良かったですね。全体的に、暗く、淡い、一時の夢のようなはかなさを持つ世界に仕上がっていて肌がピリピリしました。

そして楽曲。出て来過ぎずさりげなく、でも世界観を演出していました。
さすがの澤野氏。しかもこれまでのガンダムUC,NTとは世界観を異していて、これまではどちらかというと、雄大さとかスケールの大きさ、ガンダムシリーズを丸ごと包んでさらに心に響いてきてしまうような印象深い楽曲だったように思います。しかし、今回は、本作の世界観をよく理解していて、優美で可憐な、大人びた雰囲気のある楽曲にすべて昇華されていて本当に見ていて邪魔しないというかちゃんとドラマを見せてくれる背景に徹されていて。いや澤野氏まじですごい。
ガンダム作品とかロボット作品とかと相性すごくいいんだろうな、こないだやってたテレビアニメ86エンディングとかも素敵すぎたもんね。

総じて、今回の原作である小説 ”機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ”を国語としてもビジュアルとしてもよく練りこまれた構成になっていたなぁと思います。キャラ立ち~色彩演出~楽曲まで、すべてがこの物語のコンセプトに沿った作りになっていて、見ていて爽快かつまとまりがありました。

機動戦士ガンダム作品全体への国語の理解と随所に散りばめられた演出

最後に、ガンダムファンとしては語らずにはいられない、登場人物それぞれの背景と、他作品からの伏線について。これは今回本当に秀逸でした。これを一番言いたいかもしれない(笑)。
前段でも語りましたけど、本作の主人公は、前作の”機動戦士ガンダム 逆襲のシャア”という作品に出てきたキャラクターの後日談になっています。つまり、主人公には過去の設定があるわけです。その設定をよく読み込み理解されていて、本作の要所で必ず、前作のヒロインが登場します。また、ガンダムUCでひとまず完結した、ニュータイプという概念じみた設定も引き継いでいてそこに至る伏線まであり、ガンダムファンとしては興奮を覚えずにはいられない演出多。ことあるごとに主人公に感情移入してしまい、見ていて気持ちの切り替え大変でしたよ(笑)
みんなもそうだと思うけど、個人的に一番、きたのはギギがハサウェイのもとからケネスのもとへ駆け寄るシーン。あのシーンはしんどかったぶっちゃけ。もう、あー、うんっていう。悲しみであふれたよ、僕は(笑)
テロリストとしての葛藤のシーンとか、本当に、なりたい姿とのギャップ、わかってるよ。。。っていうハサウェイの気持ちには同情の念を抱かずにいられない。

ただ今回すごいなと思ったのはそこではなく、ガンダムファンを喜ばせつつも初見さんを置いてかないさりげなさだと思います。よく、過去作品の情報を連れまわすと、初見さんが置いてきぼりになりがちで、予習復習大事みたいになっちゃうところを、今回はそんなに違和感なく、3人のドラマという構成で見切れてしまうことがとてもよかったです。ガンダムUCやNTは前作の情報を踏襲しすぎてしまう部分があったのですが、今回はそれがなかったとともに、ストーリー自体があまり前作の情報を引っ張っていないことが功を奏したのだと思います。
ガンダムファンはもちろん楽しめるがガンダムを知らない人でも、一つの映画として楽しめるストーリーになっていたことは、これから先、ガンダムファンがこれをきっかけに、他作品にも手を伸ばしていくきっかけになればいいなと思います。

これまた、個人的な意見ですが、
今回、本作でガンダムを初めて観たよーという方は以下の感じでガンダム作品見ていくとよいかもしれません。。。(超個人的な意見ですが)

閃光のハサウェイ ➡ 逆襲のシャア
➡ ガンダム ➡ ガンダムZ ( ➡ ガンダムZZ )
➡ ガンダムUC ( ➡ ガンダムNT )

ここまでみて面白かったらこれも面白いです。
・ガンダムF91 ・Gのレコンギスタ

総評

総評としては、初めに書いた通り、本作はかなりの秀作、完成度が高かったと思います。まだ、あと2部作残ってますから、それも見切ってというのはわかっていますが、本作だけでもかなりの見ごたえがあり、いいもん見たー!!と思います。サンライズの至宝、ガンダムこれからも楽しんで観たいと思いました!!

途中でも少し述べましたが、”シン・エヴァンゲリオン劇場版:ΙΙ”もかなりの傑作だったと思います。庵野監督の頭の中すべてひっくり返し、メッセージ性、ストーリー性、映像のインパクトで魅了したシンエヴァンゲリオン、
サンライズが大事に育ててきた歴史あるガンダムシリーズかつ、原作を忠実に再現しきった完成度の高い秀作。比べる土俵は同じではありませんが、どちらの作品にもお互いに引けを取らない魅力があったと思います。
個人的には、やはり歴史と人物への深みのあるガンダムのほうが好きなのですが、映像作品という観点において、この時期にこの2作を見ることができたのは非常にうれしかったですね。
今の子どもたちは、多感な時期にこんなものを当たり前に見れるのだから、すんごいうらやましい。ほんとに。

観終わった感想としては以上です。もし、観たよーって人がいたら、コメントでもなんでも書き込んでレビュー討議しましょう!(笑)
いかんせん、一人で観たもので意見交換できる人おらず、寂しさが募るばかりなので(笑)

完全に余談ではあるのですが、、、
今回、閃光のハサウェイを上映するにあたり、一ファンとしてすごくうれしかったことを覚えていますし、見た後も興奮冷めやらぬまま、この記事を書きなぐっているわけですが、個人的には商材としての本作の価値の高さも併せて感じるところがありました。

もともと閃光のハサウェイは1990年頃に放映された”逆襲のシャア”の続編として小説にて刊行されました。当時、それ以降のガンダムを引き継ぐ展開として、ガンダムとは違う新しいデザインのロボットがシリーズ化されようとしていたらしい。その新しいデザインのロボットの前身となったのが、本作のMSであるクスィガンダムなのですが、今回の映像化を見て、改めてそれを思い知りました。これまでのガンダム、これから先のガンダムのどれとも違うメカニックデザインはやはりガンダムとはいいがたい側面を感じてしまいます。閃光のハサウェイは物語としてもガンダムの後続作品としても正当な、富野監督原作の作品ですし、ガンダムであることに異論はありませんが、当時その行く末は今の結果とは違った未来だったと思います。そんな作品を30年ぶりに引っ張り出してきて、映像化して、その先の作品も作りますよって、ちょっと、ちょっとだけ、商材として扱われる側面を感じて寂しい気持ちを感じちゃったりしました。ある意味このガンダムだけは前後文脈を取りづらい難しい立ち位置にいるよなぁと思っています。
歴史が長い作品で皆に愛される作品だからこそ、こういった作品世界にとどまらない、現実社会の流れなどを作品それ自体に投影できてしまう。
純粋に作品を楽しみながら、作品は創られた商材であるといった側面も同時に感じることができてしまう。こんな複雑な気持ちになる作品僕はほかにあんまり見たことない(笑)

原作者である富野監督の渾身の力作、”Gのレコンギスタ”も現在3部作が公開間近。作画、構図、セリフなんかは昔ながらのガンダム的なつかしさがあったり、これからの時代を生きる若者に向けたメッセージ性なるものを感じることができる、良作になっているので、ぜひこちらも見てみてください!

めっちゃ書いた~~。
最後まで読んでくれた方がもしいたらそれはとてもうれしいです(笑)
取り留めもない、べた書きですが、書いてて楽しかったのでよしとします。

ありがとうございました。

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