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8月19日 Entrepreneurial Judo 柔道戦略

8月19日月曜日になりました。お盆夏季休暇も終わり、今日からまたやっていきましょう。さて、今日の #ドラッカー365の金言 テキストは、柔道戦略。1985年の『 #イノベーションと起業家精神 』では、17章「手薄なところを攻撃すること」379〜390ページ

パリ五輪では、誤審が目立ち、悔しい結果となった柔道競技ですが、
起業家戦略でいうところの「柔道戦略」とは何か、というと、

日本通のドラッカー教授らしい定義である。優れた柔道選手は、対戦相手の長所や短所を徹底的に研究する。誰もが長所を武器に試合を組み立てるが、特定の長所に頼ることで、逆にどこかに脆さや空きが生じないかを探すのだ。

 同様に、市場のリーダー企業は高い確率で自社の長所に依存して商品・サービスの提供を続けるものと考える。同じ強みに頼り続ける傾向があるなら、今後の行動パターンも予測できるはずである。こうして、柔道と同じように市場リーダーの隙を見出し、そこを攻める戦略だ。

https://diamond.jp/articles/-/326201 より

 ソニーは最初のポータブル・トランジスタ・ラジオを世に出した。それは、真空管ラジオの重さの5分の1以下であり、値段も3分の1以下であった。こうしてそのまた3年後には、ソニーはアメリカの廉価ラジオの市場を完全に手に入れた。5年後、日本は世界中のラジオ市場を手に入れた。(中略)アメリカの家電メーカーは、(ソニーがラジオ市場に参入した)当時の職人の粋を集めたラジオを誇りとしていた。シリコン・チップのラジオなどは、下品とまでは言わないまでも低級な代物だと考えた。
 しかし、ソニーの成功が問題なのではない。日本のメーカーが、この同じ戦略を何度も繰り返し、しかも何度も成功し、何度もアメリカ人を驚かすに至ったことが問題なのである。日本は同じ戦略を、テレビ、デジタル時計、電卓で繰り返した。そして、コピー機に参入した時も、同じ戦略をとり、ゼロックス社から市場のかなりの部分を奪った。

同書 379ページより

市場リーダーの隙を突いた戦略を柔道戦略というようです。

ラジオの場合は、それまで市場を牛耳っていた真空管ラジオに対して新技術のトランジスタを採用して持ち運びできる小サイズ、しかも、廉価でのポータブルラジオを投入し、真空管ラジオ市場を壊滅的にしました。

面白いことに、エレクトリックギターのアンプ市場は、マーシャルなど令和の現在でも真空管アンプが市場を維持しています。ハードロックギタリストの間では、ジミヘンが登場した60年代後半以降、彼が多くのギタリストに影響を与えたこともあり、

ジミヘン

ヘビーなサウンドは真空管アンプからしか生まれないと50年過ぎた今でも信じられており、コンパクト化や電子化が進んだ音楽業界にあっても、一定以上のシェアを維持しています。
後継者を自認するリッチーブラックモア(元ディープ・パープル、レインボー)先生ももちろんマーシャルの真空管アンプです。

リッチー先生

ちなみに2016年のギターアンプ市場シェアは、以下の通り。

フェンダーからBoogieまで上位ブランドの多くがいまだに真空管アンプを取り扱っています。

ギターアンプ市場も、どこかのタイミングで、柔道戦略によって、半導体による廉価でありつつ、ヘビーサウンドを生み出すアジアの新ブランドに乗り換えられ、市場が一変する日が来そうな予感がします。

今日のテーマ:
#Entrepreneurial_Judo
#柔道戦略

今日の金言:
#柔道戦略はリーダーの地位にある者の隙を突く

今日のACTION POINT:
#競争相手の得意技を研究し相手が手を抜いているところに機会を見出してください

秋に向けて今日から再スタート!

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