夜明けの境界線:駒場にて

駒場、かつての私の居場所である東京大学のキャンパス。あの頃は、学問の殿堂として知られるこの場所で、若き日々を過ごしていた。しかし、時代は移り変わり、かつてとは違う雰囲気が漂っている。もちろん、三島由紀夫が全共闘を討論を繰り広げた900番教室は、もう無い。

深夜、私はある種のボランティア活動のためにキャンパスに戻っていた。現役の助教たちと共に、夜間当直を担当していた。彼らは、私と同じように立場が不安定で、未来に対する期待と不安が入り混じった瞳をしていた。

当直署は、ガラス張りのモダンな建物だった。外を見ると、援助交際をしている女子高生たちが、ゾンビのように徘徊していた。彼女たちの視線は虚ろで、かつての私たちのような希望に満ちていなかった。

助教たちとの会話の中で、私はつい駒場の人事が不透明であることをぼやいてしまった。また、「駒場は渋谷に飲み込まれるかもしれない」と発言してしまう。これらの言葉は、私が感じていた不安や変化への恐れを表していた。

奇妙な受容感覚が私の心に芽生え始める。一方で、これを受け入れてはいけないのではという意識が強く働いていた。私は、かつての駒場と、現在の駒場との間に立ち往生していた。

夜が更けるにつれて、助教たちとの会話が深まり、私たちは互いの不安や夢を語り合った。私たちが抱える問題は、時代を超えて共通していた。そして、夜明けが近づくにつれて、それぞれが自分の道を歩む決意を固めていく。

夜明け、太陽が昇ると共に、ゾンビのように徘徊していた女子高生たちも姿を消していった。新しい朝が始まり、私たちは変化に立ち向かう覚悟を決めた。

私は、過去と現在、そして未来の境界線上で、自分の存在と向き合うことができた。駒場は変わってしまったかもしれないが、私たちが抱える不安や期待は変わらない。その事実を受け入れ、私たちは前進することを決意した。

私たちの人生は、まるで夜明けのように、光と闇が交差する境界線上で進んでいく。私たちは、過去の愛着と現在の現実の間で揺れ動くことで、自分自身を見つめ直す機会を得る。

ボランティア活動が終わり、私たちはキャンパスを後にした。駒場は、私たちの心の中に残る、かけがえのない思い出となる。そして、私たちはこの経験を糧に、それぞれの道を歩み始める。

夜明けの境界線上で、私たちは新たな一歩を踏み出した。そして、過去の愛着と現在の現実を受け入れ、未来へと向かって進んでいく。駒場という場所は、私たちの成長と変化の象徴となり、永遠に心に刻まれるだろう。

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