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【メールの書き方で分かる】「考えている人」と「思考停止している人」の決定的な違い

『頭のいい人が話す前に考えていること』著者・安達裕哉インタビュー

誰よりも多く営業メールを送っているのに、なかなか受注に繋がらない。クライアントの返信率が悪い。一方で、すぐに新しい案件を獲得し、どんどん売上を立てる人もいます。「頭のいい人」は、いったいどんなふうにメールを送っているのでしょう。「読み終わった後、この本に出会ってなかった人生を想像するとゾッとする」と話題沸騰中の書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者である安達裕哉さんは、「頭のいい人」と「そうでない人」のメールには決定的な違いがあるといいます。
今回は、コンサルで得た知見を凝縮し、だれでも「頭のいい人」になれる方法を記した一冊『頭のいい人が話す前に考えていること』の20万部突破を記念して、安達さんに特別インタビューを実施。
返信率の高いメールと、低いメールの決定的な差はいったい何でしょうか。安達さんに、くわしく教えていただこうと思います!(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)

安達裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。

メールの返信率を上げるたった1つのコツ

――コンサルタントとしてお客様とやりとりしたり、営業をしたりすることも多かったと思います。お客様からのメールの返信率を上げるために、工夫していたことはありますか?

安達裕哉(以下、安達):メールを書くとき、私が必ず気をつけているのは、「私はこちらのほうがいいと思ったのですが、あなたはどうですか?」という聞き方をすることです。

 つまり、自分の仮説や意見を必ず書くことです。

 すでにある程度進んでいる案件で、仕事の手順について確認したいときも、ただ「進めても大丈夫ですか?」と聞くのではなく、「以下1~4の手順で進めたいと思っています。問題ないでしょうか?」と、具体的な案を提示するようにしていました。

 このような書き方をすれば、クライアントも「3の手順には時間がかかりそうなので、4を先にやってください」「2は難しいので、別のやり方にしたいです」など、要望を簡潔に答えることができます。

 メールの書き方に悩んでいる人は、まずは、クライアントがじっくり考えないと返信できないようなメールを書いていないかどうか、自問自答してみるといいかもしれませんね。

 自分でアイデアを出し、言語化し、それをメールにまとめるのって、向こうにとっては大きなストレス。クライアントが「イエス」「ノー」しか判断しなくてもいいようなメールを心がけるといいと思います。

――「これ、返信するのに結構時間かかるな。書くこといっぱいあるな」と思うと、返信するのも億劫になりますもんね。

安達:そうなんです。メールを送るには、一度話をまとめて、言語化する必要があります。読み返してわかりづらいときには、書き直すこともありますよね。

 言葉を選ぶ、整理する、相手の反応を想像する、書き直す……などなど、「メールを返信する」という行為には、さまざまなコミュニケーションコストが内包されているのです。

――なるほど。コミュニケーションコスト、ですか。

安達:私は、誰かと話すときには、いつも「〇〇するコスト」を誰が払っているかを常に意識しています。

「言語化のコスト」をすすんで払う側に回ろう

安達:たとえば、「とりあえず打ち合わせしましょう!」と、具体的な打ち合わせ内容が決まっていないのにすぐに会議をしたがる人や、「とりあえず、相談しよう!」と、自分の考えを整理せずに、すぐに上司に相談したがる人がいますよね。自分一人でなんとかするより、話した方が早いし、いいアイデアも出やすいから、まず声をかけよう。そう思う気持ちもわかります。

 しかし、「話した方が早い」のは、「言語化する」というコミュニケーションにおいて最も労力のかかるプロセスを、話を聞いてくれる相手にも負担してもらっているからなんです。

 ぼんやりとした質問を投げかけられた側は、相手の話を整理し、考え、自分の中で意見をまとめ、「これこれこういう理由で、私はこの案がいいと思います」と言語化しなくてはなりません。

 自分ひとりで言語化する必要がない状態はとてもラクですし、効率よく仕事が進んだような気になりますが、言語化のコストを相手に支払ってもらっている限り、「頭のいい人」として認識されることはありません。

 頭のいい人は、総じて言語化能力が高いです。それは、言語化のコストを払う側にすすんで回ろうとすることで、日々のコミュニケーションの中で言語化能力が磨かれていくからなんです。また、言語化コストをこちらが負担することで、相手に「できる人だな」と思ってもらえます。

 営業メールも同じです。「イエス」「ノー」さえ伝えればOKのところまでこちらが整理しておき、さらに、「私はこちらのほうがいいと思ったのですが」と、自分の意見も付け足しておく。自分の意見や仮説、具体例を付け足すのも、言語化コストをこちらが支払う行為です。

 そこまでやっておけば、クライアントも少しの労力だけで決断できますから、その分、返信率も上がりますし、「この人は、私のことをちゃんと考えてくれてるな」と、信頼関係にもつながるはずです。


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全国の書店で1位続出!!「今年1位かも」「部下も上司も全員読んで」と大反響。

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「いま、流行りの自己啓発本かぁ」と思って手に取ったことを
反省したくなる程の内容でした。
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本書の内容

第1部 頭のいい人が話す前に考えていること ―「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則

 その1 頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間
 その2 頭のよさを決めるのは「だれ」だ?
 その3 なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイスできるのか?
 その4 頭のいい人は、論破しない
 その5 「話し方」だけうまくなるな
 その6 知識が「知性」に変わるとき
 その7 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる

第2部 一気に頭のいい人になれる思考の深め方 ―「知性」と「信頼」を同時にもたらす5つの思考法

 第1章 まずは、バカな話し方をやめる ――客観視」の思考法
 第2章 なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか? ――「整理」の思考法
 第3章 ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう ――「傾聴」の思考法
 第4章 深く聞く技術と教わる技術 ――「質問」の思考法
 第5章 最後に言葉にしてインパクトを残す ――「言語化」の思考法


【取り上げられた本】
頭のいい人が話す前に考えていること
 安達裕哉 著

<内容紹介>
どれだけ考えても、伝わらなければ意味がない。でも、話し方のスキルだけでは、人の心は動かせない。コンサルで叩き込まれたのは、人の心を動かす、思考の「質」の高め方でした。本書は「頭のいい人」が何をどう考えているかを明確にし、誰でも思考の質を高め、「頭のいい人」になれる方法を伝授します。