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2023年10月30日、日本株式市況


日経平均

30日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前週末比294円73銭(0.95%)安の3万0696円96銭で終えた。下げ幅は一時、450円を超えた。パレスチナ自治区ガザを巡る情勢が悪化する懸念などを背景に前週末の米市場でダウ工業株30種平均が7カ月ぶり安値で終えたことを受けて、東京市場でも幅広い銘柄に売りが出た。

前週末に2024年3月期(今期)の業績見通しを下方修正した日野自やオムロンが制限値幅の下限(ストップ安水準)まで急落した。決算発表後に売られる銘柄が目立ち、投資家心理が悪化したとの指摘があった。日本時間30日の取引で米長期金利が前週末比で上昇すると、日経平均が下げ幅を広げる場面もあった。

31日に日銀の金融政策決定会合の結果公表を控えて買い持ちの解消が出たとの声も聞かれた。もっとも一方的な売りは続かず、売り一巡後には大引けにかけて様子見ムードが強まった。

東証プライムの売買代金は概算で5兆6674億円と、9月15日(5兆6708億円)以来およそ1カ月半ぶりの大きさだった。売買高は29億517万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1422と、全体の85%強だった。値上がりは206、横ばいは27銘柄だった。


30日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが前週末を0.020%上回る0.890%に上昇(価格は下落)した。2013年7月以来、10年3カ月ぶりの高さとなった。日銀が31日まで開く金融政策決定会合で政策修正に動くとの思惑が債券売りを促した。きょうまで新発である2年物453回債の利回りは一時、0.020%高い0.105%と13年10月以来、10年ぶりの水準に上昇した。

長期金利が日銀が事実上、上限とする1%に近づき、日銀はあすの会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の運用の一段の柔軟化を決めるのではないかとの見方が強まった。

財務省が30日実施した2年債(新発454回)入札では、最低落札価格が市場予想の中心を下回り、応札額を落札額で割った応札倍率は10年3月以来の低さとなった。需要の乏しさを示す結果を受けて流通市場でも債券売りが増えた。

5年債利回りは0.020%高い0.395%と13年5月以来の高水準を付けた。20年債は0.020%高い1.680%、30年債りは0.015%高い1.855%へそれぞれ上昇した。先物中心限月である12月物の終値は18銭安の144円24銭と反落した。


<6724> エプソン 2049.5 -175
大幅反落。先週末に第2四半期の決算を発表、7-9月期営業利益は82億円で前年同期比70.6%減となり、第1四半期の197億円から大きく水準を落としている。市場コンセンサスは250億円程度であったもよう。通期予想は従来の960億円から800億円、前期比17.6%減に下方修正、インクジェットプリンターの販売数量下振れが主因となる。為替の円安メリットも下支えとならず。

<7205> 日野自 435.2 -99.9
急落。先週末に第2四半期の決算を発表、7-9月期営業利益は56億円で前年同期比54.2%減となり、通期予想は従来の200億円から10億円、前期比94.3%減にまで下方修正。アセアン市場の減速に伴う販売台数計画の下方修正が要因となるもよう。台数下振れは警戒されていたようだが、為替前提を大きく円安方向に修正する中での大幅な下方修正にはネガティブなサプライズが強いようだ。

<7732> トプコン 1309 -399.5
急落。先週末に第2四半期の決算を発表、7-9月期営業利益は21.1億円で前年同期比61.6%減となり、市場予想を20億円程度下振れる着地になっている。通期予想は従来の190億円から130億円、前期比33.5%減にまで下方修正。市場予想を50億円程度下振れ。ポジショニング事業の下振れが主因。成長ドライバーとして期待される事業であるが、米t住宅建設市場の減速を受けて販売が伸び悩んでいるもよう。

<9532> 大瓦斯 2716.5 +247.5
急伸。先週末に第2四半期決算を発表しているが、同時に発表した自己株式の取得実施もポジティブ材料につながっているようだ。発行済み株式数の3.6%に当たる1500万株、200億円を上限としており、取得期間は30日から24年2月29日まで。今回の自社株買い発表は想定外との見方が多いもよう。なお、上半期経常利益も1239億円となり、1000億円程度の市場予想を上回る水準となっている。

<2002> 日清粉G 2112 +251
急伸。先週末に第2四半期決算を発表、7-9月期営業利益は136.5億円で前年同期比93.4%増となり、100億円程度の市場予想を大幅に上振れ。通期予想は従来の390億円から460億円、前期比40.1%増にまで上方修正。通期のコンセンサスは410億円程度であった。値上げ効果によって国内の収益が大きく改善しており、海外も増益に転じている。熊本製粉の買収効果も想定以上のペースで拡大しているようだ。

<6645> オムロン 5318 -1000
ストップ安。先週末に第2四半期の決算を発表、営業利益は63.5億円で前年同期比78.6%減となり、通期予想は従来の1020億円から450億円、前期比55.3%減に下方修正している。下振れ懸念は強かったものの、通期の市場予想は850億円程度であったとみられ、想定以上の下方修正幅となっている。IBA事業の下振れが主因となっており、需要の回復時期の見通しは今下期から来期中盤に後ろ倒しされている。

<6501> 日立 9395 +511
大幅続伸。先週末に第2四半期決算を発表、7-9月期調整後営業利益は1949億円で前年同期比4.0%減となり、1800億円程度の市場予想を上振れた。また、通期予想は従来の6750億円から7200億円に上方修正した。日立エナジーの上振れに加えて、タレス社の連結化遅れによる統合コストの先送りなどが要因のもよう。受注が堅調に推移して、受注残高も順調な積み上がりを見せているようだ。

<4063> 信越化 4491 +189
大幅続伸。先週末に第2四半期の決算を発表、7-9月期営業利益は1911億円で前年同期比33.3%減となったが、市場予想はやや上回る着地になっている。半導体市場が厳しい状況にある中、相対的に底堅い決算に評価が高まる展開のようだ。シンテックの業績回復、ウエハー需要が目先底打ちとの見方、EUV用ブランクスの量産開始など、ポジティブな材料もいくつか散見されているようだ。

<6301> コマツ 3416 -274
大幅反落。先週末に第2四半期決算を発表、7-9月期営業利益は1500億円で前年同期比27.0%増となり、通期予想は従来の4910億円から5480億円に上方修正した。7-9月期実績はコンセンサスをやや上回ったが、上方修正後の通期予想は5700億円程度のコンセンサスに未達。為替前提など保守的な要素があるとみられるものの、上方修正で目先の出尽くし感と受けとめる動きが優勢に。

<6861> キーエンス 57310 +4260
大幅続伸。先週末に第2四半期決算を発表、7-9月期営業利益は1264億円で前年同期比8.9%減、前四半期比13.6%増となり、ほぼ市場コンセンサス上で着地した。中国市場が引き続き伸び悩む中、欧米市場が堅調に推移したようだ。部材価格の落ち着きによって、営業利益率は51.8%の水準にまで上昇。決算サプライズは大きくいないものの、株価の下落基調が続いていたことで、安心感の高まりにつながったようだ。


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