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北斎と広重展に行ってきた。

浮世絵を初めて見たのは数年前に行った大阪市美術館である。
浮世絵とは一言で言えば「江戸時代の風俗画」である。葛飾北斎と歌川広重は言わずと知れた有名人だが、2人の職業を今時の言葉でいえば「イラストレーター」であろう。

しかも超人気イラストレーターだ。浮世絵は風俗画であるため、庶民の娯楽として親しまれていた。ニュースや伝記、エンタメや風刺を浮世絵に描き、庶民がそれらを気軽に手に入れることで楽しんだりその時代の情報を得たりしていた。だから北斎と広重は画家というよりは、エンタメ性に優れたイラストレーターと言った方がしっくりくる。

浮世絵は2種類に分けられる。絵師直筆で一点ものである肉筆浮世絵と、下絵をもとに彫り師と刷り師が作成する浮世絵版画の2種類だ。今回の展覧会にある有名な作品のほとんどが浮世絵版画であったが、数点は肉筆版画もあった。同じ作品でも肉筆と版画では差があるらしい。いつか有名な作品を比べてみたい。


個人的な感想だが、北斎は天才だ。広重は晩年の作品が奥深い。

撮影OKな展覧会でした


なんというか、目を奪われる。

富岳三十六景は全部で46作品あり、富士山が奥に描かれている。手前の景色と奥の富士山に奥行きがあり、その間の空白がなんとも良い感じだ。

歌川広重は個人的には晩年の雨を書いた作品が好きだった。広重は北斎よりも色彩豊かな絵が多い。好き好みあると思うが、線だけではなく色で人を楽しませる事を考えていたのであろう。

広重は色彩豊か。

しかし私はもっと暗い広重の絵が好きだった。有名な雨の絵だ。

 ゲリラ豪雨


急いでいる感じが良い。

広重の雨の絵は色合いが絶妙だと思う。
個人的な話だが、私は色弱だ。見えない色がある。昔から鮮やかな絵よりも、少し暗い絵の方が落ち着くのだ。浮世絵は線を強調しているものが多いから、西洋画よりもある意味分かりやすくて優しい気がする。

上の雨の絵なんてほとんどが線だ。こうやって見てみると、日本の浮世絵は線画が絶妙で今の漫画に通ずるものがある。漫画も線画で表現するが、もしかしたら昔から日本人は「線」に対する感性が鋭いのかもしれない。

まぁともかく、楽しい展覧会だった。

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