科学技術より社会的イノベーション 8月7日 Social Innovation: The Research Lab 技術のための科学
#8月7日 水曜日の #ドラッカー365の金言 です。テキストオリジナルは、米国で1993年発刊された『The Ecological Vision』(日本語訳1994年『すでに起こった未来』)に含まれていた論文ですが、日本語版の『すでに起こった未来』には含まれておらず、米国より7年前の1986年発刊の『マネジメント・フロンディア』に「社会的イノベーションーマネジメントの新世界」(414〜416ページ)として書き下ろされていたという論文です。
この頃の80〜90年代のドラッカー論文については、E.P.Dutton社が編集したものとTruman Takkey Books社が編集したものとが混在していて、ダイヤモンド社が日本語版に翻訳する際に、「未来企業」とか「変貌する経営者の世界」などでも掲載論文を分けていたのかもしれません。
さて、本論文でドラッカーは、「今世紀における変化をもたらしたものとして科学技術を強調しすぎている。変化をもたらしたものとしては、「社会的イノベーション」の方が大きい」と、「社会的イノベーション」の例として5つを紹介しています。
(1)技術研究所
(2)ユーロダラーとCP(コマーシャルペーパー)
(3)大衆と大衆運動
(4)農業指導所
(5)体系としてのマネジメント
そして、かつては「社会的イノベーション」は、国家、政府、公的機関が担っていたけれど、これからは社会的イノベーションは、民間の仕事、経営者が担う仕事になると結論づけていました。今日はその(1)技術研究所 についての記載です。
今日のテーマ:
#Social_Innovation : (社会的イノベーション)
#The_Research_Lab (技術研究所)
#技術のための科学
今日の金言:
#企業研究所そのものが社会的イノベーションだった 。
今日のACTION POINT:
#市場志向の研究開発を推進してください 。
今日のような技術研究所の生みの親は、GE社のシュタインメッツ博士。
彼の新しい研究所の特質には、5つある。
企業の中に科学的、技術的な訓練を受けた独立の集団を作り、もっぱら科学的、技術的な仕事に専念させるというドイツの技術者ヘフナーーアルテネックの考え
期待する成果と、研究段階と、その順序を明確にするというエジソンの研究プロジェクトの考え方
研究員はチームで研究させることにした
技術者、物理学者、数学者、化学者、さらには生物学者など、専門分野の異なる人たちを1つのチームにまとめた
研究開発における科学と技術の関係を根本的に見直し、プロジェクトの目標を設定する際には、所定の技術成果を達成する上で必要な基礎科学を明確にし、その上で必要な新しい知識を手に入れるための純粋研究を組織した。
彼のイノベーションは、やがて「壁のない研究所」=テーマに対して、幅広い分野の専門家を結集して取り組むプロジェクト型の研究へと受け継がれていったという。小児麻痺撲滅のためのプロジェクト、レーダー研究、マンハッタン計画、人類を月に送るアポロ計画などは、この「壁のない研究所」の方式で、社会課題の解決に組織されてきた、とのこと。
つい先日、某企業のイノベーション事業計画に携わったのですが、その企業では、事業計画を立てるのは管理部門の数名の中間管理職だけで立案し、それを上席が承認する、という体制で行なってきたわけです。
ところが、それによって、お客先の営業現場と管理部門の計画とが乖離しており、文字通り「計画倒れ」で、実績も伸び悩んでいる、という現状でした。
今回の計画では、お客様と常に接して、お客様の意見を取り入れ、柔軟に対応している営業の最前線で対話しているスタッフと外部の協力企業を巻き込んで、少し「壁のない」方式を取り入れてみたところ、これまでになかったユニークなアイデアが多数生まれてきた、と言います。
技術者、科学者だけで構成された「閉じた」組織よりも「壁のない研究所」というオープンでフラットな組織の効用を感じた次第です。
8月となり、すでに来期あるいは長期視点に置いた計画立案が始まる時期と思いますが、未来ビジョンに近づくための計画や活動が行われているか、という視点も必要に感じます。
東証の株価乱高下に一喜一憂しつつも、一喜一憂せず、達観しながら、未来構築のために日々の活動をする、そうありたいものです。
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