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偶然が運命になるには行動が大事です 12 完








12







チュン チュン チュン





次の日が休みなのもあってアラームすら付けずに寝てしまい
空の頂点にある太陽に起こされて目を覚ます



飛鳥:ハァ…



一晩経っても気持ちは晴れなくて夕方まで自分の部屋から出れなかった



飛鳥:ひとまず…忘れた事にしておはようって言いに行こ…ボソ



そんな思いで彼の部屋に行くと…



飛鳥:!?



もうそこには○○はいなくて


一瞬仕事かとも思ったけどすぐに違う事に気が付いた

だって荷物が何もなかったから



すぐに○○に電話をしたが


「おかけになった電話番号は現在使われておりません」というアナウンスが流れてくる




あれが最後の晩餐…


もしかしたらリアル最後の晩餐だけを切り取ったら裏切りのユダより嫌な最後かも…



その焦りからすぐに事情を知ってる可能性の高い人に電話した



飛鳥:もしもし!奈々未?

奈々:どうした?

飛鳥:……○○が消えた。

奈々:あ〜 その事か…

飛鳥:なんか知ってるの?

奈々:その焦り具合…○○は話さなかったんだね。

飛鳥:何を話さないの!?



奈々未は少し考えた様子で無言の時間を作った



奈々:…本人が言わない決断をしたのなら私の口からは話せない。

飛鳥:…………

奈々:だけど○○の事だし何も言わないで出て行くかな?

飛鳥:だって何も……いや…


目に入ってきたのは○○がずっと執筆に使っていた古い型のノートパソコンだった


飛鳥:パソコンあった。

奈々:忘れ物にしてはデカいね 笑
…中身は?

飛鳥:今見てみる。



起動すると中身はそのまま過去に○○が作った物が残っていた



飛鳥:…たぶん置いてったんだ。
過去を捨てる為に…その過去には私もいる。

奈々:かもね 苦笑
でも私は違うと思うな。

飛鳥:え?

奈々: …それは○○の覚悟だよ。



その言葉を聞きながら飛鳥は名残惜しそうにパソコンの中身を漁っていると



飛鳥:奈々未……

奈々:ん?

飛鳥:パソコンに未送信のメールが一件ある…

奈々:それが○○からのメッセージかもしれないね。

飛鳥:…うん。

奈々:1人で読みたいだろうから電話切るね。



奈々未との電話が切れた音を聞いた後に
その中身を読んだ…





ガチャ



飛鳥:!!



飛鳥はダッシュで玄関に行くと


キャリーバッグを横に置いた気まずそうな顔の○○がそこにいた



○○:あ〜…起きてましたよね…



バチン



飛鳥は思いっきり頬をビンタした。



○○:………ゴメン。

飛鳥:…グス…グス

○○:…心配かけて本当にゴメン
色々と話したいのは山々なんだけど実は時間が…

飛鳥:…行けば!もう知らない!
縁切るし、もう他人なんだから…

○○:最初から他人なんじゃ…

飛鳥:///

○○:…分かったよ…全部話すよ。




○○は飛鳥にアメリカに行くこと

そしてアメリカで主催されるオーディションに大樹の推薦で出る事になった事を話した




飛鳥:すごい…けど…なんで私に無言で出ていくの!
一宿一飯の恩義はどうした!

○○:そんな熟語言われると反論できない 苦笑

飛鳥:それでなんで!?

○○:それも含めてパソコンに残しておいたけどな……

飛鳥:読んでる途中に帰ってきたの!

○○:なるほど…まぁ簡単に言うと飛鳥も頑張ってるから俺も頑張ろう…みたいな。

飛鳥:それで。

○○:それで!?

飛鳥:無言で出て行った理由は?

○○:…昨日の夜気まずかったし。

飛鳥:じゃあなんで帰って来たの!

○○:尋問みたいだな…苦笑

飛鳥:早く!

○○:…………パスポート忘れました。

飛鳥:マジ?笑

○○:笑うなよ…

飛鳥:どこに置いたの?

