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仕事を始めてから父を尊敬した | 週末エッセイ

僕の両親は教師で、父は今校長になっている。
子供の頃から父のことは嫌いで、とにかく反発してきた。

お小遣いもくれない
ゲームも買ってくれない
マナーに厳しい

いつも口うるさくて、大人になればわかるとか、勝手に僕のことを評価してここができてないとか、嫌いで仕方なかった。

その教育の仕方が正しいかどうかはわからない。
しかし、大学生になり、インターンをしたり、事業で人と関わっていくたびに、僕は父を尊敬するようになっていた。

地道な努力を継続すること

僕の父は昔から、

「継続しないと意味がない。」

とずっと僕に言っていた。

根が飽き性な僕は、そんな言葉嫌いで、小学校時代は5つの習い事をやってはやめてを繰り返した。唯一長く続いたのは、水泳を8年間やったことくらいだ。

父は継続することが得意なのか、やると決めたことをずっとやる。
50歳を過ぎてからスイミングスクールに通いだし、家事の分担で料理をすることになってからはいろんな料理を工夫したり、もちろん仕事のこともだ。

そんな父の背中を見つつも、やりたいことがたくさんあった僕は、やってはやめるを繰り返していた。

そんな僕でも父の言っていることを信じたことはある。

それは
「自分が決めて始めたことを、まずは3ヶ月継続しなさい」
ということだ。

根拠はあまりわからない笑
しかし経験上3ヶ月の継続で飽きるかもっと続けたいと思うか、結果がでるか出ないかはたしかに変わってくる。

そんな経験を何度もした僕は、今でも決めたことは最低でも3ヶ月はやる。
週末エッセイも3ヶ月は続けようと思っている。

継続が大切なことは受験勉強で最初に知り、仕事でも当たり前のようになってくる。
50歳を過ぎてもそれを実践できることは凄いことだと思う。

学び続けること

インターンをしたり、事業を運営するようになってから、日曜日も勉強している父の姿をちゃんとみるようになった。

土曜日は仕事をして、日曜日は趣味のスポーツ観戦(テレビorスタジアム)、スイミングスクール、そして勉強だ。
何を勉強しているかはあまりわからないが、よく見るのは人の育て方や、会社経営の仕方だ。

それを知ってから家の書斎にある本棚を見たら、なんと沢山のビジネス書があった。
有名どころは

ビジョナリーカンパニー
ストーリーとしての競争戦略
GRIT

があった。
書斎には本が何百冊とあるため、全部は見れないが大量の本を読んでいることはたしかだ。
僕も本でインプットする習慣を3年前くらいから始めたが、あれだけたくさんの本を読む父は勉強熱心なことはすぐにわかる。

50代後半を迎えた父は今でも毎週日曜日は勉強をしている。
その姿勢には尊敬ももちろんあるが、負けられないという対抗心の方が強い笑

周りから吸収する向上心

僕は今スキンケアブランドでマーケティング職としてインターンをしている。
最近実家に帰り、父と話す機会があったとき、父はマーケティングとはどんな仕事なのかということを聞いてきた。

一通り僕が行なっている業務を話すと、父は今自分が頼まれている仕事の相談を僕にしてきたのだ。

今頼まれている仕事は、ある教科の教科書販売会社から、他社の教科書と比較をしての改善点が欲しいという内容のものだった。

父は「この比較をすることがなんの意味があるのか、どのように比較をすれば依頼主が求めていることに答えられるのか。」
がわからないと僕に打ち明けてきた。そして僕ならどのように捉え、どのように比較をするのかを教えてほしいと言ってきたのだ。

よく父と大学の話しや僕のインターンの話はしていたが、父が自分の仕事のアドバイスを求めることは初めてだった。

僕ならの意見を伝えつつ、ディスカッションを重ねていくと。父はマーケティングを少し学んでみたい。なにか基礎的な本はないかと言ってきた。

大学を卒業してから30年以上、教師として公務員をしていて、今では一学校の責任者を担っている父が、マーケティングを学んでみたいというのだ。

僕はとりあえず、森岡さんのUSJに関するを本が読みやすいと思うと伝えた。今月中には読むと言っていた。

そして父はこんなことを言っていた。

「校長をできるのはたかが10数年。でもやるからにはいい学校を作りたいんだ。校長先生は日々の業務に追われるため、新しいことを学び、よりよい学校作りをすることに時間を取れない。また教育面に関するディスカッションはするが、シナジーを起こせるのは他分野からの目線を入れることなんだ」

さりげなく言った言葉だったが、僕にはすごく突き刺さった。もちろん今の時代、シナジーを起こすために掛け算をすることはキャリアを選ぶとき、サービスを作るときは当たり前の考え方であろう。

しかし、学校の先生たちはそういうことに触れる数は少ない。まして50歳を過ぎた校長先生が20代前半の学生から

「シナジーを起こせる考え方を学びたい」

なんて言えるのだろうか。

僕はそんな働く姿勢をずっと尊敬している。

子供の頃とにかくウザくて、何度も喧嘩していた父と、仕事について真面目なディスカッションをするなんて想像もできなかった。

これは僕から父に歩み寄ったのではなく、父から僕に歩み寄ってきたのだと思う。

自分の仕事を成し遂げるために、そんなことを言える父を僕は尊敬している。

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