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ヘリオトロープの香り

インスタをぼんやり見ていたら、季節の話題を提供している「暦生活」が、24日の誕生花としてヘリオトロープを取り上げてました。

いい香りなんだよなあ、この花(うっとり)。

女性用香水の種類の多さや、アロマテラピー教室がほとんど女性で埋め尽くされていたりすることなんかから、香りは女が好きなものと安直に信じられている気がするけど、メンズだって香りが好きだよね。

すぐに思いつくところでは、松浦弥太郎さん。いろいろな本で香りについて書かれていますが、とりあえず開いた1冊にこんなフレーズがありました。

いい匂いを一番求めるときは、眠るときだ。眠る少し前に、寝室にアロマオイルを焚いておく。(中略)ーー次第に強い匂いでないと気が済まなくなるから困ってしまう。よって、アロマオイルの減り方が尋常でないのが悩みになった。

『日々の100』青山出版社(単行本)p 196

松浦さんは、オーデコロンを体に纏って眠りにつけば「部屋がいい匂いであってほしい」という希望がいいあんばいに叶うことを知り、サンタマリアノヴェッラのパチューリの香りを使うようになったそう。

あと、夏目漱石の小説にヘリオトロープの香りが登場したような記憶がぼんやりあるので、検索してみました。したら明治41(1908)年に新聞に連載された小説『三四郎』に、主人公(三四郎)をふってしまうヒロイン(美彌子)が、ヘリオトロープの香水を使っているという設定になっていることが判明しましたよ。

「まさにここだわよ、ここ!」という感じのツボな部分は、日本における香水の歴史を追った高柳美香さんの論文の中に登場。PDFゆえリンクが貼れないのかな…? ご興味のある方は「明治 舶来 香水 販売」で検索してみてくださいましね。

当時、日本に入っていたヘリオトロープの香りは、フランスの老舗ロジェ・ガレ社(Roger&Gallet)の「Heliotrope Blanc」らしい。昔はロジェ・ギャレって発音したような気がするけど、変わったのか。まあ、いいけど。

贅沢だけどマニアックすぎない香りの老舗メーカーの位置に、ロジェ・ガレってあった気がする。1970年代の雑誌『ミセス』には、しょっちゅう香水石けんの広告が出てた気がするしな。子ども心に、「どんないい香りがするのだろう」と、いたく興味を掻き立てられたもんです(ああ、昔すぎる)。

一時、表参道に旗艦店があった(2018年にクローズ)けど、今は銀座松屋、横浜そごうのショップのほか、Amazonでも買えるようになってるみたいです。ただ、パッケージはすっかり今風で、ほそーいタックがたくさん寄せられた石けんの薄紙パッケージもさらっとアップデートし、往時の姿ではない。半世紀も前の姿を想像しちゃっていた、大昔の子どもはちっとがっかりしました(笑)。

ロジェガレ Rose Perfumed Soap

レトロな雰囲気の香りがいいのであれば、サンタマリアノヴェッラとかビュリーの品物になるのかな。隔世の感ありだわね。

ビュリーのヘリオトロープのボディローション



100BON(ソンボン) のハンドソープ

それから冒頭のお花の pic は、数年前にヘリオトロープと見間違えた「三尺バーベナ」です。インスタのヘリオトロープの画像と比べると、葉っぱが全然違います。見間違えるなよ自分、といい聞かせておきましょう。




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