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「緊急宣言!?でも休めないよ。生産者・流通、従業員、、、みんな繋がってるんだよ」。緊急宣言下、営業する飲食店が増加中。

11都府県に緊急事態宣言が発令され、営業時間の短縮を要請されている飲食店。だが、今回の自粛要請に対して「自粛では雇用も生産者も守れない」と営業を続ける動きが増えている

7日に発表された「飲食で19時までの飲食の提供、20時までの営業では事業の維持、雇用の維持は無理です」

というグローバルダイニング長谷川代表の意見と「弊社にはアルバイトを含め約2万人の従業員が働いていますが、これらの雇用の維持も難しくなります」と61店舗の閉鎖を決めた居酒屋・モンテローザ社の15日付けのプレスリリースは、飲食業界のみならずコロナ禍において、大きな衝撃となっています。

「みんなつながっている」と中小飲食店も

和牛専門店・門崎格之進(東京都)を経営する千葉さん(49)は、「和牛の流通量の低下を防ぐために、また、1ヶ月以上の時間をかけ最高の状態にした熟成肉を無駄にすることがないように」「和牛の生産や流通に携わる様々な方々のために」と緊急事態宣言下の期間中、高級焼肉セットや名物の「黄金ハンバーグ」など廉価販売する。 

 新宿の某居酒屋経営者(47)も「従業員だけじゃなく、酒屋さんやいろんな取引先だって助けなければいけない。昨日だって、業者が飲みに来てくれた。みんなつながってるんだから、営業するしかない」と営業を決めたという。

 また、魚料理と釜飯「魚信」(愛知県)を営む西田さん(53)は、「飲食店が時短や休業するとたくさんの生産者さん、漁業、酪農家さん、卸業者さんにとって死活問題。彼らには協力金が出ない。我々は多少なりとももらえるから、できる範囲で支え合いたい」と、生産者・流通業者さんのための「支援弁当」「支援 鰤しゃぶセット」「支援ふぐ刺しセット」を廉価で販売することにした。

「「店開けても赤字」だけど、僕らはつながってるから。お互い支え合い。助け合いなんだ」と西田さん。


経営者はエゴでしか動かないのか?

 経営者、といえば、社員や取引先を痛めつけても自分さえ良ければいい、と誤解されやすい。しかし、彼ら40〜50代の中小企業経営者達の実態は「自分さえ良ければいい」とは真逆の姿だ。

 2011年の東日本大震災でのボランティア体験、昨今の「脱・ブラック企業」経験など、己や同族のエゴを優先するのではなく、従業員、お客様、取引先、地域社会など関係する方々を大切にしている。

 わが国では、近世から近江商人は「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」経営を行なっていた。二宮尊徳は、天保の大飢饉時、各自が備蓄していた穀類を飢える近隣諸藩にも分けて、困った時はお互い様と支援した。富山の薬売りは「先用後利」(用いることを先とし、利益は後から)と、まずは人に役立つことを一義とし、末永い取引を目的に企業経営がなされてきた。

 こうした伝統的な日本経営の哲学が、このコロナ禍において、多くの飲食店に「自分だけが協力金を貰えばそれでいい」という考えでなく、苦しい時、仲間同士、協力し合って乗り越えることを重視する思考を育んできたのだろう。

 実はこの傾向は世界的な潮流だ。

 2019年8月、米経済団体ビジネス・ラウンドテーブルは、長年経営目的としてきた「株主第一主義」を廃止。従業員、お客様、取引先、地域社会など関係する方々を大切にする「ステークホルダー経営」に転換すると宣言した。

これを受けて昨年開催されたダボス会議のテーマも「ステークホルダー資本主義」。株主第一、利益優先の資本主義からの転換がテーマだった。

「みんなつながっているから」とコロナ禍、己のエゴではなく、利他で関係先同士、互いに助け合おうとする、わが国の中小飲食業のあり方は、これからの日本の進む方向を示唆しているのかもしれません。

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