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2023年11月6日、日本株式市況


日経400


日経平均

6日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に4日続伸し、前営業日比758円59銭(2.37%)高の3万2708円48銭で終えた。節目の3万2000円を回復し、9月20日以来の高値を付けた。上げ幅は今年最大。日米の長期金利低下を追い風に値がさの半導体関連を中心に買いが優勢だった。日経平均は800円強上昇する場面もあった。

前週末に発表された10月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想を下回った。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測が後退し、米長期金利は一時4.48%と9月下旬以来の水準に低下した。さらに6日の国内債券市場でも長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が後退したとの見方から海外勢などの買いを誘った。

日銀の植田和男総裁は6日、名古屋での金融経済懇談会で「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の枠組みのもとで粘り強く金融緩和を継続することで、経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていくことが政策運営の基本だ」と強調した。緩和的な金融政策が継続するとの見方も買いを後押しした。

半面、これまで金利上昇局面で買われてきた銀行株には次第に売りが強まった。業績の先行き懸念が意識された海運株には売りが膨らみ、相場の一段の上値を抑えた。

東証プライムの売買代金は概算で5兆1756億円。売買高は20億4476万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1260と、全体の約76%を占めた。値下がりは372銘柄、変わらずは27銘柄だった。


連休明け6日の国内債券市場で、長期金利は大きく低下(債券価格は上昇)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前営業日比0.050%低い0.870%で推移している。前週末にかけて米長期金利が急速なペースで低下したのに加え、日銀の国債買い入れオペ(公開市場操作)で需給の引き締まりが意識され、長期債には買いが活発となった。

長期金利は一時0.865%と、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正する前の10月27日以来の低水準をつけた。この日実施された定例の国債買いオペでは、残存期間「5年超10年以下」で応札額を落札額で割った応札倍率が1.23倍と前回の定例オペ(1.66倍)を下回った。「売り意欲の乏しさが示され、やや強めの結果」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジスト)との受け止めが長期債の買いを誘った。

米長期金利の低下も国内金利の低下圧力となった。3日発表された10月の米雇用統計で雇用者数の伸びは市場予想を下回った。このところ市場予想よりも下振れする経済指標が目立ち、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ局面は終了したとの見方が強まっている。前週は前半に4.9%前後で推移していた米長期金利は週末に一時4.5%を下回って9月下旬以来の低さとなり、国内金利の低下を促した。

幅広い年限で新発債が買われた。中期債では新発5年物国債の利回りが前営業日比0.035%低い0.420%で推移している。超長期債では新発20年債利回りが同0.060%低い1.630%、新発30年債利回りは同0.045%低い1.815%で取引されている。債券先物相場は続伸し、中心限月の12月物は同34銭高の144円42銭で取引を終えた。

日銀の植田和男総裁は6日に名古屋市で開いた金融経済懇談会後の記者会見で、来年の春季労使交渉(春闘)で「賃上げがそこそこのものになる可能性は少し前に比べて高まっている」と語った。だが「物価目標が見通せるまではYCCの枠組みとマイナス金利を維持する」との考えも改めて示すなど政策正常化に向けて踏み込んだ発言がなかったため、債券相場の反応は限られた。


<9433> KDDI 4675 +217
大幅反発。先週末に第2四半期決算を発表。7-9月期営業利益は2937億円で前年同期比12.1%増となり、2700億円程度の市場予想を上回る着地になっている。通信事業が想定以上に底堅く推移したほか、エネルギー事業や金融事業などの寄与もあったもよう。また、先週末は京セラによる保有株売却懸念なども強まる状況となったが、説明会などを受けて、自社株買いなどでの対応期待が高まる形にもなっているもよう。

<9107> 川崎船 4760 -611
急落。先週末に上半期決算を発表、経常利益は853億円で前年同期比85.0%減となったが、従来予想の700億円は上振れた。一方、通期予想は1350億円は不変で、為替前提を円安方向に修正したものの、コンテナ船事業を下方修正する形に。年間配当計画200円は据え置きで、期待もあった追加の株主還元発表はない。グロース株への買い安心感が強まる状況下、サプライズ乏しい決算が資金シフトの流れにもつながった。