○○:たぶん洗面台。

飛鳥:仕方ないな…取ってきてあげる。




洗面台に行くと隅に置かれたパスポートをすぐに見つけた



飛鳥:これ?

○○:やっぱりあったか…

飛鳥:海外行くのにパスポート忘れるとかバカだね〜

○○:ぐうの音もでないです…



飛鳥はそんな落ち込んでる○○の目の前でそのパスポートを自分の服の中に入れた



飛鳥:取ってみてよ///

○○:ふざけてる時間ない…
あと2時間後のに乗らないと行けないんだから。

飛鳥:ふざけてない!!

○○:…………

飛鳥:もし昨日の通りに恩人だけとしか思ってないなら……手突っ込んで取ればいいよ。

○○:…………

飛鳥:でも…もし……私と同じ気持ちなら…




チュ















それから7年が経った



私以外の一期生はみんな卒業


そんな中私はお姉さん組に言われた
30歳まで乃木坂にいるって約束を守った




美波:寂しいです…グス

飛鳥:梅も一緒に背負ってきてくれてありがと





最後のリハーサル


こんな私の為に泣いてくれる後輩も出来た


今夜私の乃木坂46人生が終わる






飛鳥:私の人生 乃木坂でいた時の方が長くなってるとか年齢を感じさせられるな〜

美波:私もです 苦笑  



芸歴で言えば飛鳥の方が長い
でも年齢で言えばそこまで変わらない2人

今まで背負ってきた想いを空き時間に語り合った


そんな2人に近づく影が…





美波:あ!奈々未さん!

奈々:お疲れ。

飛鳥:奈々未!

奈々:お誘いどうも 笑

飛鳥:お客さんが入る時間に来るかと思ってた

奈々:私もそのつもりだったんだけど……これ




奈々未は一通の手紙を手渡した



飛鳥:なにこれ?

奈々:飛鳥の好きな人から。

飛鳥:!!



○○は飛鳥の前から消えて7年
連絡は一度もしてこなかった

そんな人から…




飛鳥:あの人も大層な御身分になられましたね。

奈々:そんな事言わないであげて 笑
あっち行ってから言語とか生活、そして1番は仕事が忙しいんだから。

飛鳥:奈々未は聞いてるかもしれないけど私の所にはまったく連絡ないので。
知りません!

奈々:だけど口の割に好きな人って言っただけで誰からの手紙かすぐに分かったみたいだけど?

飛鳥:そッ…それは///
たまたまで…

美波:○○さん原作の映画何回観に行くの付き合わされましたっけ?笑

飛鳥:梅〜!

美波:笑

奈々:時が経っても変わらないね〜。

飛鳥:わ…私は○○の作るモノが好きなだけであって…別に○○の事が今でも好きとは言ってないし。

奈々:そっか……それならその手紙返して。

飛鳥:……それは嫌。

奈々:フフフッ   

30歳になっても駄々っ子の先輩はほっといて
みんなにも挨拶したいから梅ちゃんちょっと控え室まで案内してくれない?

美波:わかりました!

飛鳥:じゃあ私は…これ読んでから行く。






ずっと屋内にいたから外の空気が吸いたくて
屋外の非常階段に腰掛けた



飛鳥:言い訳を聞いてやるか…ボソ



手紙の封をしてあるシールを剥がして中身を取り出す

そして一息ついてから目を通した




「親愛なるあなたへ。」



飛鳥: 7年前のメールと冒頭一緒なんだけど 苦笑



「まずはご卒業おめでとうございます。アメリカにいても奈々未さんや大樹さんからたびたび頑張ってる様子は聞いていたので、いちファンとしては嬉しくもあり悲しくもあります。」



飛鳥:ファンレターかよ。笑


「7年前 大樹さんからオーディションの話しを頂いた時 最初は飛鳥も頑張ってるからとかカッコつけたメールを残してたと記憶しています」



飛鳥:そうそう。



「僕はあなたの事を好きでした」



飛鳥:でした!?



