要介護高齢者における食後の口腔ケアについて

食後の口腔ケアで肺炎予防や歯周病予防につながることは皆さんもうご存知と思います。しかし、それ以外にも要介護高齢者、特に認知症の方に限定すると食事直後の口腔ケアが有効です。

何に有効かというと、ずばり「窒息の予防」です。

窒息というと、皆さんにとっては食事中になるものというイメージがあると思います。しかし、お口の感覚の弱くなった方、特に認知症などによってうまくコミュニケーションが取れなくなっている方に関していうと、食後にもそのリスクが潜んでいます。

認知症高齢者が食事後に窒息する流れとしては、

1、食事の最後一口にご飯、パン、かゆ、などの塊の物やデンプン質のものを摂取

2、そのまま嚥下(飲み込み)をせずに(できずに)口の中に食品が残る

3、認知症によって口の中にものが残っていること、飲み込めないことを伝えられないし、そもそも感覚も低下しているから認識もしていない(可能性が高い)

4、そのまま時間が経つと唾液に含まれるアミラーゼによってデンプンが分解されてご飯(特に軟らかご飯)が糊のようになる、上顎や舌に絡みつく

5、そのままベッドに寝かされると重力で喉の方へとゆっくり流れていく。

6、喉に糊のようになった食品が落ちて窒息する

という流れです。

最近の訪問診療で、上記の中の4番目の段階で発見したという事態がありました。

介護に関わる方は、とても忙しいとは思いますが、食事後は口腔ケアができなくとも、せめて口の中に窒息するような物性のものが残っていないかの確認だけでもしていただければ幸いです。

今日はこんなところで。

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