<5802> 住友電工 1801.5 +184.5
急伸。先週末に上半期の決算を発表、営業利益は673億円で前年同期比35.4%増となり、会社計画500億円を上振れる着地になっている。ハーネスの生産性改善やデータセンター向け光デバイスの底入れなどが背景。通期計画は従来予想の1800億円から2000億円、前期比12.7%増に上方修正。第1四半期低進捗で、足元の株価には警戒感も先行していたとみられ、ポジティブな反応が強まっている。

<3923> ラクス 2180.5 +195
大幅続伸。本日は同社のほか、APPIER、マネーフォワード、SREHD、ベイカレントなど中小型グロースの代表銘柄が揃って大幅高の展開になった。先週末の雇用統計を受けて米長期金利が4.5%台にまで低下しており、グロース株の買い安心感につながった。10月の米雇用統計は、就業者数の伸びが予想を下回り、失業率は上振れ、平均時給の伸びも鈍化など、労働市場の需給逼迫解消が意識される結果となった。

<5805> SWCC 2538 +424
急騰。先週末に上半期決算を発表、営業利益は44.6億円で前年同期比3.5%増となり、通期計画は従来の107億円から115億円に上方修正した。第1四半期が同25.6%減と低調スタートであったことから、上方修正はポジティブなサプライズにつながった。建設関連での堅調な業績などを反映としている。また、発行済み株式数の2.24%に当たる67万株、10億円を上限とする自社株買いの実施も発表。

<6622> ダイヘン 5500 +700
ストップ高。先週末に上半期決算を発表、営業利益は50.7億円で前年同期比31.0%減となったが、従来計画の455億円は上振れる着地に。7-9月期は43億円で同22.3%減と減益率も縮小している。半導体製造装置向け低迷の影響が大きいが、エネルギーマネジメントやファクトリーオートメーションが好調に推移して下支えする形に。半導体関連株高もあって、安値圏からの見直しの動きにつながっている。

<9468> カドカワ 2864 -86
大幅反落。先週末に第2四半期決算を発表、7-9月期営業益は53.4億円で前年同期比47.6%増となったが、市場予想の60億円を下回った。利益率の高いDL販売比率の低下や販促費用の増加、一部コストの前倒し計上などが市場想定比下振れの背景。通期会社計画178億円に対し、市場予想は200億円超と上振れを想定しており、7-9月期下振れ着地をネガティブ視。新中計では28年3月期営業益340億円目標に。

<9831> ヤマダHD 434.3 -49.2
急落。先週末に第2四半期決算を発表、7-9月期営業利益は93億円で前年同期比23.7%増となったが、120億円程度の市場予想を下回った。販管費などコスト増が想定比下振れの要因とみられているようだ。上半期は204億円で同3.0%増にとどまっており、据え置きの通期計画505億円の未達懸念も強まる格好に。足元で株価が高値圏にあったことからも、売り材料につながる形のようだ。

<6070> キャリアリンク 2080 -358
急落。先週末に業績予想の下方修正を発表。上半期営業益は従来予想の21.9億円から11.4億円に、通期では70.1億円から31.7億円にそれぞれ引き下げた。修正幅の大きさがネガティブインパクトにつながった。案件の発注規模縮小や失注、並びに受注価格の下振れなどに加えて、「一般競争入札」の受注割合増加に伴う受注価格の低廉化が想定されることなどを下方修正の背景としている。

<7859> アルメディオ 524 +80
ストップ高比例配分。先週末に上半期決算を発表、営業利益は10億円で前年同期比2.7倍となり、通期予想は従来の6億円から25.4億円にまで上方修正した。中国において、太陽光発電パネル製造用の拡散炉用ヒーターモジュールの受注が急激に伸長しており、業績上振れの主因となっているもよう。収益水準急拡大がポジティブサプライズに。なお、25年3月期の業績に関しては反落を見込んでいるもよう。


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