「だけど昔の事から恋愛や結婚というモノが怖かった。"というのを言い訳"にして実は吹っ切れていたって…あなたにパスポートを取られたあの日ベッドの上で全て話しましたね」


飛鳥:///





○○出発予定の日パスポートは無事取り返したが…航空チケットをキャンセルする羽目になり、出発したのは次の日だった。


まぁどういう風に取り返したかは…
ご想像にお任せします。


まぁ2人とも大人ですから…笑




「とはいえ飛鳥の事を真剣に考えれば考えるほど今の自分と飛鳥とでは格差がありすぎる事を再確認させられてしまいました。
だからこそ自分の手で飛鳥の横に立てるチャンスを掴みに行きました。」




飛鳥:全部聞いたよ…




「でも7年はとても長く僕たちは今年で30歳です
そんな中でも結婚みたいな契約なしに同じ人を思い続けられたらそれは運命って言葉を信じられると信じられる。」

「こんな自分勝手な今の僕はあなたの横に立つ資格はありますか?
最後に元の携帯は解約したとはいえ奈々未さん経由でも1度も連絡を取ろうとしなかった事は謝ります。」







読み終わって控え室に行くと

さくらや梅、奈々未に囲まれた人物が







さく:新作ドラマ見ました!

??:ありがと!

さく:1話目から展開が凄かったのでこれから毎週楽しみに更新待ってるんです!

??:ネタバレはしないけど俺の中で3話目が
1番自信あるから楽しみにして欲しいかな。

さく:はい!

奈々:ほらほらこんなとこ飛鳥に見られたら怒りだすよ?

??:確かに 苦笑





自分の名前が出たその囲まれてる中心には服装も髪型も大人っぽくなった○○がいた



飛鳥:嘘…

○○:やぁ…偶然だね〜 苦笑

飛鳥:………




パッと見た時、私の知ってる○○は服装なんて気にしなかったのに…なんて思ったり

だから飛鳥のツンの部分が出てしまう




飛鳥:…忙しいくせに、なんで来たの?

○○:ご招待頂いたので。

飛鳥:そんなのしてない!





本当はしてないんじゃなくて…

でも連絡先も知らないから…





○○:秋元先生から。

飛鳥:あの狸親父……ボソ

○○:笑

飛鳥:それで?…いつ日本に帰ってきてたの?

○○:ついさっき。

飛鳥:売れっ子さんは忙しいですね〜
ファーストクラスにでも乗ってきたんですか?

○○:うん。

飛鳥:マジ!? 冗談のつもりだったんだけど…

○○:売れっ子なもので 笑

飛鳥:嫌味〜!

でもそりゃそうだよね…
もう結構昔の話しになるけどオーディション2位おめでとう。






全米で話題になったオーディションで最終選考まで残った○○は


その最後の課題のショートムービー制作の結果

なんと2位

それでもすごいが1位に選ばれた地元アメリカの新鋭の人より面白い、感動した、短い中に伏線をちゃんと回収してるなど映画評論家やネット上では1位よりも評価が高く


なぜ○○が1位じゃないのかと炎上する始末


そのおかげもあって○○は1位にはなれなかったがオーディション参加者の中で1番大成して

今やアメリカ日本関係なく世界の有名人になっていた





○○:ありがとう。

飛鳥:有名になりやがって!

○○: アメリカって地にはその後の事も含めて感謝してるよ…




その後有名になったが故に母親が殺人犯なんてスキャンダルが出たりもしたがそんなの関係なしに仕事出来たのがその理由





飛鳥:確かに…日本だったら色々ありそうだもんね。

○○:うん。
そういえば飛鳥もスキャンダルお疲れ様です。笑

飛鳥:……知ってたんだ 苦笑



○○がアメリカに行ってすぐに当時の主演俳優との熱愛報道が出てすぐ両事務所が否定しすぐに話題は鎮火した




飛鳥:事実無根過ぎて…記事でた時笑っちゃった。

○○:有名税ってやつ?

