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#2 プロ野球独立リーグ トレーナー 1シーズン目を終えて⚾️

こんにちは!
今回は、BCリーグ球団のトレーナーとして1シーズン目を終えて感じたことを、ATの役割に当てはめながら、まとめさせていただきます。
独立リーグのトレーナーに興味のある方、これから野球の現場で活動したいと考えている方などに参考になれば幸いです。

独立リーグ年間スケジュール

1月・2月 自主トレ
  既存の選手や新規の選手が帰省や引っ越しなどを終えて、少しずつ合流し、練習グランドで各自練習。
3月 合同自主トレ、キャンプ、オープン戦
  キャンプは練習グランドで行い、オープン戦を数試合程度開催。
4月 シーズン開幕
  NPB交流戦などを含めた公式戦63試合を実施。
9月 プレーオフ、シーズン閉幕
  BCリーグは、各地区の上位2チーム同士で地区代表決定戦を実施後、各地区の代表チームでBCリーグチャンピオンを決定する。そして各リーグの優勝チームが集い、独立リーグの日本一を決定する。
10月 日本独立リーググランドチャンピオンシップ、
   NPBドラフト会議、フェニックスリーグ
11月 合同トライアウトの開催

トレーナーの役割

  1. スポーツ外傷・障害の予防

  2. 救急処置

  3. リコンディショニング

  4. 予防とコンディショニング

  5. 検査・測定と評価

  6. 健康管理と組織運営

  7. 教育的指導

  8. マネージャーとしての役割

1. スポーツ外傷・障害の予防

キャンプイン時に既往歴や現病歴を聴取し、現状の把握を行いました。選手の些細な変化にも気づけるように、日々選手とのコミュニケーションをとることや動作などを観察することを心がけました。またシーズンを通してウォーミングアップの中に、チームの最大公約数となるものを取り入れ、ケガの予防に取り組みました。
ウォーミングアップについては、雰囲気づくりや全体をコーチングしていく中で、課題の多く残るシーズンでした。

2.救急処置

練習中や試合中に外傷などが発生した場合は、現場ATが評価を行い必要な処置を行います。試合中のアクシデントの対応には3分間しかないため、限られた時間の中で評価と処置を行いました。

野球はラクロスやラグビーと違い、コンタクトが少ないので、急性外傷は多くはありませんが、発生した際は重症度の高い場合があるので初期対応の重要性を感じました。

試合中にスコアの記入も行いながら試合を見ていることが多く、アクシデントへの対応が遅れることもあったので、仕組みを改善して試合中は救護に専念できるようにしていきたいです。

ケガの処理のあと必要に応じて近隣の病院やスポンサー様である整形外科へ連絡して、診察をしてもらいました。

近年ではワンタップスポーツなどの便利なツールもありますが、資金的な面もありLINEやワンドライブなどを活用して選手の状態などをトレーナー同士で共有を行いました。

トレーナーが3名いますが、連携がうまく取れなかったこともあったので、その辺りを情報共有していくことの大切さを痛感しました。

試合中の救急対応

3. リコンディショニング

ケガで離脱している選手や制限が必要な選手のリコンディショニングを帯同トレーナーが実施します。整形外科やかかりつけのトレーナーさんに指導されていることや選手の要望なども確認しながら実践しました。

リハビリのプログラムの責任者として、その日の現場帯同のトレーナーとプログラムデザインや復帰時期に合わせてリコンディショニングを進めていきました。

シーズン序盤では、離脱してから復帰を目指すケースが多かったですが、終盤にかけて主力選手などはいかに離脱をさせることなくプレーを続行できるか、というところにトレーナーとしてのやりがいを感じました。

4. 予防とコンディショニング

シーズン63試合を戦っていく上で、最も重要な部分が予防とコンディショニングであったと思います。

体の調子や成績の浮き沈みや、その日によっても状態が変わってくるため、いかに選手自身が自分で自分の体の状態を把握して取り組んでいくかが大切であると思います。

特にBCリーグにおいてはバスでの移動が多く、バスでの移動が4時間になる時もあるため、腰痛の予防対策などが重要になってきます。

投手においては、先発と中継ぎや試合のスケジュール、選手それぞれのルーティーンなどもあるので、ランニングプログラムを個別で作成していきます。
またMB補強や体幹補強なども作成して毎日実施しました。

走行距離の合計や投球の有無なども記録を残しました。

野手は試合時は短い距離のスプリントやアジリティーなどを実施し、打撃練習前には、腹筋肉離れや打撃前のプレップドリルとしてMBスローなどを実践しました。

また練習や試合後に球団の接骨院にて、選手のコンディショニングを手技や物理療法、エクササイズなどで行いました。

連戦の疲れやプレッシャーなどで自律神経の振り子が傾いている選手、緊張パターンや左右非対称性の制御ができていない選手が多くいました。

コンディショニング維持や障害予防のためには、抑制を行う習慣が必要だと感じました。

PECとBBCの抑制をして、リポジションを行う

5.検査・測定と評価

病院と連携したメディカルチェックなどは実施しておりませんが、ケガや痛みのある場合は全身の評価を行い、その状態をトレーナーで共有します。

測定としては、10mの反応スプリント、20mスプリント、MB直上スローなどパフォーマンスに繋がる項目の測定を試合前や練習中に取り入れ、選手にフィードバックしていくことで、選手のモチベーションやコンディションの把握として活用することができました。

このような測定は、シーズンが進むにつれ、こちらから声をかけなくても測定を依頼してくる選手が増えました。

6.健康管理と組織運営

健康管理については、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染予防のため試合前は必ず体温測定を行い、発熱のある選手は帯同しないように対応しました。

一人暮らしであったり、金銭的なところで余裕のないことが多いので、栄養管理や生活リズムの指導などはなかなか行き届かない部分でした。

その日の体温を記録する

7. 教育的指導

このレベルの選手たちでも、SNSなどの発達で情報の取捨選択がうまくできていない選手やあまりコンディショニングについて、自分で実践できない選手などもいるので、非常に重要であると感じました。

特にチームが始動するキャンプインの段階からこの辺りを徹底していくことが、1年間戦い抜くためにも実践していく必要があると感じました。

8.マネージャーとしての役割

球団と現場の橋渡し役としてマネージャーの仕事もありましたが、全体スケジュールの確認などトレーナーに繋がる部分もたくさんありました。こちらも日々失敗の連続で学ぶことが多かったです。

2023シーズンを振り返って

初めて通年でチームの専属トレーナーとして挑んだシーズンでした。

日々試行錯誤し、失敗から学ぶことが多く、新たな気づきや発見がありました。

今後も常識を疑い、常にあらゆる可能性を想定して行動していくことをテーマにしていきます。

そしてコンディショニングの質をもっと上げていけるように、磨きをかけていきます。

最後までお読みいただきありがとうございます!!

共に戦った津田トレーナー
鈴木哲監督
1年間ありがとうございました。