飛鳥:今でも言われるから本当に迷惑な話しだよ。




2人だけの世界で話していると


奈々未やメンバーが気を遣って周りに人は消えていた





飛鳥:2人きりは気まずいな…

○○:そう?

飛鳥:…なんかチャラくなった?プク

○○:服装?

飛鳥:全体的に。

○○:う〜ん、そんなつもりはないけどな…
でも、人と話す機会が増えたから喋り上手にはなったかも。

飛鳥:女子にも?

○○:まあね。

飛鳥:………

○○:ヤキモチ?

飛鳥:そんな訳……ある…

○○:素直だな。笑

飛鳥:悪い!?

○○:いや…なんなら俺は好きだけど。

飛鳥:///

○○:そりゃ好きだよ///
飛鳥の事7年間一度も忘れた事なんか無いよ

飛鳥:昔の○○ならそんな事言わないのに…やっぱりチャラくなった!

○○:成長したって言って欲しいな。苦笑

飛鳥:私はね、この7年で色んな出会いがあって…○○よりも数倍もカッコよくて優しい俳優さんとかにも連絡先教えてって言われた。

○○:俺にヤキモチ妬いて欲しいの?

飛鳥:だって…///
そんな人に声掛けられても…7年もバカみたいに私は○○の事忘れられないんだから!!




ギュ〜




飛鳥:…アゥ…



強く抱きしめられて変な声が出てしまう



飛鳥:…なんだよ〜///

○○:少しはカッコつけさせろよな…

飛鳥:もう既にカッコいいよ。

○○:…この服も髪も知り合いのスタイリストさんに日本帰る前にお願いして見繕ってもらっただけだよ?

飛鳥:それでもカッコいいよ。

○○:それにこの状態なら分かるだろ…///




ドクッ  ドクッ




飛鳥:緊張してるの?笑

○○:あ…あたり前だろ…

飛鳥:ヤキモチも妬いた?

○○:それはない。笑

飛鳥:なんだと!

○○:そりゃ…ヤキモチ妬かないと言うか…妬けないよ。
飛鳥は今でも俺にとって高嶺の花なんだ。
だからどんな人とどんな決断をしても飛鳥が幸せならそれでいい。

飛鳥:だったら私の決断…ライブ終わったら言うから、覚悟しとけ!

○○:了解 笑






その後2人のラブラブな光景を

「見てられない」と不満が控え室内で噴出し


顔を真っ赤にした2人は自然と離れた






ライブ後…






○○:俺なんかでいいの?

飛鳥:なに今更怖気付いてるの?笑

○○:…だよな。苦笑

飛鳥:私卒業してもまだ日本で何個か仕事あるんだけど、それも落ち着いたらアメリカ行ってもいい?

○○:もちろん大歓迎!

飛鳥:居候するよ?笑

○○:いくらでも住んでくれて構わないよ
それに……あっちでの生活に慣れたら結婚しよっか。

飛鳥:プロポーズ?笑 

○○:そう。
焦ってるわけじゃないけど…俺たちもう30だろ?そういうのも考えないと。

飛鳥:今すぐでもいいよ?///

○○:それは…苦笑

飛鳥:なに!?嫌なの?

○○:いや…向こうが俺の現状を知ってるか知らないけど…
義理は通しにいかないとって思ってるから今すぐは無理かな 苦笑

飛鳥:……お母さんのところ?
それなら私も行く。




○○の母親は既に刑期を終えて釈放されていた


 


○○:飛鳥はいいよ。

飛鳥:私にとってもお母さんになる人だもん…行きたいの。

○○:話しにならないかもよ?

飛鳥:だとしても会って○○を産んでくれた事に感謝したいから。

○○:その言葉嬉しいんですけど…///

飛鳥:7年で愛も深まりましたからね!






愛というものは恐ろしい

幸せになるものも破滅するものもいる


この2人にとっての愛はどっちに転ぶかそれは分からない



でも心が繋がるのが怖いと逃げていた○○の心を溶かした愛ならばなんでも乗り越えられるそう信じてる



それは偶然を言い訳にして


それを運命にした飛鳥のおかげ

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